
フルマラソンを走るランナーにとって、悩ましい問題のひとつが「30kmの壁」ですよね。人間の体内に取り込める糖エネルギーには限界があり、補給をしなければスピードを維持し続けることができません。そんな課題と向き合っている日本企業がDM三井製糖です。
DM三井製糖といえば、一般のランナー向けに販売しているWARABEAT!!が大人気となっていますが、それとは別にトップレベルの選手やシリアスランナーのための補給ブランドとして「Zq」を立ち上げました。
その最初の製品である「Zq カーボローディングパウダー」と「Zq スターティングエナジー」を提供していただいたので、実際に導入してみた感想をレビューしていきます。
体内の貯蔵を最大値にするためのルーティーン

フルマラソンの予定がしばらくなかったので、今回はハーフマラソンに合わせて、補給ルーティーンを導入してみました。このため、30kmの壁に対する効果をお伝えすることはできませんので、そのルーティーンの導入しやすさについてレビューしていきます。
DM三井製糖が取り組んでいるのは、フルマラソンにおけるあらゆる「補給」についてですが、まず製品化されたのが「糖エネルギーを貯める」ための「Zq カーボローディングパウダー」と「Zq スターティングエナジー」です。
「Zq カーボローディングパウダー」はレース3日前から、1日2回水に溶かしてのみます。「Zq スターティングエナジー」はレース1時間前に補給。
食事や生活を管理してくれる人がいるなら、トータル7回の事前補給を忘れることはありませんが、私はこういうルーティーンがとても苦手。ついつい補給を忘れてしまい、中途半端な補給になったり、途中で投げ出したりしてしまいがち。
ただ、3日前から1日2回の補給ですので、朝と晩の食事に合わせればいいだけなので、これは思っていたよりもスマートに導入できました。しかも今回は前夜に夜行バスで移動でしたので、6回の食事すべて自宅。キッチンにパウダーの入った袋を置いておいたので忘れることもありません。
むしろ危なかったのはゼリー。まず、荷物に入れ忘れそうになり、そして会場入りしたら、準備しているうちに、あっという間に1時間前に。これはフルマラソンでもやりがちで、本番前の補給をしないままスタートするなんてことも考えられます。
きちんとしている人は問題ないかと思いますが、私のように忘れっぽい人はチップやゼッケンと一緒にしておいたほうがいいかもしれません。きちんと補給できなかった事実よりも、それによる心理的な不安のほうが悪い影響を与えそうですので。
すっきりしていて無理なく飲める

Zqは味にもこだわって開発しているということで、WARABEAT‼︎のようなお菓子のような美味しさをイメージしていましたが、信じられないことにZqはパウダーもゼリーも甘くありません。正確にはほんのりと甘さのようなものは感じますが、どちらかといえば、酸味があってすっきりとした味わいです。
糖エネルギーの補給といえば、当然ながら甘いものだと思っていたので、これはちょっとした驚きです。どうすれば糖から甘さを取り除けるのかはまったくわかりませんが、とにかくZqには多くの糖エネルギーが含まれているものの、糖による甘さはありません。
以前にエネルギー補給のための酢水に溶かすタイプのパウダーを使ったことがあるのですが、とにかく甘くて飲み干すのが大変でした。しかも大量の水分を摂る必要がありましたが、「Zq カーボローディングパウダー」は1回につき200〜250mlの水しか必要ありません。
コップ1杯分の水分ですので、飲むのが大変ということもありませんし、シェイカーを使えば溶かすのも簡単です。それでいて、すっきりとした味わい。これなら、ほとんどのランナーが無理なく導入できそうです。
「Zq スターティングエナジー」も同じように、甘さはほとんどありません。それを可能にしているのは、間違いなく糖のスペシャリストであるDM三井製糖の知見とテクノロジーによるもの。糖に関する正しい情報を持っているからこそ作り出せる味。それだけでも効果を期待できそうです。
ただ、大切なのは「本当に効果がある」ということです。いくら飲みやすくても、導入しやすくても、効果がなければ購入できませんよね。とはいえ、今回試したのはハーフマラソンなので、そもそも体内の糖エネルギーが不足することもありません。それでも、感じたことはあったのでレポートしていきます。
ハーフマラソンでラストスパートできる余裕

