アディダスの大人気ランニングシューズ「ADIZERO EVO SL」をレビューしてみた【PR】

RUNNING STREET 365の記事でもアクセス数が多いアディダスの「ADIZERO EVO SL」ですが、実際にかなりの数が売れているとのこと。発売当初にレビューする機会を逃してしまいましたが、アディダスより提供していただけたので、発売から1年近く経過したこのタイミングでレビューしてみようと思います。

なぜこれ程までに売れているのか、どのような走力のランナーに適してるのかについて、レーシングモデルの「ADIZERO ADIOS PRO 4」と比較しながらご紹介します。まだ購入するかどうかで迷っている人は、ぜひ検討の参考にしてください。

目次

ムダのないシンプルなデザインと軽さが魅力

今回提供していただいた「ADIZERO EVO SL」のカラーリングは「Aurora Ivy / Taupe Oxide / Iron Metallic」。箱を開けた瞬間に大きな悩みがひとつ発生。このカラーを上手にコーディネートできる自信がない……とはいえ、シューズ性能には関係ない部分ではあります。

ただ、写真を見て「ダサくないか?」という感想だけは、心の奥に閉まっておいていただけると幸いです。

「ADIZERO EVO SL」はカラーが豊富で、個人的にはホワイトのモデルが好きなのですが、いずれのカラーにも共通しているのが、大きく主張するスリーストライプス。とにかく目立つデザインに仕上がっています。ただ、それ以外に凝った装飾はなく、シンプルなデザインになっているのがADIZERO EVO SLの魅力のひとつ。

「本当にこのシューズで速く走れるの?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。それについては、後ほど詳しく解説していきます。

箱を開けてちょっと嬉しかったのは、シルバーのシューレースが付いてきたことで、シューズの印象を少し軽くしてウェアに合わせやすくするために、レビューの途中からシューレースをシルバーの付属品に交換しました。

手にした感想は、平凡ですが「軽い」ということ。25.5cmの実測値が194gですので、厚底としては「かなり軽量」に位置します。ランニングシューズにおいて軽さは重要なポイントであり、個人的には軽ければ軽いほど自分の走りができるので、私にとってはこれも大きな魅力になります。

サイズ感はいつものアディゼロと同じ。私はアディゼロシリーズは25.5cmを履いていますが、「ADIZERO EVO SL」も同じく25.5cmでまったく問題ありませんでした。

気になったのはフィット感です。「SL」という名前からもわかりますように、ADIZERO SLシリーズの系統でもあるため、かなり高いフィット感を期待したのですが、踵まわりは「ADIZERO SL 2」に近くて履き心地がいいのですが、前足部がゆったりとしています。

これは好みの差かもしれませんが、私は足を包みこんでくれるタイプのランニングシューズが好みということもあり、前足部の遊びが大きく、しかも伸縮性が低い素材を使っているということで、全体のフィット感としては物足りなさを感じています。

追い込まなくてもスピードを出せるADIZERO EVO SL

とにかく走ってみないことには、その特性がわからないということで、シェイクダウンもなしに、いきなりレースで着用してみました。2.5kmのコースを2周するレースで、1周目は取材を兼ねてカメラを持って走り、2周目からカメラを置いて走ってみました。

1周目の段階で「思ったよりも弾む」という感覚があり、それを活かすように2周目をスタートさせたら、まだ追い込んでいないのにキロ3分27秒までペースが上がってしまいました。ただ、ここ最近はスピード練習を全くしていなかったのもあり、1kmを過ぎるかどうかというところで大失速。

自分では軽く走っているつもりなのに、簡単にスピードが出てしまう。それは良いことのように思えるかもしれませんが、スピードが出るということは体への負荷が大きくなるわけで、自分の能力を超える範囲でスピードを出せるということは、きちんと走りをコントロールする能力が求められます。

出たとこ勝負で走ってしまうと、確実にオーバーペースになるのですが、悩ましいのはナチュラルにスピードが出るということ。弾むような感覚はありますが、カーボンプレートが入っていないため、パワフルな推進力を感じるわけではなく、無意識にペースが上がってしまいます。

