【シューズレビュー】アディダス「アディゼロ アディオス プロ 2(ADIZERO ADIOS PRO 2)」で旅ランしてみた

長い距離を快適に走れるなら旅ランに適しているのでは?と安易に考えて……

アディダスのテクノロジーが詰まったランニングシューズの2代目「アディゼロ アディオス プロ 2(ADIZERO ADIOS PRO 2)」をアディダスに提供していただいたのですが、履いて走る予定だったマラソン大会が中止……orz。

だからといって、1人で追い込む走りをできるほど強い心は持ち合わせていません。なのでちょっと視点を変えて、アディゼロ アディオス プロ 2を履いて鹿児島を旅ランしてきました。そこで気付いたのは、アディゼロ アディオス プロ 2の汎用性の高さでした。

目次

ハイパフォーマンスシューズをあえて旅ランに

初代モデルからしっかりとチューニングされていて、さらにムダが削ぎ落とされています

予定していた大会が中止になったので、今回は旅ランというテーマで試走してみましたが、「アディゼロ アディオス プロ 2(ADIZERO ADIOS PRO 2)」は、フルマラソンで自己ベスト更新を狙うためのハイパフォーマンスシューズです。

そのポテンシャルの高さは世界中のトップランナーが証明しており、あえてこのタイミングで語る必要はありませんよね。初代も戦えるランニングシューズではありましたが、2代目は細部がしっかりとチューニングされており、勝てるシューズへと進化。

ただしスピードだけを追求しているのではなく、着地したときの衝撃を吸収してくれるので長い距離を走っても疲れず、吸収したエネルギーを反発に変えているので、心地よい推進力を感じながら走れます。その結果、普通に走っただけなのに自己ベスト更新となるわけです。

25.5cmの実測で203gとかなり軽量でシューズの重さがストレスになることがありません

でもよく考えると、それって旅ランにもぴったりな気がします。それも観光スポットにあまり立ち寄らず、目的地まで走り続けるタイプの旅ランだとスピードに乗れるし、疲れないしとかなり相性が良さそうな気がします。

それはアディダスが想定した使い方ではないかもしれませんが、これだけ高機能なシューズを年1〜2回のレースのためだけに使うのはもったいないですよね。価格もそれなりの金額になっているので、使える用途が多いほうがいいに決まっています。

繰り返しますが「アディゼロ アディオス プロ 2(ADIZERO ADIOS PRO 2)」はマラソン大会で記録を出すための1足。それはすでに世界中で証明されていますので、ここではそれ以外の用途に使えないかという視点でレビューしていきます。

上り坂を走るのが楽しくなる推進力

アップダウンのある道を走るとシューズの推進力に支えられていることを感じます

アディゼロ アディオス プロ 2はフルマラソンで結果を出すためのランニングシューズですが、以前レビューをした「ADIZERO TAKUMI SEN 8」のように限界まで削ぎ落としたという感じはなく、履いたときに安心感があります。

「42.195kmという距離に対して不安を感じさせないおおらかさ」と表現すれば伝わるかもしれません。あくまでもタクミと比べてということですが、履いたときの安心感があるから長い距離を走ることに対して身構えることもなく、自然体で走れます。

この日は鹿児島湧水町にある「いきいきセンター くりの郷」から東洋のナイアガラ「曽木の滝」まで、往復で約40kmのコースを走りましたが、バスの都合もあり10時15分に到着して17時7分に戻ってこなくてはいけないスケジュール。

鹿児島にある東洋のナイアガラ「曽木の滝」まで往復約40kmを気持ちよく走りました

観光や食事をする時間も含めて7時間しかないのですが、こういうときの旅ランはのんびりマイペースというわけにはいかず、そこそこスピードが求められるのですが、アディゼロ アディオス プロ 2は自然体で走ってそれなりにスピードが出せるのでありがたい。

特に強みを発揮するのが上り坂で、往路はかなりアップダウンが繰り返される道を走ったのですが、しっかりと地面を掴んでくれるのでスピードをそれほど落とすことなく走れます。そもそも上り坂は得意なのですが、強引にパワーで上がるのではなくシューズの反発を使えるので、かなり楽しく走れます。

反対に不得意なのが不整地。フラットな路面を走ることを前提に設計されていますので、足裏に様々な方向から力がかかるトレイルなどの不整地では、反発力があちこちに向かうのでどうしてもシューズが暴れます。旅ランでは不整地に足を踏み入れることも多々ありますが、その場合は走らず歩くのがおすすめ。

前足部に余裕があるからストレスがなく長時間走れる

ミッドフット着地でもしっかりと反発をもらえて快適にはしれます

アディゼロ アディオス プロ 2はフォアフット着地で走るのが、もっともシューズのポテンシャルを活かせます。フォアフットになったほうがカーボンロッドのしなりが大きくなりやすく、より大きな推進力を得られるためです。

ただ旅ランではフォアフットはおすすめしません。後で詳しく説明しますが、フォアフットは足を消耗します。42.195kmを走ればいいだけのマラソンと違って、翌日以降も同じくらい走る旅ランは疲労しにくいミッドフット着地がおすすめ。

それだとアディゼロ アディオス プロ 2を履く意味がないのでは?と思うかもしれませんが、アディゼロ アディオス プロ 2の面白いところは、ミッドフット着地でもしっかりと反発力をもらえるということです。むしろ、ミッドフットのほうが弾む感覚をつかみやすいかもしれません。

