「男子三日会わざれば刮目してみよ」と言いますが、最近では男性よりも女性の方が刮目して見なくてはいけないというケースが増えてきました。それを強く感じたのが、FWD 北極マラソン 2019の出発式でした。
FWD 北極マラソン2018に出場したモデルの出岡美咲さんを、2018年5月にインタビューしましたが、今年3月に行われた出発式に登壇した彼女は、別人のように凛とした美しさを備えた女性へと成長していました。
1年前はどことなく「女の子」の部分が残っていた印象がありましたが、出発式での彼女は、何かを覚悟した人だけが持つ目をしていました。
この1年にどんな変化があったのか、それが北極マラソンと関係があるのかを聞きたくなり、FWD 北極マラソン 2019(大会は中止になりFWD 北緯78度マラソンに変更)から帰国した出岡美咲をインタビューさせていただきました。
モデルという特別な仕事をしている彼女ですが、多くのランナーにとって、彼女の経験やランニングとの向き合い方が参考になるはずです。
果てしなく長い直線の先に見えたもの
FWD 北極マラソン 2019はロシアとウクライナの2国間における緊張が高まったことから、運営事務局は「中止」という判断を行いました。
ノルウェー領スヴァールバル諸島にある小さな町、ロングイエールビーンでの大会ブリーフィングでは「2〜3日遅れる」ということでした。その後、開催に目処が立たなくなったこともあり、参加者は一時的にオスロへと戻ります。
ところが、オスロで待機していた参加者を待っていたのは「今年は開催できない」という答えでした。ところがその連絡を受けた出岡さんたちは、再びロングイエールビーンへと戻ります。
北極の氷の上は走れなくなったけど、せめて42.195kmを走りたい。その強い想いがレースを実現へと繋がりました。世界最北の街で開催されるフルマラソン「FWD 北緯78度マラソン」の開催です。
ただし、ロングイエールビーンはランナーなど1人もいないような最北の地。コースを確保するのも難しいため、直線コースを4往復する形で開催されることになりました。
例年ですと雪が積もり、北極に近い環境で走ることができるロングイエールビーンですが、今年は温暖化の影響か道の雪が溶け、小雨も降っていたこともありぬかるみ状態に。さらには谷を走る形になるため強風に煽られながらのマラソンになりました。
ある意味、北極マラソンよりも過酷な状況です。コンディションは悪く、しかもひたすら5km以上の直線を進みます。折り返しますので、他の選手とすれ違うことはあっても基本的には孤独な時間が続きます。
途中「なんでこんなところを走っているだろう」「北極を走りたかった」という想いが浮かんできたそうです。景色がまったく変わらないため、前に進んでいるのかすら分からなくなります。
ただ、それでも昨年のFWD 北極マラソンを経験したことにより、時間の経過とともに見えてくるものや感じるものが変わってきます。最後の5kmでこみ上げてきたのは、自分が地球と繋がっている感覚。これは他のランナーにも共通していた感覚だったそうです。
そして、6時間19分をかけてのゴール。
3時間以内に走り終えたランナーさんも含め、全員が出迎えてくれたことで、「何があっても笑顔で走りきる」と決めていた出岡さんは、最後の最後でそのルールを守れなかったとブログでも語っていますが、こんなにも美しいルール破りがあるでしょうか。
果てしなく長い直線を走り終え、彼女が手にしたのは「感謝の気持ち」と、諦めずに粘り強く継続した人だけが得られる「心の強さ」でした。
あたり前のケアをきちんとすること
出岡美咲さんは、速く走るための才能を与えられたランナーではありません。フルマラソンは「なかなかサブ4に届かない」状態にあり、遺伝子的にも筋肉が付きにくいという体質もあり、走るために様々な努力をしています。
ただ、彼女はそれを努力とは言いません。食べ物に関しても「特別に気を遣っていない」と言いますが、筋肉を維持するために毎朝プロテインを摂り、食事では脂質は避けています。
サプリメントも利用しますが、それよりもタンパク質を意識的に摂取しているそうです。タンパク質は吸収に時間がかかり腹持ちがいいため、タンパク質を意識するようになってから、どか食いなどをしなくなったそうです。
これらのことは彼女にとって「特別なこと」ではありません。一見するとストイックに見えますが、彼女にしてみれば当たり前のことをしているだけ。
自分の進むべき道が明確で、そのために必要なことをきちんとする。それは特別なことでもなければ、努力でもないわけです。この感覚こそ、私たちが見習うべきことでもあります。
「こうすればいい」と分かっていることでも続かない。ほとんどのランナーさんがそれを実感しているはずです。体に悪いと思ってもジャンクなものに手を出したり、太ると分かっていても甘いものに手を出したり。
日々のケアという意味では、出岡さんは日焼け対策にはかなり気をかけているそうです。モデルという職業柄、日焼けというのはランニングとは関係なく避けなくてはいけないことですが、ランニングと日焼けはセットのようなものです。
外を走れば日焼けは避けられない。そう思っているランナーも多いかと思いますが、出岡さんはこれに関しては徹底しています。日焼けを避けるために、ランニングは基本的に朝と夜に行います。