ADIZERO EVO SLを履く場合には、まずは自分の感覚と実際のスピードのすり合わせからする必要があり、その作業を省くとADIZERO EVO SLに振り回されてしまいます。スタートで飛び出して後半失速。そういうレース展開が多いランナーがフルマラソンなどで履く場合には気をつけなくてはいけません。

スピードを出せることと、スピードを維持して走り続けることは違います。その違いを理解しているレベルのランナーであればシューズのポテンシャルを活かして走ることができますが、速さだけを求めてシューズの特性を把握せずにレースで履くと失速する可能性があり、諸刃の剣といったところでしょうか。

ADIZERO EVO SLとADIZERO ADIOS PRO 4の比較

ADIZERO EVO SLはサブスリーにも対応しているという声もあるため、シリアスランナーですとADIZERO ADIOS PRO 4とどちららを選ぶか迷うかもしれません。結論としては「ADIZERO EVO SLとADIZERO ADIOS PRO 4はまったくの別物で、タイムにこだわるならADIZERO ADIOS PRO 4がおすすめ」です。

1番の理由はシューズのフィット感で、ADIZERO ADIOS PRO 4のアッパーは自分の皮膚の一部になったかのようなフィット感があり、シューズとの一体感がストレスのない走りを実現してくれます。そして、スピードのコントロールがしやすく、どのようなレベルのランナーでも正しくサポートしてくれます。

ただ、ADIZERO EVO SLに問題があるというわけではなく、ADIZERO ADIOS PRO 4の完成度が高すぎるだけのことで、ADIZERO EVO SLにはADIZERO EVO SLの強みがあります。

ADIZERO EVO SLはオールラウンドに使えるシューズであり、安定性が高いのでジョグからスピード練習まで幅広く利用でき、フィジカルトレーニングにも対応します。ただ、それは「そう言われている」だけなので、Runmetrixを使って本当にそうなのか測定してみました。

ジョグペース

ADIZERO EVO SL
ADIZERO ADIOS PRO 4

いずれも、「骨盤を軸とした全身の連動」が低くなっていますが、これは私のランニングフォームの問題ですのでシューズの特性とは関係ありません。

いずれもキロ6分ペースを意識して走りましたが、「負担の少ない接地」に大きな違いが出ているのがわかります。ADIZERO ADIOS PRO 4はゆっくり走ることを想定していないため、ジョグペースではクッションと反発力のバランスが崩れてしまうことが考えられます。

このデータだけで「ADIZERO EVO SLはジョグにも適している」と決めつけるのはやや乱暴ですが、その傾向にあるという計測結果は実際に走ってみた感覚と一致します。

ちなみに、どちらのシューズも「キロ6分で走る」というのが大変で、結果的にどちらもキロ5分40秒前後になっています。何も考えずにゆっくり走るとキロ5分15秒くらいになってしい、これでもかなり無理してスピードを落としています。

そういう意味では、どちらもゆっくり走らなくてはいけないケースには適しておらず、その場合にはSUPERNOVAシリーズやADIZERO SL 2をおすすめします。

サブ3ペース

ADIZERO EVO SL
ADIZERO ADIOS PRO 4

ジョグペースでは明らかな差があった2つのシューズですが、サブ3ペースになるとほぼ違いがなくなります。いずれもジョグと比べてスムーズな重心移動が低下していますが、こちらも私の力不足が影響しています。半年ほどスピードを出して走っておらず、少し力任せに走った感があるため、サブ3ランナーならここまで大きな変化はないはずです。

いずれにしても、サブ3を狙ってレースをするなら、「ADIZERO EVO SL」も「ADIZERO ADIOS PRO 4」も同じような走りになることがわかります。ただし、これは1kmだけの話であり、30km移行も同じような結果になるとは限りません。後半に失速しにくいという点では、シューズの構造上「ADIZERO ADIOS PRO 4」に軍配が上がると推定できます。

