Appleのランニングイベント「Apple Watch Ultra 2 Running Experience 2025」に招待していただき、Appleのスマートウォッチ「Apple Watch Ultra 2」を使ってのランニングセッションや、「Apple Watch Ultra 2」を愛用している服部勇馬選手のトークセッションに参加してきました。
Apple Watch は初期の頃の「駆動時間が短くてフルマラソンに対応していない」というイメージが強かったのですが、トップレベルのランナーが使っているほど進化していることに驚かされました。そんな驚きを少しでも多くのランナーに伝えたくて、いまさらですが Apple Watch の魅力についてレポートします。
Apple Watchでも稼働時間がフルマラソンに対応
まず、多くのランナーが抱えているであろう、「 Apple Watch の駆動時間が短い」という認識についてお話します。現在の最新モデルのワークアウト駆動時間を見ていきましょう。
Apple Watch SE:最大10時間
Apple Watch Series 10:最大7時間
Apple Watch Ultra 2:最大12時間
最新のランニングウォッチの中には駆動時間が24時間を超えるものもあるため、単純比較で考えると Apple Watch の駆動時間は長くありませんが、Apple Watch Series 10 でも最大7時間も計測できるので、6時間制限のマラソン大会であれば、完走目標の人でもマラソン大会で使えるようになっています。
意外だったのが Apple Watch SE です。Apple Watch SE は34,800円から購入できるなど手に入れやすい価格でありながらも最大10時間も使えるので、7時間制限のマラソン大会にも対応しています。ウルトラマラソンやロングトレイルとなるとスペック不足ですが、ほとんどのランナーにとって、十分なバッテリー駆動時間へと進化しています。
そして、より高いレベルを目指すランナーに適した Apple Watch Ultra 2 には低電力モードなども備えていて、最大35時間の計測が可能になっています。
Apple Watch Ultra 2 の駆動時間(屋外ワークアウト)
低電力モード+GPSと心拍数の測定頻度を減らす+GPSと4G LTEを使用:最大35時間
低電力モード+GPSと4G LTEを使用:最大17時間
GPSを使用した:最大12時間
これくらいの駆動時間があれば、1日30km近く走るトップレベルの選手であっても、帰宅する前にシャットダウンするといった心配もなくなります。充電時間も短いので、お風呂に入る時間に充電するなど、自分なりの充電サイクルを作り出せば、ほぼずっと着用し続けられるデバイスになっています。
これならもう「 Apple Watch はバッテリーが……」なんてイメージも消えてなくなるはず。ランナーによっては日常生活は Apple Watch。ランニングはランニングウォッチと使い分けているようですが、最新モデルならもうその必要はありません。
服部勇馬選手の「Apple Watch Ultra 2」活用方法
Apple Watch のバッテリー駆動時間が格段に進化していることに驚かされましたが、もっと驚いたのは日本を代表するトップランナーの服部勇馬選手が愛用しているということでした。Apple Watch を外すのは車移動で充電しているときだけということで、トレーニングはもちろん日常生活でも手放せないデバイスになっているのだとか。
ただ、ランニングウォッチとしての使用方法は、私たち一般のランナーとは少し異なります。私たちはランニングウォッチを着用して走ると、そこに表示される情報に左右されながら走ることになります。たとえば「ペースが落ちているから上げよう」とか「心拍数が上がりすぎているからゆっくり走ろう」とか。
手元に「現在の自分の状態」が表示されるので、それを「理想の自分の状態」に近づけるのにランニングウォッチを使いがちです。ところが服部勇馬選手の場合は、トレーニング中には表示される情報はあまり気にせず、トレーニングが終わってからの振り返りに使っているとのこと。
よく考えれば当然のことで、トップレベルのランナーはペース感覚が身についていますし、「今日やるべきトレーニング」を積み重ねているわけで、Apple Watch の画面に表示された数値でトレーニングの負荷を調整したりはしないわけです。
決められた負荷のトレーニングを行い、その結果を振り返るのに Apple Watch Ultra 2 を活用している。ついつい、ランニングウォッチに頼って走りがちなランナーとしては、目からウロコというか、ランニングの本質に気付かされる活用方法でした。
Apple Watch Ultra 2 には陸上トラックを検知する機能も備わっており、たとえば代々木公園にある織田フィールドに行くと、織田フィールドのトラックを検知して、走るレーンを指定することで高精度で計測してくれるとのこと。
この他にもランニングトレーニングで活用するだけでなく、メッセージの返信も音声入力で行うなど、かなり使いこなしているようで、まさに Apple Watch Ultra 2 が生活の一部になっているように感じました。
「Apple Watch Ultra 2」は重い?【プチレビュー】
