愛媛マラソンでのサブ3への挑戦、結果からお伝えしよう。3時間13分50秒で自己ベスト更新にも届かないという散々な結果になってしまった。多くの人に支えながらの挑戦だったにも関わらず不甲斐ないタイムになってしまったが、これもマラソン。
なぜこんな結果になったのか、反省材料を洗い出しするだけでも、誰かの役には立つかもしれない。同じような失敗をしないための反面教師にでもしてもらえればいい。
まずはマラソン前の話になるが、愛媛マラソンの開催される松山には実家があるので水曜日にすでに愛媛入りしている。なぜか木曜日のフライトだと勘違いしていて、直前になって大慌てで用意したのだが、もうこの時点でどこかおかしかったのだろう。
水曜日から金曜日の松山はこの冬一番の冷え込みということで、体を動かしに走りに出てもまったく汗をかかないくらいの寒さ。そして、実家で仕事をしている間も体全体に少し倦怠感があったのだが、さすがに日曜日には回復すると信じていた。
だが、実際には愛媛マラソン当日になっても体にはだるさが残っていた。気温の変化や環境の変化に、体が付いてこなかったのかもしれない。ウーバーイーツの配達員で疲れているだけだと思っていたが、とても走れるコンディションではなかったのだと今ならわかる。
スタートブロックはB。愛媛マラソンはサブ3ランナーが300人近くいるので、サブ3を狙うくらいのランナーではAブロックに入れない。ただ、これが最大のミスというか、つまづきの原因となってしまった。
グロスでのサブ3を狙っていたので、1分30秒のロスをスタート時点で背負ってしまったのだ。そこで気持ちを切り替えればよかったのだが、最初の1kmも大渋滞で5分/kmを大幅に上回り、ここで2分15秒のロスとなる。
その後もコースの混雑が進み、自分のペースで走れるようになるまで5kmもかかってしまった。ここですでに3分の負債。これはかなりの痛手になるし、頭の中がパニックになってしまった。4分10〜15秒/kmで走るつもりが、4分5〜10秒/kmで走らないと間に合わない計算になる。
問題なのは1kmを4分15秒でも体が無理をしていたことだ。
心拍計の数値は190を超えている。おそらく計測トラブルだとは思う。ただ140よりも明らかに高く、体が重たく感じる。重たさと怠さがあり、とてもこれで残りの距離を走れるとは思えないが、やると決めたからにはやるしかない。
どう考えても潰れるのはわかっていたが、だからといってセーフティな走りにしたらサブ3は絶対にできない。今回の愛媛マラソンはサブ3するために走っている。どこからコンディションが戻る可能性に賭けて、4分5〜10秒/kmにペースアップ。
ただ、微妙なアップダウンのあるコースでペースがまったく安定せずに、それがさらに焦りを生む結果に。中間地点を過ぎたところで1時間33分で、ネットタイムならサブ3の可能性もあったのだが、どうやってもペースを上げられるような気がしない。
往路は向かい風に苦しめられたというのもあるが、そこで無理をしすぎたのだろう。24kmを過ぎたあたりから太ももがパンパンになり、4分15秒/kmを維持することもできなくなり、サブ3の挑戦は実質的にここで終わってしまった。
そこからもできるだけ粘ったが、サブ3という目標を失ったということに対する精神的ダメージは大きく、最後は5分/kmも超えてしまうという大失速。そして3時間13分50秒でなんとかゴールになだれ込んだ。
最大のミスは、スタートロスに対するシミュレーションをしていなかったことにある。最初から3分くらいのロスがあることを想定して、レースプランを立てていれば少なくともレース展開は変わっていたし、焦らずに済んだのだ。もっとも2時間57分で走れる走力があることが大前提になるが。
だが、サブ3を狙うというのはそういうことなのだろう。42.195kmを3時間で走れてもサブ3を達成できるわけではない。トップランナーでもない限り、レースではスタートロスや渋滞がどうしても発生する。それをどれくらいと見込むか、記録を狙う上ではとても重要なポイントになる。
そして、やはりコンディショニングに失敗しているのは大きい。慣れない柔らかい布団で腰がずっと張っていしたし、体調だって万全とは言いがたい状態だったのは、疲労抜きがきちんとできていなかった証拠だろう。普段の走行距離を減らしすぎたというのもあるし、睡眠時間が足りていない。
1ヶ月前くらいからは、目覚ましなしでしっかり寝るくらいの生活にしなくてはいけなかったのだろう。ピーキングというのが次の課題。レースに向けてどんな準備をすればいいのか、そのノウハウを学ぶ必要があるのだろう。
連載としては、サブ3失敗という形で終わることになるが、今回の失敗によって闘争心に火が付いた。4月にセルビアのマラソン大会に出場することになっているので、そこでもう1度サブ3を狙い、もちろん来年の愛媛マラソンでもリベンジしなくてはならない。
悔しさは力になる。今回達成できなかったことが必ず未来につながる。だからマラソンは面白い。マラソンにおいて必ずしもタイムを追う必要はないが、目標を持ってそこに挑戦するというのは、ランニングライフにメリハリを与えてくれる。挑戦したからこそ見える景色もある。
私の挑戦は失敗に終わったから説得力はないが、ぜひこれを読んでいる人も自分なりの目標を設定し、そこに向けてひたむきに努力を積み重ねて欲しい。努力が報われないかもしれないが、大事なのはその姿勢だ。「自分も挑戦する」そういう人が1人でもいてくれれば、15回の連載も意味のあるものになるのだろう。
ここはまだ限界なんかじゃない。
挑戦する気持ちを捨てなければマラソンに終わりはない。