全力ペース

ADIZERO EVO SL
ADIZERO ADIOS PRO 4

あまり意味のないことかもしれませんが、全力で走ってみたらどうなるかも比較してみました。結果としてはサブ3ペースと同じ様になっていますが、「ADIZERO EVO SL」での計測をしたあとに「ADIZERO ADIOS PRO 4」の計測したのもあり、「ADIZERO ADIOS PRO 4」での測定時はかなり足に疲労が溜まっていました。

このため、ペースが大きく落ちることも想定しており、「ADIZERO ADIOS PRO 4」で走っているときは、そこまで追い込んだ感じがないどころか「こんなにゆっくりで大丈夫か?」と感じていました。ところが蓋を開けてみたら、1kmのタイムはほぼ同じでした。

そのことからも、「ADIZERO ADIOS PRO 4」の優秀さがわかります。ただ、「ADIZERO EVO SLでも同じ走りができる」というのも否定できない結果になっています。少なくとも有酸素運動の範囲でスピードを出すという点においては、「ADIZERO EVO SL」と「ADIZERO ADIOS PRO 4」に違いはありません。

それでもレースで「ADIZERO ADIOS PRO 4」をおすすめするのは、42.195kmを走ることを考えたら、「ADIZERO ADIOS PRO 4」のほうが走りに余裕を感じられたためです。

とはいえ、「ADIZERO EVO SL」と「ADIZERO ADIOS PRO 4」ではシューズの価格に大きな差(19,800円と28,600円)があります。その価格差ほどにスペックの違いがあるかどうかは判断が難しいところ。そもそもシューズによって縮まったタイムは、自分の走力ではなく財力によるものでしかありません。

私たちは「もっと速くなりたい」のであって、「もっと速く走りたい」のではないはずです(速く走りたい人もいるかもしれませんが)。そういう意味では、「ADIZERO EVO SL」と「ADIZERO ADIOS PRO 4」のどちらを選ぶかというのは、ランニングの本質を忘れている議論であり、この議論には正解はないのかもしれません。

ランニングシューズを1足だけ持つなら「ADIZERO EVO SL」

フルマラソンでとにかくタイムを出したい。絶対にサブ3を達成したいというのであれば、アディゼロでおすすめするのは「ADIZERO ADIOS PRO 4」ということになりますが、「ADIZERO ADIOS PRO 4」はジョグには適していませんので、ジョグ用のシューズやフィジカルトレーニング用のシューズが別に必要になります。

シューズの耐久性を考えると、それこそインターバルやペース走のために、「ADIZERO EVO SL」などのシューズも必要になります。マラソンのためにそこまでシューズを揃えられる人は限られていて、できることならランニングシューズは1足にしたいというのであれば、「ADIZERO EVO SL」がその期待に応えてくれます。

ただし、フルマラソンで歩いてしまうような走力では、「ADIZERO EVO SL」のスペックに引っ張られてオーバーペースになる可能性があります。フルマラソン完走をハードルだと感じないくらいの走力をつけて、次のステップに進みたいというランニングにとって、「ADIZERO EVO SL」は最適な選択肢になります。

そういう意味では「ADIZERO EVO SL」と競合するのは、「ADIZERO ADIOS PRO 4」ではなく「ADIZERO BOSTON 13」なのかもしれません。どちらも1足で何でもできてしまうオールラウンダーであり、サブ3を狙うこともできます。

より高いサポート(反発力)を受けてストライドを伸ばした走りをしたいなら「ADIZERO BOSTON 13」。そしてステップアップシューズに「ADIZERO ADIOS PRO 4」が待っている。

軽さを活かしたピッチ走法で走りたいなら「ADIZERO EVO SL」といったところでしょうか。こちらのステップアップシューズは82,500円の「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1」です。

どのシューズもここ数年でスペックが大幅に上昇しており、どのシューズを履いても自分のポテンシャルを引き出してくれます。だからシューズ選びはとても難しいのですが、「ADIZERO EVO SL」という選択肢が増えたことで、それがさらに難しくなったような気がします。

ただ、自分に最適な1足を探すというのはランニングの楽しさのひとつでもあります。軽いシューズが好きだと自覚している方は、「ADIZERO EVO SL」がその最適解になる可能性があるので、迷っているならぜひ試してみてください。きっとその走りやすさに満足できるはずです。

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