大山山頂が白く見えるのは数日前に降った雪の影響。ただしゴールのある大山阿夫利神社のスタート時点での気温は11℃とのこと。少し風はあるものの走れば気にならないレベル。最高のコンディションで大山登山マラソンが行われました。
「壁のような坂道がある」過去の参加者が口々に大山マラソンのきつさを伝えたため、小さな町のマラソン大会は会を重ねるごとに全国区の大会へと成長していきました。
大山登山マラソンに出るために神奈川の伊勢原に3000人近いランナーが集結するのです。
ただ、大山登山マラソンの人気は決して壁のような坂道だけではありません。とても3000人規模とは思えないような充実したサポートと、市長を中心とした行政の前向きな参加。そして厳しいコースとは正反対の緩さのある会場の雰囲気。
ゲストランナーからしてすごいことになっています。オリンピック出場者がずらっと4人も並びます。浅利純子さん、小崎まりさん、坂本直子さん、吉川美香さん。彼女たちをひと目見ようと開会式に多くの人が、ウォーミングアップそっちのけで集まってきます。
そして彼女たちの挨拶が終わった後に審判からの説明時には半分以上の人たちが開会式から離脱。最後に大山登山マラソンの応援歌を作詞作曲しているシンガーソングライターの平田輝のライブ時にはもう・・・
どの大会でもそうですが、よっぽどの有名人でなければランナーは歌手に興味を示しません。いい歌だったんですよ。
スタートは3回に分けてのウェーブスタートです。第1ウェーブは50代以上の男性、第2ウェーブは40代男性と女性全員、第3ウェーブは30代以下の男性。30分の間隔を開けてのスタートになります。
メイン会場の小学校の校門に集合して、ウェーブごとにスタート地点の伊勢原駅前に移動します。
コースは伊勢原駅前から大山阿夫利神社までの約9km。スタートから1kmで国道246号線を横切るのですが、各ウェーブのトップが通過してから5分経過したら、道路の封鎖が解除されます。トップは3分台の前半で入るので8分が一つの目安。それほど無茶な設定ではないので、気にすることはないでしょう。
傾斜は徐々にきつくなっていきます。
3km海抜80m
4km海抜105m(+25m)
5km海抜160m(+55m)
6km海抜230m(+70m)
7km海抜310m(+80m)
8km海抜480m(+170m)
ゴール海抜680m(+200m)
コース攻略のポイントは山に入るまでの7kmまでにいかにタイムを縮めるか。とはいえ前半飛ばし過ぎると後半は足が上がらなくなります。走力のないランナーは這いつくばるように手すりにしがみついてゴールを目指します。
大きな町でもないですし、さらに人気のない場所を走るため声援はまばらですが、応援してくれる人たちはみんな嬉しそうな顔をしています。数は少なくとも力強い声援が続きます。
エイドは水とスポーツドリンク。10kmありませんのでこれで十分です。エイド間の距離も長すぎず「水が欲しくなる前には必ずエイドがあります。地元のランナーが運営側に回ることもあるので、ランナー側のことがよくわかっているのでしょう。
厳しいのは本当の山道に入る残り1kmです。ほとんどの人は歩いています。ところどころ渋滞も発生しているので、ここまで来ると急いでも仕方ありません。周りに置いていかれないようにスピードを合わせて上るだけです。
傾斜は厳しいのですが大山阿夫利神社まである男坂と女坂、登りやすく安全な女坂を登っているので少し耐えればあっという間にゴールです。最後の1kmに余力があるかどうかでこのコースの印象がずいぶん変わってくるはずです。
ゴールの大山阿夫利神社前はそれほど大きなスペースがあるわけではないので、ゴールしたランナーやその応援者でごった返して、それが熱気となっていい雰囲気ができています。走ってきたランナーの気持ちが昂ぶっているのが伝わってきます。
ゴールではお粥とお汁粉が振る舞われます。疲れきったランナーにとってこれほどのごちそうはありません。
ゴール地点からは無料でケーブルカーとバスでスタート地点に戻ることが出来るのですが、このケーブルカー待ちがすごいことになっています。おそらく1時間近く待つことになります。定員が78名なので1時間に600人ぐらい・・・
なのでほとんどのランナーは自力で下山します。安全な女坂はランナーが走っていますので、男坂から下りるのですが、大山登山マラソンに集まるランナーはさすがみんな元気。さっきまで9km上ってきたばかりなのにスイスイと下っていきます。
下山してもバスに乗らずにそのままメイン会場まで走り、トータル18kmを走る猛者も結構います。
完走証はメイン会場で発行されます。メイン会場には椅子とテーブルが用意され、伊勢原の商工会などが出しているのでしょうか、地元の名産品やB級グルメ、日本酒や生ビールのお店が並びちょっとしたお祭り気分です。
そして会場から駅までの商店街では露店が並び、ここもお祭り状態でなぜかサンバまで始まって、ものすごくにぎやか。仲間と参加して大山登山マラソンを一緒に走り、メイン会場や商店街で翌日の筋肉痛なんて無視して呑んだくれる。最高の休日じゃないですか。
大山登山マラソン、出たことない人はランナーとして損していますよ!苦しいけど、苦しいぶん大きな笑顔になれる大会です。「壁のような坂道」に惑わされず、ぜひ来年以降にチャレンしてください。
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