日本一早いマラソンレポート「STAIRCLIMBING CHALLENGE 大阪大会」

2023年まで、あべのハルカスで開催されていた「STAIRCLIMBING CHALLENGE 大阪大会(以下 SCC大阪大会)」。2024年シーズンは開催が2025年2月16日にずれ込み、そして会場が「ツイン21 MID タワー」へと変更になっています。大きな変化があったわけですが、どのような大会になったのか気になっている人も多いはず。

今回も大会にエントリーして、実際に「ツイン21 MID タワー」の階段を駆け上がってきましたので、これまでの大会と比較して何が変わったのか、どのような魅力のある大会になったのかをレポートしていきます。次回以降のチャレンジを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

SCC大阪大会はあべのハルカスからツイン21 MID タワーへ

まず今大会の最大のトピックは、会場があべのハルカスからツイン21 MID タワーに変更されたこと。高さ日本一の座は返上したものの、西日本ではNo.1の高さを誇り、SCCでは総数1610段、288mもの高さを上れるといった魅力がありました。

ただ、普段からあまり運動をしていないという人にとっては、想像を遥かに超えたチャレンジであり、ステアクライミングに興味があっても、あべのハルカスというだけで尻込みした方も多いはず。ところが、ツイン21 MID タワーに変わったことで、そのハードルが一気に下がっています。

ツイン21 MID タワーの階段は739段(約150m)あり、1階から37階まで駆け上がるので、単純計算であべのハルカスの半分以下になります。これにより心理的なハードルが一気に下がりましたが、物足りないと感じるステアクライマーのために、2本走れる「ダブル」も用意されています。

また、エリート部門である「STAIRCLIMBING JAPAN CIRCUIT(以下 SJC)」も同時開催されており、そちらはすべての選手が2本走り、その合計タイムで順位が決まります。さらに、やや複雑になるのですが、今回は「全日本ステアクライミング選手権大会」も兼ねています。

SCC:誰でも参加できる
SJC:基準を満たした登録選手のみ参加できる
全日本ステアクライミング選手権大会:SJC登録選手とJSA(日本スカイランニング協会)登録選手

SJCは年間を通じてのチャンピオンを決めるシリーズ戦ですが、日本を代表するステアクライマーである渡辺良治選手は世界サーキットを回っているので参戦していません。他にもさまざまな理由でSJCには参戦していないけど、実力のあるJSA登録選手がいて、その選手も合わせて、一発勝負で日本一を決めようというわけです。

話がやや複雑になりましたが、SCC大阪大会は一般の参加者だけでなく、日本を代表するステアクライマーも集結して、ハイレベルな競い合いが繰り広げられました。

739段だからこそオールアウトできるSCC大阪大会

会場入りして感じたのは、「ツイン21 MID タワー」がとてもいい会場だということでした。風水的には大阪城の北東にあたるので鬼門に位置するはずですが、大阪城のパワーにでも守られているのでしょうか、とてもリラックスできてベストを尽くせそうな雰囲気に包まれています。

しかも建物内にコンビニやカフェ、飲食店もあって、走り終えてから打ち上げもできますし、缶ビールで乾杯なんてこともできてしまいます。それでいて休日のオフィスビルですので、階段関係者のみが集まり、「階段を駆け上がる」という目的だけがそこにあるわけです。

大会としてはハルカススカイラン以前に開催された、咲州庁舎で2015年に開催された「階段垂直マラソン THE RISE 256」に近いものを感じました。あれから10年で原点回帰というわけではないでしょうが、大会として新しい1歩を踏み出すのに相応しい会場でした。

「でも段数は少ないんでしょ?」と意地悪な質問を受けそうですが、ステアクライミングという競技は、段数が多くても少なくても、その段数に応じた「挑戦」になります。それは陸上競技に100mもあればフルマラソンがあるのと同じで、それぞれの段数ごとに適性も求められる技術も変わってきます。

しかも2本走るとなると戦略性も求められます。私がエントリーしたのは1本だけの部門でしたが、ゴール直後に疲れ果てて倒れてしまうという経験をはじめてしました。中部電力 MIRAI TOWERやあべのハルカスでも、走り終えて立っていられなかったことはないのですが、今回は見事に撃沈しました。

