マラソン大会で代理出走・替え玉出走をしてはいけない理由

2018年に開催された愛媛マラソンで、代理出走した人がレース途中で救急車で運ばれるという事態が発生し、2019年からは受付時に本人確認をしっかりと行い、腕にリストバンドを巻くという対策が行われました。

このリストバンドがとても扱いづらいという話は、日本一早いマラソンレポート「第57回愛媛マラソン」でお伝えしました。

リストバンドについては、いろいろと改善をしてもらいたいというのもありますが、それはここでの趣旨とは違うので多くは語りません。ここでお伝えしたいのは、代理出走(代走)や替え玉出走をしてはいけないというお話です。

自分がエントリーしたレースに出られなくなったとき、誰かに出走権を譲ったことのある人いますよね。反対に誰かの代わりに走ったというケースも。

入賞するわけでもないし、エントリー費が無駄になるくらいなら誰かが代わりに走ってもらいたい。その気持ちは分からなくもないのですが、RUNNING STREET 365としては「絶対にNG」というスタンスを取っています。

啓蒙活動というわけではありませんが、ここではその理由についてお伝えしていこうと思います。

目次

信頼関係を失い大会コストを上げる

代理出走や替え玉出走をNGとする理由は単純です。大会運営とランナーの信頼関係を失うことに繋がるからです。

2018年までは愛媛マラソンと参加者の間には、信頼関係が存在しました。代走するような人はいないだろうから、受付票を出すだけでゼッケンをもらえ、スタートラインに立っているのが本人かという確認はしませんでした。

ところが、違反者が出たこと(発覚したこと)で、大会側としてはランナーを信じることができなくなったわけです。そしてリストバンドなどの導入を行いましたが、これは確実にコストが上がり、参加費の値上げにつながります。

愛媛マラソン参加費
2018年:8,640円
2019年:9,180円

実際に愛媛マラソンは540円の値上げをしています。たった540円と思うかもしれませんが、ランナーは1万人ですので540万円もリストバンドの導入にかかっているわけです

お金がかかるのはリストバンドだけではありません。スタートブロックでの確認のためのゲートも設置することになりますし、そのためのスタッフも用意しなくてはいけません。リストバンドをしていな人に対するマニュアルも必要です。

それは本来払わなくてもいい費用です。

信頼関係を維持できればこんなことをしなくてよかったわけです。でも、一部の人たちが自分の勝手で出走権を譲ったりするから、ランナーは信頼されなくなり、それが自分たちに参加費のアップということで返ってきてしまったわけです。

そもそも代走や替え玉出走は契約違反

「自分はバレないから大丈夫」と思っている人もいるかもしれません。

バレるバレないの問題ではなく、代理出走や替え玉出走は重大な契約違反です。エントリーした本人が走ることを約束した上で、出走権を購入しています。

ランニングアイテムなら、自分が買ったものだから自分の好きなようにしてもいいと思いますが、大会参加というとそうはいきません。参加費が1万円だとしても、その人が走るのにかかる費用はもっと高いわけです。

例えば東京マラソンは2014年で、1人あたり5万円以上の費用がかかると言われています。今はセキュリティを強化していますのでさらにかかっているはずです。

マラソンを走るというのは、参加費を払って参加費の何倍ものサービスを受けています。そのサービスを受ける条件のひとつが、代走禁止というわけです。その是非はともかく、出走権を購入するというのは「代理出走をしない」と約束しているのと同じです。

なのに約束を守らずに他の人に譲ったり、他の人から譲ってもらったりするわけです。ランナーとしてそれでいいのかという、倫理的な問題になります。

約束を守らない自分をランナーとして認められますか?
そんな自分をランナーとして誇れますか?

これはランナーとしての挟持の問題です。安易に不正を働くのではなく、出走できなくなったらそれは諦める。そういう潔さのあるランナーが増えていくことを期待しています。

代理出走が認められない理由

代理出走が認められない理由についても書いておきましょう。

・保険の対象外になりランナーの安全を守れない
・何かあったときの対応の遅れ
・出走権の転売対策

マラソン大会は大会中のケガに備えて保険に加入しています。どのような契約をしているかは分かりませんが、少なくともエントリーされていない人は保険の対象外です。そして何よりもトラブル時に対応が遅れます。

レース中に倒れたとき搬送先で混乱を招きます。倒れた人の意識がなければ、もちろんエントリーした人として扱われます。でも実際には他人なわけです。緊急連絡先に連絡しても、倒れた人の親族にはつながりません。

さらに、東京マラソンのような大きなマラソンですと、代走を認めると出走権が転売されてしまいます。愛媛マラソンならお笑い芸人の和牛と一緒に走りたいからと、高額で取引される可能性もあります。

そうなると、もともと走る気のない人も転売のためにエントリーするという事態が発生して倍率がさらに上がることは容易に想像できます。このように、大会が代理出走を認めないのはきちんと理由があります。

でも、こういうことをいくら訴えても、不正をする人には響かないかと思います。代理出走をする人は、こんなことは百も承知で行っています。「バレなければいい」わけですから。

代理出走はきっぱりと断る

バレなければいいという考えの人は、どうしても一定数は出てしまいます。代理出走の何が悪いと開き直る人もいると思います。自分がそれをしないというのはもちろんのことですが、「代わりに出てよ」という誘いもきちんと断りましょう。

マラソンに100%の安全はありません。思わぬところからバレる可能性がありますし、「バレたらどうしよう」という思いを背負って走らなくてはいけません。そんなレースを心から楽しむことできますか?

正々堂々といきましょう。

速いランナーが素晴らしいのではなく、強いランナーが素晴らしいんです。ランナーとして、人として強くなっていくために走る。だったら、代理出走や替え玉出走に対してどういうスタンスであるべきか分かるかと思います。

それをしている人をわざわざ叩く必要はありませんが、少なくとも自分自身はそこに関わらないように心がけてください。

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