14,527人が完走。東京レガシーハーフマラソン2024の走りやすさを検証

10月20日に開催された東京レガシーハーフマラソン2024。ハーフマラソンとはいえ、完走率は98.2%もあり、14,787人の出走者数に対して、なんと14,527人が制限時間内に完走しています。この結果からは「東京レガシーハーフマラソンは走りやすい大会」だということが伝わってきます。

実際に「パラアスリート視覚障がい男子(T11/T12)」部門で優勝した熊谷豊選手(T12・三井ダイレクト損保)は、1時間9分33秒の世界新記録を達成しており、世界トップクラスの高速コースであることを証明しました。そんな東京レガシーハーフマラソンは一般のランナーにとっても走りやすいのかどうかを検証していきます。

目次

トップアスリートの結果

まずは、東京レガシーハーフマラソン2024で好記録を出したトップアスリートの結果を見ていきましょう。

●エリート男子
1位 アモス・クルガト(ケニア・中電工)59分52秒 ※大会新記録
2位 ビダン・カロキ(ケニア・トヨタ自動車)1時間00分38秒
3位 ポール・クイラ(ケニア・JR東日本)1時間00分49秒

●エリート女子
1位 ロイス・チェムヌング(ケニア)1時間07分27秒 ※大会新記録
2位 清田真央(スズキ)1時間11分29秒
3位 ヒシグサイハン・ガルバドラフ(モンゴル)1時間12分12秒

●パラアスリート車いす男子(T53/T54)
1位 鈴木 朋樹(トヨタ自動車)43分57秒
2位 岸澤 宏樹(日立ソリューションズ)46分01秒
3位 吉田 竜太(SUS)47分20秒

●パラアスリート車いす女子(T53/T54)
1位 土田 和歌子(ウィルレイズ)53分43秒
2位 喜納 翼(琉球スポーツサポート)55分49秒
3位 瀧村 和美(日本オラクル)1時間00分51秒

●パラアスリート視覚障がい男子(T11/T12)
1位 熊谷豊(T12・三井ダイレクト損保)1時間9分33秒 ※世界新記録
2位 唐澤剣也(T11・SUBARU)1時間9分57秒
3位 堀越信司(T12・NTT西日本)1時間10分59秒

●パラアスリート視覚障がい女子(T11/T12)
1位 道下美里(三井住友海上)1時間26分46秒
2位 和木茉奈海(IMV)1時間32分02秒
3位 西村千香(岸和田健康クラブ)1時間35分44秒

そもそも、こんなにも多くの種目があったことに驚いている人もいるかもしれませんが、東京レガシーハーフマラソン2024は一般のランナーだけでなく、パラアスリートも一緒に東京の街を走りました。そして、パラアスリート視覚障がい男子(T11/T12)では熊谷豊選手が世界新記録を達成しています。

ちなみに日本人トップは、男子は西山雄介選手(トヨタ自動車)が1時間01分13秒で8位、女子は清田真央選手(スズキ)が1時間11分29秒で2位となっています。男子の優勝タイムは1時間を切っているため、世界トップクラスとの差が見えてしまう結果になりましたが、それだけハイレベルなレースが東京の街で繰り広げられたということでもあります。

東京マラソンへのマイルストーンになる大会

東京レガシーハーフマラソンは独立したひとつの大会ですが、東京マラソン財団が主催していることからもわかりますように、ROKUTAIや東京マラソンとワンセットになっている大会でもあります。

多くのランナーにとって最終目標は東京マラソン完走であり、東京レガシーハーフマラソンはそのステップアップ。マラソン大会を走ったことがないという人が、いきなりフルマラソンを走るのは体力的にも難しく、さらに不安が大きいわけで、その前段階のマイルストーンとなっているわけです。

ただ、東京マラソンとは違った色を出すために、スタートとゴールをランナーの聖地でもある国立競技場に設定しています。その結果、前半は下り基調になっているものの、折り返して戻ってくるときには上り基調になり、走力が低い初心者ですと、後半に歩いてしまいたくなるコース設定になっています。

とはいえ、高低差は約30m程度しかありませんので、靖国通りから国立競技場に向かう箇所以外は、それほど厳しい坂道ではありません。むしろ、これくらいのメリハリがある方が集中力が続きやすく、ランナーによっては記録を狙いやすくなります。