「Apple Watch Ultra 2 Running Experience 2025」では服部勇馬選手のトークだけでなく、実際に Apple Watch Ultra 2 を使って一緒に走るというセッションも用意していただきました。トップレベルのランナーと一緒に走る機会はほとんどないので、緊張するかと思いましたが、端末の操作であたふたしてしまいそれどころではありませんでした。
ランニングセッションの前に、ワークアウトを作成するという作業を行ったのですが、 Apple Watch Ultra 2 を使うのが初めてだったのもあり、操作を教わりながらというのもあって、「本当にこれであってる?」と不安になりながらの準備となりました。
これは慣れてしまえば問題ないことですが、いずれ操作方法をまとめた「Apple Watch の活用方法」のような記事をアップする予定です。Apple製品は直感的に使えるのが特徴とはいえ、少し専門的な使い方をするとなると、やはりある程度の知識が必要になります。ただ、操作を覚えれば自分だけのランニングメニューを作れるのは魅力的です。
今回のセッションでは、ウォーミングアップのあとに50mのインターバルを2本走るワークアウトと、1.2kmを自分で設定したペースで走るワークアウトを作成。もちろんワークアウトを作らずフリーで走ることも可能です。
装着感は「ちょっと重いかも」というのがファーストインプレッション。Apple Watch Ultra 2 は、ブラックモデルで61.8gあるので、ランニングウォッチとしては軽量ではありません。ただ、走り出してしまえば、その重さが気になることはありません。
重さが気にならないのは、ナイロン製のループバンドだったのも影響しているかもしれません。好みはわかれますが、しっかりと腕にフィットさせることができ、腕振りに対してブレることがなく一体感があるので、走っているときは存在感がなくなります。
また、服部勇馬選手は重いと感じたことがないそうなので、そこは個人差や慣れがあるかもしれません。私はすぐに慣れましたが、腕が細くて重量感のあるランニングウォッチが苦手という人は、「Apple Watch SE」や「Apple Watch Series 10」を選ぶほうがいいかもしれません。
ただ、Apple Watch Ultra 2 は高精度の2周波GPSを搭載しており、たとえば東京のオフィス街のような高層ビルに囲まれたようなエリアでも、正確に位置を計測してくれます。都会を走ることが多いランナーやシリアスランナーにとっては、それだけで Apple Watch Ultra 2 を選ぶ理由になります。
あとはやはり操作の慣れ。ランニングウォッチはそれぞれ操作に個性があり、ひとつのランニングウォッチに慣れてしまうと、乗り換えをするときに操作の違いに戸惑うことになります。でもそれはどのランニングウォッチでも起こることで、そして使いつ続ければ馴染んでくるので安心してください。
これ以上書くと、今後のレビューや紹介記事の内容がなくなってしまうので、プチレビューはこのあたりにしておきたいのですが、最後にひとつ「画面が大きいは正義」とだけ付け加えておきます。
Apple Watch Ultra 2 は画面が大きく視認性も高いので、ひと目で情報を読み取れます。画面のカスタマイズも可能ですので、重さとのトレードオフだとしても、ランナーにとってかなりありがたい特徴のひとつになります。
ランニングも生活も変わる「Apple Watch Ultra 2」
いまさらながら「Apple Watch Ultra 2」の魅力について、ランナー目線で解説してきましたが、Apple Watch をおすすめする最大の理由は、やはり健康を意識したライフスタイルに変わるきっかけになるという点です。
ランニングというとマラソン大会という印象が強いかもしれませんが、本来は多くのランナーが健康維持もしくは健康促進のために走り始めたはずです。ところがマラソン大会に出るとなると「もっと速く」の意識が高まり、健康面がおろそかになりがち。
たとえば、睡眠時間を削ってまで走るランナーもいますが、それは健康面でも走力アップという面でもマイナスです。でも「速さ」だけを追いかけていると、多くのランナーが睡眠を軽視してしまいます。でも Apple Watch があれば睡眠管理もできますし、自分の睡眠の質に対して危機感を持てるようになります。
しかも心臓を見守る機能もあり、日々のオーバートレーニングなどの指標のひとつにもできます。数値が悪く、実際に自分のコンディションもよくないなら、思い切ってトレーニングを休むなどの判断をしやすくなり、健康を守りながらランニングを楽しめるようになります。
健康を意識するようになると、食生活の改善などの意識も高まり、ライフスタイルがよりよいものへと変わっていく。これがランナーに Apple Watch をおすすめする最大の理由です。
もちろん、ご存知のとおり Apple Watch で決済もでき、スマホを持たずに電車移動もできますし、買い物もできてしまうので「今日はちょっと違う場所を走ってみよう」と、ランニング途中に電車に乗って数駅先まで行くといったこともできます。
とはいえ、私もまだまだ Apple Watch 初心者です。ありがたいことに、Appleさんが「Apple Watch Ultra 2」をしばらく貸してくれるということですので、これから使い慣れていき、今はまだ気づいていない Apple Watch の魅力をみなさんにお伝えしていきますので、楽しみに待ちください。