Zqを使って準備したのは、啄木の里ふれあいマラソン大会です。アップダウンが多い難コースで、そこを動画と写真の撮影しながら走ります。このため走り出しはペース設定なし。ただ、新しいランニングシューズの確認も兼ねていたので、意識してスピードを出す区間もありました。
基本的にはキロ5分前後で走りながら、風景が美しいスポットでは立ち止まって撮影。シューズの性能を確認するときはキロ4分30秒くらい。あわよくば1時間45分くらいで完走できればいいけど、おそらく1時間50分くらいになるかなという感覚でした。
ただ、ランニングシューズの反応が思いのほかよく、撮影で立ち止まっても、すぐに周りのランナーに追いつけます。この時点で、いつもと違う感覚はありました。インターバルトレーニングをやっているようなものですが、足はほとんど疲れません。
心拍数はずっとzone5なので、いつもならハーフマラソンとはいえ、疲労感があるところですが、それこそフルマラソンを走っているかのような余裕があります。そして、19キロ地点で1時間36分30秒くらい。2kmを8分30秒で走れば、1時間45分で完走できます。
そこまでのベストラップが4分19秒でしたので、本来なら諦めるべきところですが、今回はなぜか行けそうな気がします。その思考になるくらい余裕があったこと自体が、明らかに今までとは違います。きちんと頭が回っていて、判断力も悪くありません。
そしてギアを上げてラストスパート。残り1kmは4分6秒ペースまで上げてフィニッシュしました。タイムは1時間45分ジャスト。心拍数は180を記録し、さすがに息が上がりましたが、倒れ込むほどのことはありません。むしろ、そこから後方のランナーを応援しに沿道へ。
繰り返しますが、ハーフマラソンでの出来事ですし、序盤は体の走りたいように任せて走っていたので、あまり参考にならないかもしれません。でも、間違いなくエネルギーに余裕があり、少なくとも走り終えるまではグリコーゲン不足にはなっていません。
そう考えると、Zqの効果は多少なりともあったのかもしれません。走り終えてからも、大会が用意してくれたおにぎりとゆで卵を食べただけで、1時間近く石川啄木記念館で歩いていました。いつもなら「まずは食事」となるはずなのに空腹感もありません。

シリアスランナーなら取り入れてみる価値はあるZq

30kmの壁に跳ね返されてサブ3を達成できていないランナーや、それ以上の記録を目指すランナーなら導入による効果は得られそうというのが結論です。フルマラソンで試せてなくて申し訳ないのですが、少なくともいつものハーフマラソンとは違いました。
啄木の里ふれあいマラソン大会はエイドの給食もないので、レース中の補給はスポーツドリンクのみ。それでもラストスパートできる余裕があったというのは、体に十分な糖エネルギーがあったからこそ。
ではサブ3を狙うレベルよりも遅い場合はどうなのかというと、正直なところ「必要ない」という判断になります。なぜなら3時間以上かけてフルマラソンを走る場合、ランニングによる消耗だけでなく、基礎代謝分の消耗もあるためで、いずれにしてもレース中の補給が必須。
さらにフルマラソン5時間以上かかる場合は、糖エネルギーだけでなく、脂肪をエネルギーにして走ることもできます。わざわざ効果なZqを買う必要もなく、脂肪エネルギーと給食で十分に補えます。
ただし、3時間以上かかる場合で、走っているときは食べ物が喉を通らないタイプのランナーなら、Zqによる事前補給は有効です。もちろん、ジェルなどを使って追加の補給をするのがベストですが、その回数を減らすことができます。
ただ、いずれのケースでも、大切なのは事前にZqを補給することの意味をきちんと知識として学んでおくということ。補給は多角的に行う必要があり、コンディション調整とも合わせて行う必要があります。Zqさえ飲んでおけば大丈夫というわけではないので、知識も身につける必要があります。
ありがたいことに、それらの情報についてもDM三井製糖が発信してくれるので、最新の知見を学んで、賢いランナーを目指しましょう。