ただ、東京レガシーハーフマラソンよりもフラットなコースを持つ大会はいくつもあるので、1秒を削りたいシリアスランナーが自己ベスト更新を狙うというよりは、初めてのハーフマラソンという人やフルマラソンへのステップアップとしてトレーニングの成果をチェックしたいという人に向いています。

そういう意味でも多くのランナーにとっては、1年に1回のチャレンジの場としてもおすすめです。まずは東京レガシーハーフマラソンを走りきれるようになってから、東京マラソンなどのフルマラソンに挑戦する。体への負担も考えて、無理なくステップアップしていきたい人にこそ走ってもらいたいコースです。

スタート直後の渋滞とどう向き合うか

東京レガシーハーフマラソンの魅力は、なんといっても国立競技場もしくはその付近がスタート地点・ゴール地点になっていることですが、競技場付近から走り出すということは、スタートしてからしばらくは道幅が狭くなりやすく、渋滞が生まれるという問題があります。

エリートランナーであれば、渋滞がほとんどない前方のブロックからスタートできますが、後方になればなるほどスタートでのロスが大きくなります。スタートしてから1〜2kmは前が詰まっている状態で、5kmくらいまで自分のペースを掴めなかったという人もいたようです。

東京レガシーハーフマラソンの唯一のデメリットがあるとすれば、スタート渋滞があるということでしょうか(人によってはスタート時間が早いのもデメリットかもしれませんが)。ランナーによっては数分のロスになり、ハーフマラソンの場合には、その数分が結果を左右します。

スタート渋滞が気になるのは、おそらく1時間20〜40分くらいで完走を目指そうとしている人かと思います。そのレベルのランナーが自己ベスト更新を目指すのであれば、参加人数が3,000人以下で、高低差10m以内の大会のほうがいいかもしれません。

ただ、考え方によっては、下り基調でオーバーペースになりやすい前半に抑えが効いて、上り基調になる後半に向けて体力を温存できると考えることもできます。特にマラソン初心者の場合には、周りに流されてオーバーペースになりがちですが、東京レガシーハーフマラソンなら周りに合わせて走れば、理想的なタイムで完走できます。

もちろん、スタート渋滞がないほうがいいのは間違いありませんが、それを回避するために道幅の広い道路からスタートするよりは、やはり国立競技場をスタートして国立競技場に帰ってくるというほうが大会としては魅力があります。アクセスもしやすく、しかも国立競技場は屋根があるので雨が降っても安心です。

東京レガシーハーフマラソンは走ることを楽しむイベント

東京レガシーハーフマラソンはスタート渋滞さえなければタイムも出しやすく、ハーフマラソンなので真剣勝負の場にもなります。ただ、大会のコンセプトとしてはやはりステップアップのための大会であり、1分1秒を削るための大会というよりは、「ハーフマラソンなら走れそう」という人にぴったりな大会という位置づけになります。

実際に大会としては、大会2日前の夜にリレーマラソンを開催したり、さまざまなイベントを企画するなどして、大会当日に走らないという人でも楽しめる内容になっています。スタート時間が早いので、走り終わったあとに、ラン仲間とランチ打ち上げということもできます。

そして、応援する人も楽しめる雰囲気づくりもされていて、誰もがそれぞれの形で参加できるようになっています。

テレビニュースなどでは、どうしてもエリートランナーの結果がクローズアップされますが、98.2%の完走率からもわかりますように、実際にはマラソン初心者でも気軽に出場できる大会です。いや、むしろマラソン初心者にこそ走ってもらいたいところ。

この秋からランニングを始めるという人も、1年間継続して走り続けることができれば、来年の東京レガシーハーフマラソン2025の完走だって不可能ではありません。ぜひ、東京レガシーハーフマラソンでのマラソンデビューを目指してみてください。

そして、その先にある東京マラソンを目指しましょう。ただ、東京レガシーハーフマラソンも東京マラソンも抽選なので、必ず走れるわけではありません。その場合はチャリティー枠で参加するのもいいですし、地元のハーフマラソンや10kmの大会に出るのもいいでしょう。大事なのは東京レガシーハーフマラソンをきっかけに走り出すことです。

東京レガシーハーフマラソン:https://legacyhalf.tokyo

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