ワークマンの980円ランニングシューズでフルマラソンを走ってみた

今シーズンから本格的にスポーツアパレルに参入しているワークマン。高機能で低価格のウェアを中心にかなり注目度が上がっていますが、そのアイテムの中に気になるものがひとつありました。

それが980円のランニングシューズ「アスレシューズライト」です。

このランニングシューズは150g(26cm片足)しかなく、とにかく軽くて低価格であることが魅力の1足です。ただ、ターゲットとしているのはこれからランニングを始めるのに、いきなり1万円もするようなランニングシューズは買いたくないという人です。

ランニング初心者が、とりあえず走ってみるのに購入する。そういうコンセプトで生まれたランニングシューズ。このアスレシューズライトで真面目に走ってみたらどれくらいのタイムが出るのか気になったので、実際にフルマラソンを走ってきました。

ただ、レース用に使う前にいくつかの問題もありましたので、購入からレース終了までをひとつの流れとして、ご紹介していきます。

シューズが大きすぎるという問題

購入を決めて近所のワークマンまで行ってきたのですが、購入したかったオレンジ色がなかったため、もう少し遠くのワークマンまで走って買いに行きました。ランニングで行ける範囲にワークマンが当たり前にある。これって実はすごいことです。

ワークマンは全国で800店舗以上あるのですが、どのお店でもスポーツアパレルやランニングシューズを置いています。そうなるとワークマンは日本最大規模のスポーツショップと考えることもできます。しかも早朝からオープンしているという。

それはともかく、2店舗目でオレンジ色を購入できたので、帰宅してすぐに足に合わせてみました。もちろんお店でも試し履きしていますが、そこで合わせたのはサイズ感だけでした。

普段のランニングシューズは25.5cmか26cmですが、アスレシューズライトは26cmでも親指の横が少し当たります。ただ、全体的に大きい感じがしていたので、26cmを購入して、家でしっかりとシューレースを締めてみました。

ゆるい…

シューレースを完全に締め切っても、アッパーが足から完全に浮いています。走れないことはないのですが、シューズの反応が若干遅れるのが気になります。

そういえば、ワークマンのショップ内覧会で担当者がしきりに「インソールもいいんですよ」とアピールしていたのを思い出しました。おそらくこのシューズはインソールを使うことを前提に設計されたのでしょう。

あまりにもブカブカ感がひどいので、普段はインソールを買うこともないのに、このシューズのために購入することになりました。

ちなみにこの時点ではソールはやや硬めで、反発力もクッション性もありません。ちょっとクセがある感じがありましたが、私は硬いソールのシューズが好きだというのもあり、「これは面白いかも」という感触がありました。

インソールと伸びる靴紐を購入

インソールもワークマンで買うという選択肢もありましたが、980円のランニングシューズにお金をあまりかけたくないというのもあり、私が向かったのはダイソーでした。ダイソーにはいくつものインソールがあり、その中でもスポーツ用で厚みがあるものを選択。

これだけではフィット感に不安があったのと、オレンジ1色というのがいまいち気に入らなかったのもあり、ダイソーの伸びる靴紐も合わせて購入しています。そして、ちょっと遊んでみようということで黒マジックも1本買っています。

インソールは27cmでカットするとジャストサイズという、中国製品×中国製品らしさはあったものの、厚みはバッチリでした。そして伸びる靴紐を使ったことでフィット感は格段に向上しました。

ところがインソールが入ったことでクッション性が生まれ、見事なまでにクセが消えてしまい平凡なランニングシューズが出来上がってしまいました。可もなく不可もなくで、シューズとしての魅力はほぼゼロという状態です。

これではちょっとモチベーションが上がりそうにないので、見た目も少し良くするために、皮の一部とソールの一部を黒く塗ります。そして仕上がったのがこの写真のシューズというわけです。

元デザインがあるので、デザイン性を高めるのには限度がありますが、そこそこ見た目も良くなったのではないかと思います。こうやって躊躇なく色を塗れるのも980円だからこそです。和柄の布なんかを貼っても面白いかもしれません。

左右で形が違うことが発覚

この色塗りの最中にちょっとびっくりすることに気づきました。よく見るとシューズの左右で形が違います。もともとフィッティングをしているときから、右足だけ縫い目が当たるので「おかしいなぁ」と思っていたのですが。

量産品ですので、同じ部品を使って作っているはずです。ですので、ここまで左右が違うというのは考えられません。最近は中華スマホの影響もあり、チャイナクオリティといえば、そこそこしっかりした物という印象になっていましたが、久しぶりに本物のチャイナクオリティを目の当たりに。

ワークマンは品質のよさでも高い評価を受けているはずですが、ここまであからさまにおかしなシューズが並ぶというのはやや不安になります。そして、この不安がレース目標に影響を与えました。

まさか走っているときに崩壊したりはしないでしょうけど、どこかで体に負担がかかりすぎるかもしれないと感じて、私は980円シューズで走ることになる国宝松江城マラソンでの設定完走タイムを4時間としました。

このクオリティのランニングシューズで、サブ4なら十分にインパクトがあります。ただ、軽く試走した感じではそこそこ走れそうな予感もあったので、プランBとして、自分のコンディションが良ければキロ5分、サブ3.5ペースも頭に入れて会場へと向かいました。

