【シューズレビュー】アディダス「ADIZERO PRIME X(アディゼロ プライム エックス)」で1kmTTしてみた

アディダスのアディゼロシリーズの新モデル「ADIZERO PRIME X(アディゼロ プライム エックス)」を提供していただいたので、実際に走ってみた感覚などをレビューしていきたいと思います。アディゼロ プライム エックスは規格外シューズで公式レースには使えないけど、アディダスの最新テクノロジーが詰まった1足。

速さを追求するために徹底した軽量化を行っていて、それでいて50mmのソール厚で抜群のクッション性を誇り、さらには反発力も高いので推進力が半端ないランニングシューズなのですが、そこまでいくとサブ3を狙うレベルのでランナーに履きこなせるかは不安でしたが、さて結果はどうなったでしょう。

目次

アディダスの最高傑作だけど規格外モデル

スポーツには様々なルールがあります。ルールがないと平等性が失われてしまいますし、その競技の本質が失われてしまうので。サッカーの「手を使ってはいけない」というルールがなくなると、それはもサッカーではなくなってしまいます。

ランニングにおいてはランニングシューズに規制がかけられました。マラソンなどのロードレースではソール厚さは40mm以下。剛性プレートは同一平面に並べ、重なり合うのはNG。決まったものは受け入れるしかありませんが、この規定がシューズ開発の枷になってはいけない。

アディゼロ プライム エックスはそんな想いを込めて開発された特別なランニングシューズです。アディダスのテクノロジーを集結して、いま作れる最高傑作を生み出す。そのときにルールブックはとりあえず無視しよう。そうでなければ未来のシューズに繋がらないから。

ということでアディゼロ プライム エックスは規格外シューズで、公式レースには使えません。ルールとしては禁止なので陸連規則に準じて開催されているマラソン大会では市民ランナーが履いて走るのもルール違反になります。実際に咎められることはないとは思いますが、それは各自の判断ということで。

ではそんなランニングシューズをランナー側はどう扱えばいいのか。そこはまったく難しくありません。好きなように好きな場所を好きなペースで走ればいいんです。これをどう活用するかはそれぞれの自由です。ポイント練習用にするのもいいですし、トレイルで履くのも自由。

アディダスはただ最高傑作のシューズを作り出しただけ。どうやって使うかは手にしたランナー委ねられています。これはアディダスからの挑戦でもあります。常識という壁を壊す武器を用意したアディダス。じゃあお前はどんな壁を壊すのか?そう問いかけられている気がします。

フィッティングが超重要なランニングシューズ

ランニングシューズを履くときに、いつも履いているシューズだと軽く結び直す程度という人も多いかもしれませんが、アディゼロ プライム エックスはおそらく毎回フィッティングして中足部からしっかりと固定させなくてはいけません。

重さは片足235g(25.5cm)なので重たくありませんが、軽量アッパーの表面摩擦が低いのと重心がソール側に寄っているのでできちんとフィッティングさせて足との密着性を高めておかないと、ハイスピードで走ったときにシューズが振り回される形になります。

もっともトップレベルのランナーは毎回フィッティングをしていると思いますので、あえてここに書く必要はないかもしれませんが念の為。

このフィッティングの手を抜くと、根本的にスピードを出すのも難しく、何よりも快適性が失われてしまいます。正しいフィッティング方法を知らないという人は、購入するときにショップで教えてもらいましょう。履いてシューズを締めればいいというものではないので要注意ポイントです。

まず自分なりにフィッティングしても最初は緩んでしまうかもしれないので、シューズを買ってから1回目のランニングでは、自分の足に合うフィッティング方法を探るほうがいいかもしれません。ただ一般的なランニングシューズと同じで、中足部をややきつめで、あとは少し緩い感じでOKです。

おそらくフィッティングでキロ5〜10秒は変わってきます。ここは手を抜かずに時間をかけて最高の状態で走りましょう。

走るのに特化しているので走り出すまでは不安定

しっかりとフィッティングをして、まずはいつも走っている公園までジョグします。家の前からいきなり坂道で、調子が悪いときは歩いてしまいまうのですが、この日のコンディションはいまいちな感じがあったのに、坂道を物ともせず走っていけます。

ただフカフカした感覚が強く、着地したときに「こんなにも沈み込んで大丈夫?」と思うほど。さらにアディゼロ プライム エックスを履いて立っているだけだと、びっくりするほど不安定です。まるで1本歯下駄を履いているかのような感覚です。