前足部に余裕があるのでどんな路面でもしっかりと地面を掴めます

最近のアディダスは前足部に余裕のあるシューズが増えているのですが、アディゼロ アディオス プロ 2もその流れを汲んでおり、長い距離を走って足が浮腫んでも圧迫されることもなく、快適に走り続けられるのもアディゼロ アディオス プロ 2の魅力です。

もちろんこれは、旅ランだけでなくマラソンでも有効なポイントになります。そもそも着地の衝撃が小さくなるので、足が浮腫みにくいというのもありますが、前足部に余裕があるから、浮腫んだところでストレスを感じることもなく、後半の失速を回避できます。

そういう意味ではADIZERO BOSTON 10(アディゼロ ボストン 10)も旅ランに向いているのですが、アディゼロ アディオス プロ 2のほうが軽量で追従性が高く、今回のように少しだけスピードを求められるときには適しています。

スピードが出るので体への負担はある

スピードが出やすいので、軽く走っているつもりでもしっかりと負担はかかって筋肉痛に

ここまでの内容でアディゼロ アディオス プロ 2がいかに旅ランに向いているか、マラソン以外にも使えるかをわかってもらえたかと思いますが、本来はフルマラソンで自分のポテンシャルを引き出すシューズですので、旅ランに使うときにはいくつか気をつけなくてはいけない点があります。

  • できるだけ立ち止まらない
  • 調子に乗ってスピードを出すと筋肉痛になる
  • しっかりと地面の反発を受けて走る

この3つが旅ランで使うときの気をつけなくてはいけないポイントです。それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

できるだけ立ち止まらない

これはあらゆるレーシングシューズの宿命ですが、キロ3分台で走ることを想定してデザインされており、「止まる」ことは想定されていません。このため旅ランの途中で立ち止まったり歩いたりすると、足元が不安定になるので立って休むつもりが、むしろ疲れてしまう可能性があります。

そもそもシューズとして購入するときにも、ほとんどの人が不安定さに違和感が出てしまい「これで走れる気がしない」となりがちですが、アディゼロ アディオス プロ 2は走ったら安定するのでその違和感は無視しても構いません。

もし旅ランのメインが観光で10〜20km程度しか走らないなら、ボストン 10やアディスターのほうが安定感もあるのでおすすめです。アディゼロ アディオス プロ 2を履いて旅ランするなら、休憩中はベンチに腰掛けるなどして休みましょう。

調子に乗ってスピードを出すと筋肉痛になる

アディゼロ アディオス プロ 2はスピードを出せるシューズですので、今回は上り坂をグイグイ上ったというのもあり、翌日以降の筋肉痛が大変で、翌日は移動日で翌々日に甑島という島を旅ランしたのですが、筋肉痛で思うようなペースでは走れませんでした。

クッション性が優れているため、翌日も筋肉痛がなくリカバリーするかもと期待していましたが、そもそも長い距離の練習もできていませんでしたので、自分の能力を超えた走りをすれば、さすがにアディゼロ アディオス プロ 2でも疲労が溜まります。

1日だけの旅ランなら気にすることではありませんが、数日かけて100〜200kmを走るような旅ランなら、スピードを抑えるか、むしろスピードを出しにくいモデルがおすすめです。理想は日々のトレーニングで、シューズに走らされないカラダづくりをしておくことです。

しっかりと地面の反発を受けて走る

レースならフォアフット、旅ランならミッドフットがおすすめとお伝えしましたが、旅ランのようにゆっくり走る時間帯があるときに気をつけてもらいたいのが、踵を地面に擦るような動きをさせないことです。これをするとソールが簡単に削れてしまいます。

これはどのシューズでも同じなのですが、アディゼロ アディオス プロ 2はアウトソールが薄くて、ソールを擦るような走り方をすると簡単に削れてしまいます。レースであっても旅ランであっても、しっかりと地面の反発を受けてテンポよく推進力を生み出す走り方を心掛けてください。

結論:アディゼロ アディオス プロ 2を履いて旅ランに出よう

限られた時間内に走りきらなくてはいけないときの旅ランなら最高に相棒に

アディゼロ アディオス プロ 2はフルマラソンで自己ベスト更新を引き出してくれる相棒。それはすでに多くのランナーが証明しています。実際に履いて走ると高い反発力や推進力を感じますし、クッション性もあるので負担も軽減されています。

ただ1年に数回しか走らないフルマラソンのために、アディゼロ アディオス プロ 2を購入するのはもったいないですよね。決して安い買い物ではありませんので、マラソン大会以外にも活用したいところです。でもポイント練習はシューズのサポートを減らして高い負荷をかけたいところ。

そうなるとアディゼロ アディオス プロ 2を使うタイミングがマラソン大会以外にないわけです。だから「アディゼロ アディオス プロ 2を履いて旅ランに出よう」というのがRUNNING STREET 365の提案です。むしろ旅ランのためだけに買ってもいい1足です。

長い距離をメリハリのあるスピードで走れますし、ほどよいフィット感とクッション性を備えているので足のストレスが少なめ。おすすめなのは観光地を巡る旅ランではなく目的地に向かって走る旅ラン。走りことそのものを楽しむ旅でも、アディゼロ アディオス プロ 2は最高の相棒になります。

これからの季節は海沿いの道が気持ちいいので、アディゼロ アディオス プロ 2を持って離島を走るというのもいいかもしれません。せっかくフルマラソンを走れる走力があるのですから、それを活かして旅を満喫してみましょう。

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