軽さは速さだ

ナイキの厚底ランニングシューズのキャッチコピーは「厚さは速さだ」というものですが、国宝松江城マラソンの最後尾からスタートした私が、最初に感じたのが「軽さは速さだ」ということでした。

国宝松江城マラソンのスタートは道幅の広い大通りをしばらく走るため、スタート渋滞がほとんどありません。5000人のランナーがいるにもかかわらず、最後尾は3分32秒しか遅れていません。しかもその後もしばらくは前が詰まりません。

そこで自分のコンディションも確認しつつ、どれくらいのペースで走るかを判断するのですが、ランニングシューズが軽いということもあり、簡単にキロ5分を切るスピードが出ます。それも心拍数がそれほど上がらない状態で。

3キロもいかないうちに、この日のペースはプランBに変更。サブ3.5を狙って走ることになりました。

ちなみに私の走力は、今年2月の愛媛マラソンで3時間23分くらい。それまで何年も続けてサブ3.5を達成できずに、愛媛マラソンのアスリート枠を失ってしまったランナーです。

直前の皇居練習では1周5kmを21分台で走っていますが、頑張らないとサブ3.5を出せないレベルなのに、この日はキロ5分でも遅すぎる感覚があり、気持ちよく走ろうとするとキロ4分40秒くらいになるので、ペースを落として安定させる必要がありました。

ただ、「これが最後まで続くわけがない」という思いは払拭できていません。左右で見た目が違う980円のランニングシューズでサブ3.5ができたら、シューズメーカーで開発をしている人の立場がありません。

どこまでも続く抜群の安定感

このまま走りきれるわけがないとは思うものの、アスレシューズライトは全体の幅が広い(それがデザインを損なう原因になっている)というのもあり、着地の安定感が抜群にいいことに気づきます。

しっかりと足裏全体で体重を受けてくれるので、体がまったくブレません。スタビライザーなど当然ありませんので、反発力はほぼゼロです。その変わり、自分のタイミングで足を地面からリリースできます。

私はただ一定のリズムで足を動かし続けるだけで、安定した走りがどこまでも続きます。10kmを超えても問題はなく、20kmもペースがまったく落ちることがありません。さすがにここまでくると、シューズへの信頼が出てきます。

30kmを超えたくらいで、ペースがやや落ちかけましたが、ここでのペースダウンはシューズのせいではなく、自分の走力に問題があると考え、それは980円に負けたようで悔しいので、落ちそうになるペースをなんとか食い止めます。

残り5kmになったときにサブ3.5を確信しました。そこからはキロ6分で走っても、3時間半以内のゴールができます。でも、そんな思いとは裏腹に足は快調に動き続けます。上り坂でも軽く走ることができ、下り坂ではショックをしっかり吸収してくれます。

980円のランニングシューズでサブ3.5達成!

スタートから勢いがまったく落ちないままゴール。3時間26分50秒(ネットタイム3時間23分18秒)でサブ3.5達成です。しかも走り終えてまだ余力があります。もちろん、筋肉にはそれなりの負担がかかっていますが、座り込むこともありません。

ワークマンの980円ランニングシューズを履いて、フルマラソンを完走できたら面白いなという思いから始めてみたら、思わぬ結果になってしまいました。余裕を持ってのサブ3.5ですので、狐につままれたような気分です。

このシューズで、ここ数年の自己ベストに近いタイムを狙わずに出せたという事実。1足1万円以上するランニングシューズを開発しているメーカーにしてみれば、ちょっとやるせない気持ちになるかもしれません。

もちろん、そういうランニングシューズを履いて走れば、もう少しタイムが縮まったかもしれませんが、それでも3時間20分を切れればいいところ。10倍以上の値段を出して、数分縮まることをどう考えるかというのはとても難しい問題です。

ただ、ワークマンの980円ランニングシューズ「アスレシューズライト」は十分なデザイン性があるとは言えません。ボタッとしていてスタイリッシュさはなく、高級感ももちろんありません。

ですので、おそらくいくら速く走れるからといって、これをあえて選ぶという人は少数派かもしれません。ランニングシューズのデザインというのは、走るモチベーションを上げるためにとても重要です。

でも、1ヶ月に500キロ近く走っているランナーにしてみると、シューズというのは消耗品です。2ヶ月に1回買い替えなくてはいけませんので、そのたびに1万円も出していたのでは、家計に響きます。

普段のトレーニングに使うだけなら、ワークマンの980円ランニングシューズで十分ではないか。そう思えるだけのポテンシャルがこのシューズにはありました。学生の部活用シューズとしても問題ありません。

インソールを入れるなどの工夫は必要ですし、人によっては足型が根本的に合わない可能性もあります。でもデザインも気にならず、走れればいいというだけなら、このシューズは十分に選択肢のひとつになります。

練習用のランニングシューズの購入を考えているなら、ワークマンの980円ランニングシューズはありです。もちろん、レース用としても問題ありません。ただ、しつこいようですがデザインと縫製のばらつきが……

もっとも980円ですから小さいことは気にせず、まずは買って履いてみてはいかがでしょう。きっとこのシューズの軽さに心を奪われることになるはずです。

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