日焼け止めを塗るのはもちろんのこと、飲む日焼け止めも常用しています。飲む日焼け止めは欧米では一般的で、日本でも女性を中心に利用者が多いサプリメントですが、男性ランナーは存在を初めて知ったという人も多いかもしれません。
「自分はモデルじゃないから関係ない」「走って日焼けするのは当然」と思っているランナーさんもたくさんいますが、日焼けは疲労回復を遅らせます。皮膚がんなどのリスクも高くなります。将来的にはシワやシミの原因にもなります。
体を常に最高の状態に保つことを求められる出岡さんだからこそ、日焼けを含めた体のケアを大事にしていますが、これは誰でもすぐにでも真似できることでもあります。1分1秒を縮めるために走り込むのと同じくらい、体のケアを「あたり前のこと」として続けること。
これが「強い」ランナーになるためのベースになります。
FWD 北極マラソンという極限のチャレンジが彼女に与えたもの
FWD富士生命のサポートにより2018年のFWD 北極マラソンに出場した出岡美咲さん。完全なる非日常の世界で走ったハーフマラソン。そこでの経験は彼女の内面に大きな変化を与えました。
北極を走るまでは何をするにしても「こうしなくてはいけない」「きちんとしなくてはいけない」という向き合い方だったものが、極寒の地でのマラソンを経験したことで「とりあえずやってみよう」という感覚に変わっていったそうです。
言葉にするのは簡単なことですが、心のあり方を変えるというのは決して簡単なことではありません。私たちの心のあり方が変わるのは、そのままの自分ではどうにもならないといった危機感を持ったときです。
体感−40℃の世界を走ったことで精神的にも追い込まれ、そして「次はフルマラソンを完走したい」という強い想いが湧いたことで、彼女は無意識のうちに自分の心のあり方を変えたのでしょう。
とにかくやってみることが大事。
そういうスタンスで仕事や日常と向き合えるようになって、これまで辛く感じていたことが、まったく辛くなくなったそうです。ランニングに関しても「走らなきゃ」が「走りたい」へと変化しています。
そして、その積み重ねが、彼女の佇まいさえ変えていったのでしょう。
ランナーは挑戦する気持ちを持った人が多いのですが、それでも無謀だと思われるような挑戦までは行わず、自分で自分に限界を作ってしまいがちです。「自分にはできない」と決めつけて、壁を越えていくことに対して二の足を踏む。
でも、そこから踏み出してみないと見えない景色があります。そして、その景色を見たことで未来が大きく変わる可能性もあります。挑戦に成功すれば自信になりますし、失敗してもそれを成長の糧にすることもできます。
前に進みさえすれば、何かが起こる。挑戦することで未来が変わる。出岡美咲さんは、FWD 北極マラソンやFWD 北緯78度マラソンを走ることでそれを示しました。
大事なのは立ち止まらないこと。挑戦することを楽しむことです。
北極マラソンのような大きな舞台でなくてもかまいません。自分にとっての大きな壁を乗り越えてみませんか?その壁の向こう側の景色を見に行きませんか?その壁を越えたとき、あなたの中にも小さな変化が起こるはずです。
その変化を新しいチャレンジとともにゆっくりと育てることができれば、世界はもっと輝いて見えるはずです。
FWD富士生命によるサポート
今回のFWD 北極マラソン(FWD 北緯78度マラソン)は「FWD北極マラソンチャレンジ2019」として、FWD富士生命が2019年度ランナーへの 応援メッセージや「いいね!」を Instagram上で募集していました。
その応援メッセージや「いいね!」の数に応じた金額が、乳がん啓発活動の一環としてNPO法人「Run for the Cure」に寄付されることになっていましたが、今回のチャレンジにより、最高金額の50万円の寄付が達成されました。
応援メッセージやRun for the Cureへの寄付が、厳しいコンディションで走り続けた出岡さんの支えになったのは間違いありません。そしてFWD富士生命のサポートがあったからこそ、彼女は挑戦することに集中できたのでしょう。
出岡美咲さんとFWD富士生命の関係を見ていると、マラソンは決して孤独ではないということを気づかせてくれます。サポートする存在があるからこそ、私たちは思い切った挑戦ができます。
人の成長の影には、常に支えてくれる存在がある。
それはきっと私たち市民ランナーも同じことです。挑戦することはもちろん大切なことですが、支えてくれる存在への感謝を忘れないようにしたいところです。謙虚な気持ちで感謝を忘れずに、自分に必要なことを継続していくこと。
それさえ忘れなければ、北極といった特別な環境でなくても、私たちは成長できます。理想の自分に近づくことができます。ただ、私たちはいつもモチベーションを維持できるわけではありません。
そういうときは出岡美咲さんのブログやSNSなどをチェックしてください。いつも前向きで笑顔の彼女の姿を見ていると、「自分も頑張らなきゃ」という気持ちが自然と湧いてきますよ。
Instagram:https://www.instagram.com/izu_stagram/
Twitter:https://twitter.com/izu0924
BLOG:https://lineblog.me/izuokamisaki/