アディゼロ プライム エックスは早く走るために作られたシューズなので、その場に立つということを削ぎ落とした結果なのでしょう。これはシューズを作る人にとってかなり勇気のいることですが、万人受けを狙わないコンセプトモデルだからこその挑戦なのかもしれません。

公園に入って、まずはウレタン舗装のランニングコースを走ります。ただシューズがフカフカなのに路面もフカフカということもあって、どうも感覚がつかめずすぐに硬い路面へ移動しました。硬い路面に入った瞬間、反応が一気に変わります。

200m程度のダッシュでしたが、簡単に2分35秒/kmなんてスピードが出ます。もちろん体が耐えられるわけもなく、2本目は少しスピードを落としましたが、それでも2分43秒/km。軽く上り傾斜になっているにもかかわらず、その傾斜を一切感じさせません。

その領域になると立っているときの不安定さはなくなり、ただひたすらに体を前に進めてくれるます。かつてBoostフォームのランニングシューズや厚底✕カーボンプレートシューズが出たときに「ドーピングシューズ」なんて揶揄する人がいましたが、アディゼロ プライム エックスのポテンシャルはそれらを軽く凌駕します。

最新テクノロジーとノウハウをフル活用すると、人間はここまで速くなれるんだということに驚き、そしてルールブックで様々な規制がかけられた意味がわかります。「これはズルい」というのがここまでの感想。アディゼロ プライム エックスは完全に異次元の存在です。

アディゼロ プライム エックスで1kmTTをしてみた結果

さて、いよいよ本題です。久しぶりの1kmTT。レースの予定がないことを理由に、最近はジョグと里山トレランばかりで、スピード練習はまったくやっていなかったので不安しかありません。自己ベストは2年前に出した3分22秒ですが、そのときはキレッキレの体です(言い訳っぽくてすみません)。

ちなみに私のマラソン自己ベストはフルマラソンが3:03:55、ハーフマラソンが1:26:25です。典型的なサブ3の壁に跳ね返され続けるランナー。そういう意味ではアディゼロ プライム エックスは完全にオーバースペックなんですが、アディゼロ アディオス プロよりも走れそうな気がしています(根拠なし)。

スタートして自分ではあまりスピードを上げていないつもりでしたが、最初の200mで2分55秒/kmになっているのを後から知りました。もちろんそんなペースで走れるわけもなく失速していくわけです。それでも思ったほどは失速せず、最終的には3分29秒/km。

結果から言えば1kmのタイムが3分23秒で自己ベストには1秒及ばずでしたが、スピード練習をまったくしていない状況で、シューズも履いたばかりであることを考えれば驚くべきタイムです。おそらくスピード練習をしたら3分20秒を切れるはずです。

スピードを出しながら1つだけ困った点がありました。それはコーナーを曲がれないこと。公園のランニングコースなので直角コーナーが何ヶ所かあって、かなりスピードを落とさないと曲がれません。ただコーナーからの立ち上がりでは、これまでに経験したことのない加速を味わえました。

走らされている感覚はありません。コーナー以外ではきちんとコントロール下にあって、それでいてストライドが勝手に伸びているので、結果的に速く走れている感じがします。立ち上がりのピッチは200spmを超えましたが、そこからは195spm程度で普段のマラソンと変わらないのにタイムが出ています。

結論

繰り返しますがアディゼロ プライム エックスは規格外のランニングシューズです。ルールブックに縛られないシューズと表現したほうがいいかもしれません。ルールブックを無視したことで、ランニングシューズはここまで進化するのだということを強く感じさせられるテスト走行になりました。

アディゼロ アディオス プロも素晴らしいシューズですが、アディゼロ プライム エックスを履いてしまうと、リミッターがかかっているように感じます。それでもシューズの力だけで走っているというのではなく、自分のポテンシャルを100%引き出してくれているという感覚があります。

ただ悩ましいのは使いどころです。レースで使えないとなるとトレーニングで履くしかありません。単純に考えるとインターバルやHIITなど、心肺機能を追い込むトレーニングに使えそうですが、きっとそんな平凡な使い方ではなく、もっとアディゼロ プライム エックスだけの使い方がありそうです。

それを探すというのもアディゼロ プライム エックスの面白さかもしれません。リミッターの外れたシューズなので、自分自身の思考のリミッターも外す必要がありそうです。もっとも、異次元のスピード領域に連れて行ってくれるだけでも十分楽しめますけどね。自分はもっと速くなれる。アディゼロ プライム エックスはそんな自信を与えてくれる1足です。

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