段数が1000段を超えるような階段の場合、最後は歩いているだけでになることが多く、その間に心肺機能は回復しているのでしょう。でも今回のSCC大阪大会は、足がパンパンになって歩いても、また走り出せるので最後は振り絞ることができます。その結果がちょうどいいオールアウトにつながっているのかもしれません。

最高年齢73歳!SCC大阪大会は誰もが舞台に上がれる

今回のSCC大阪大会には、北海道から佐賀県まで全国各地から参加者が集まりました。沖縄を含む南九州の参加者がいなかったのは、同日に「おきなわマラソン」と「北九州マラソン」が開催されていたことも影響しているのかもしれません。

ステアクライミングは屋内で実施できるため、季節を問わず真冬でもベストコンディションで開催できるのですが、残念なことに2〜3月は記録を狙う全国のランナーがフルマラソンにチャレンジしています。私も1週間前に愛媛マラソンを走っており、数日前にようやくジョグができるようになったレベル。

そういう意味では、この時期の開催はどうしてもランナーを集めにくいという問題があります。ただ、SCCが門戸を開いているのはマラソンランナーだけではありません。しかもツイン21 MID タワーでの開催になったことで、参加するための心理的なハードルは下がっていて、誰でも気軽に参加できるようになりました。

今回の参加者の最高年齢は73歳。小学生低学年から70代まで参加していることからも、誰もが舞台に上がって挑戦できるイベントだということがわかってもらえるはずです。実際に、スタート前のインタビューで「普段は何も運動をしていない」という参加者が何人もいて、すでにランナーだけのイベントではなくなっています。

かつて「階段マラソン」だった大会名も「ステアクライミング」へと変わり、まだまだ認知度が高いわけではありませんが、ひとつの競技として認識されるようになりつつあります。こうなってくると、毎月全国のどこかでSCCが開催されている未来も期待したくなります。

今大会の終わりに発表がありましたが、2024年に滋賀県の太郎坊で開催された「太郎坊チャレンジ」が2025年のSCC、SJCに加わることになり、2024年シーズンの「名古屋・大阪・高松」が継続されるなら、2025年シーズンは「名古屋・大阪・高松・太郎坊」になり、(私が勝手に)期待する未来に一歩近づきます。

ステアクライミングレースに出ることが健康的な生活につながる

なぜ毎月どこかでSCCを開催してもらいたいか。理由はいたってシンプルです。ステアクライミングという競技が身近なところで開催されると参加する人が増えます。参加した人はほぼ漏れなく、日常生活からエスカレーターではなく階段を選ぶようになります。

どれだけ素晴らしいタイムで駆け上がったところで、そこで満足するのではなく「もっとできたはず」となるのがステアクライミングの奥深くもあり面白いところです。そうなってくると、日常生活の見直しがはじまります。あえて階段を選ぶようになり、食事にも気をかけるようになる。

その先にあるのは健康的な生活です。日本一を狙うレベルになると、命を削って挑戦することになるので、健康からは遠ざかってしまいますが、そうでないならステアクライミングとの出会いが、生活スタイルを変え、人生そのものを変えてしまう可能性すらあります。

全国各地でステアクライミングの大会が開催されれば、それだけ多くの人がステアクライミングに挑戦できます。その過程で間違いなくステアクライミングがトレンドになりますし、階段の有効性も見直されるはずです。そして、いつの日にか階段を選ぶことはチャレンジではなく日常になる。

すべての人がそうなってくれると嬉しいのですが、まず私が広めたい対象はマラソンランナーです。求められるものがマラソンとはまったく違いますが、日々の積み重ねが結果につながるという点は同じ。階段を駆け上がれる筋力は、間違いなくマラソンにも活きてきます。

少しでも興味が湧いてきたという人に朗報です。3月にSCC高松大会が開催され、2月末まで参加者を募集中しています。会場である高松シンボルタワーは、高さが150mで段数は792段。まさにSCC大阪大会と同じく、オールアウトしやすい段数。ぜひ高松大会にエントリーして、ステアクライミングという沼に一緒にハマっていきましょう。

高松シンボルタワー ステアクライミングチャレンジ
https://sjc-kaidan.jp/scc/takamatsu/

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