
フランス発、欧州最大の総合スポーツメーカー「DECATHLON(デカトロン)」の展示会「DECATHLON & KIPRUN 2026 PRESS PREVIEW」に招待していただいたので、今年はどんな展開になっているのかと期待して行ってきたのですが、そんな期待を遥かに上回る驚きがありました。
個人的にKIPRUNのシューズはまだまだ発展途上であり、KIPRUNで推していたのはアパレルです。フランスデザインの他にはない個性的なカットや色使いが気に入っていたのですが、今回衝撃的だったのはシューズ開発の技術力の高さと情熱でした。
安定性へのこだわりとオンリーワンとナンバーワンへの挑戦

日本でデカトロンといえば、大型のスポーツ店という印象を持っている人のほうが多いかもしれません。実際に今でもリーズナブルな価格でさまざまなスポーツ用品を取り扱っていますが、ランニングに関してはちょっと力の入れ方が変わっています。
2024年にブランドの再編を行い、ランニングアイテムを「KIPRUN」に統合したときには、製品展開をわかりやすくしたくらいに感じていました。ところが2025年の世界陸上東京大会では、KIPRUN契約アスリートのジミー・グレシエ選手が10000mで金メダルを獲得。世界に技術力の高さを知らしめました。
今回の展示会では、そんなKIPRUNの4つのシューズを履いてみました。いずれのシューズにも共通しているのが「安定性」で、どのシューズでも前足部でしっかり体重を受けられるようにデザインされています。ここがKIPRUNの最も重視している点なのかもしれません。
それでいて、他のメーカーにはないオンリーワンの技術や発想でシューズ開発も行っており、個性的な仕上がりになっています。さらに、世界で戦えるシューズへの挑戦として、解析も含めて開発に力が入っているのが伝わってきます。
現時点ではまだ発展途上でシューズの完成度は高いとはいえません。アディダスやアシックスなどのシューズと比べればまだ1〜2周ほど遅れてはいます。でも、たった1年で射程圏内にまで急成長してきたともいえます。その技術力の高さや熱量から考えれば、1年後にはもっと多くのトップアスリートがKIPRUNを選んでいる可能性があります。
なぜそう感じたのか、今回試し履きした4つのモデルで、感じたことをそれぞれ簡単にレビューしていきます。
KIPRIDE MAX

KIPRIDE MAXはいわゆるジョグシューズで、クッション性を重視したモデルになります。クッション性だけでなく程よい反発性も備えており、サイズ42(26.5〜27cm)で271gと重さもそれほどなく、それでいて安定しています。この安定性はデカトロンのシューズに共通する強みですが、その中でも圧倒的な安定性が備わっています。
雑な着地になっても、圧縮されたソールの反発で、定められた位置に膝を誘導してくれるので、初心者にありがちな膝のトラブルを回避できる可能性を感じます。また、足を優しく包みこんでくれるので、着用したときの安心感も高く、履いた瞬間に「デイリートレーナーとしてマストバイ」と感じました。
| 重さ | MENS:271g(42サイズ) WOMENS:226g(38サイズ) |
| ソールスペック | ドロップ:6mm ソール厚さ:42/36mm |
| 価格 | 21,900円 |
KIPSTORM TEMPO

安定性と反発力を備えた軽量モデルで、スピード練習にも使える1足。総合力は高いものの、悩ましいのは45mmのソール厚さ。そして、スピードに特化したモデルということで、スピード練習にしか使えないという使用用途の狭さがあります。
45mmでもレースで履くという人ならレースシューズにもなりますが、マラソンのルールの範囲内でと考えるランナーにとってはなかなか手を出しにくい1足。ただ、コストパフォーマンスがとても高く(他のメーカーの同等シューズより5,000円くらい安い)、デカトロンの技術力の優秀さを感じる1足です。
| 重さ | MENS:225g(42サイズ) WOMENS:190g(38サイズ) |
| ソールスペック | ドロップ:8mm ソール厚さ:45/37mm |
| 価格 | 19,900円 |
KIPSTORM ELITE

レースで1秒を削るためのレーシングモデルで、ミッドソールにカーボンプレートを搭載しています。このシューズは最高のミッドソールを持っているものの、個人的にはアッパーには満足していません。1〜2世代前のフィット感でこの価格帯のシューズに見合うものではありません。
ただ、何かをしようとしていること、シューズの開発者たちが、難しい課題を掲げてチャレンジしたことは伝わってきます。おそらくその方向性は正しいものの、時間が足りなかったといったところでしょうか。「KIPSTORM ELITE 2」は間違いなく、あらゆる面で満足できるシューズへと進化してくるはずです。
| 重さ | MENS:215g(42サイズ) WOMENS:185g(38サイズ) |
| ソールスペック | ドロップ:5mm ソール厚さ(MENS):39/34mm ソール厚さ(WOMENS):35/30mm |
| 価格 | 34,900円 |
KIPSUMMIT MAX

KIPRUNではトレランシューズも取り扱っていて、今回足を入れたのがこのモデルです。約2万円でVibram Megagripを搭載しており、信頼できるグリップ力を備えています。そしてトレランシューズでも安定性が重視されており、トレイル初心者でも安心して走れます。
超軽量というほどではありませんが、ロードのジョグシューズクラスの重さなのでストレスがありません。そして中足部に反発性があり、剛性を重視したしっかりとした作りでありながらもリズミカルに走れる構造になっています。
| 重さ | MENS:280g(42サイズ) WOMENS:240g(38サイズ) |
| ソールスペック | ドロップ:6mm ソール厚さ6:38.5/32.5mm ラグ:4mm |
| 価格 | 20,900円 |

今後もしばらくはアパレルがKIPRUNを引っ張っていくと予想

今回はKIPRUNのランニングシューズの進化に驚かされたのですが、現時点で「おすすめ」と言えるのは「KIPRIDE MAX」と「KIPSUMMIT MAX」の2足。スピード重視の2モデルに関しては、世の中にいくつもあるレーシングモデルやスピードシューズと比べて、特別に抜きん出ている部分を感じません。
あえて挙げるならデザインの秀逸さですが、デザインだけで3.5万円をさっと出せるランナーは限られています。もちろん、シューズには相性があるので、「KIPSTORM TEMPO」や「KIPSTORM ELITE」で自分のポテンシャルを引き出せるランナーもいるかと思いますが、この2足はむしろ次のモデルに期待しています。

そして、デザインという意味ではやはりKIPRUNはアパレルです。とにかく色使いもカットも美しく、派手なデザインに逃げるのではなく、ミニマムでありながらも美しさを追求するスタンスは、日本人ランナーとの相性もよく、とくに女性ランナーにおすすめです。
実際にマラソン大会会場で販売したところ、アパレルがかなり売れたとのこと。そういう意味では、安心しておすすめといえるのはアパレルで、しばらくはアパレルがKIPRUNを引っ張っていくのでしょう。ただ、2〜3年後にはKIPRUNといえばシューズとなる可能性も高く、そうなると入手性も上がってくるはずです。

KIPRUNのシューズもアパレルもオンラインストアで購入することも可能ですが、KIPRUNのシューズに関しては必ずしも現在履いているシューズのサイズがジャストというわけではないので、試し履きしたうえで購入がおすすめ。そういう意味でも、これから取扱店が増えるのを期待しています。
ちなみにKIPRUNのシューズとアパレルは、オンラインストアだけでなくメガスポーツでも購入できます。すべての店舗で購入できるわけではありませんので、デカトロン取扱メガスポーツ店舗情報を確認の上、お近くの店舗をチェックしてみましょう。
