
これまでいくつものスマートウォッチをランニング用に使ってきましたが、「Galaxy Watch」シリーズには触れたこともありませんでした。私がiPhoneユーザーだというのもありますが、そもそもAndroidスマホのシェアは50%を超えており、それなら「Galaxy Watch」もランナーにニーズがあるかもしれません。
そう思っていたタイミングで、Samsungさんから「Galaxy Watch9」を貸していただきました。数週間ずっと使用し続けたことでわかった「Galaxy Watch9」の魅力や悩ましい点など、ランナー視点でレビューしていきます。

スペックや機能からみた「Galaxy Watch9」の魅力

まずは「Galaxy Watch9」がどのようなスマートウォッチなのか、その魅力を簡単に説明していきます。
「Galaxy Watch9」は2026年8月に、ハイエンドスマホ市場で高いシェアを誇るSamsungから発売されたばかりのスマートウォッチです。その魅力をリストアップしていきます。
- 本体の重さは40mmモデルが31.5g、44mmモデルが34gと超軽量
- ストレスゼロのつけ心地と操作性
- 最大輝度3,000nits、Super AMOLED採用で見やすいディスプレイ
- デュアルバンドGPS(L1+L5)で位置計測精度が高い
- Google Gemini 搭載
- パーソナライズされた健康管理
- 走力に合わせたランニングトレーニングの提案
- SuicaやPASMOに対応
- IP68の高い防水性
ざっと挙げただけでもこれだけの機能やスペックを備えています。
この中で最も魅力的だったのが「軽いこと」と「つけ心地の良さ」です。装着したときにバンドが肌と一体になる感覚は、これまで使ったどのスマートウォッチとも違います。
スマートウォッチやランニングウォッチの軽量性を表現するときに、「着けていないみたい」とよく言われますが、私はその度に「そんなわけないやん」とツッコミを入れてしまいます。でも、「Galaxy Watch9」を使っていると、本当に「着けてないみたい」な感覚になりました。
確かにそこにあるのに、まるで自分の体の一部のようにしっくりくる。これだけでも「Galaxy Watch9」を購入する理由になります。
そして、嬉しいのはSuicaやPASMOにも対応しており、電車の乗り降りにスマホを出す必要がありません。最近はHUAWEIやAmazfitなど中華系スマートウォッチが注目されていますが、それらは交通系ICカードを搭載できません。
スマートウォッチで交通系ICカードに対応しているモデルは限られており、これも「Galaxy Watch9」の魅力のひとつになります。
とにかく使用していてストレスがありません。Galaxy Watch9 は「こんなにも機能を搭載しました!」と主張するタイプではなく、高い機能性はもちろんのこと、使っていて心地いいという感覚を大切にしているように感じました。
計測精度が高くランナーとしても満足度が高い「Galaxy Watch9」

「Galaxy Watch9」のランニングウォッチとしての機能面も見ていきましょう。チェックしたポイントは「計測精度」と「視認性」、「コーチング機能」です。計測精度はGPSと心拍数に分けて、それぞれレビューしていきます。
GPSの計測精度

GPSの計測精度は10点満点中8か9といったところです。新宿の高層ビル街で計測しても、デュアルバンドGNSSということもあって、かなりきれいな経路を描いてくれます。
だったら10点では?と思うかもしれませんが、どうも距離が短く計測されている感じがありました。他のランニングウォッチと比べても、スマートウォッチと比べても、距離が短くなっています。
これは「Galaxy Watch9」が正しくて、他が間違っている可能性もあります。それでも感覚的に「Galaxy Watch9」の表示で1kmを走ったときに、「ちょっと長くないか」と感じたのも事実。
その部分がマイナス1点なのと、国立競技場の外周のように屋根があるところでの計測時に、軌道が大きくズレていた点がマイナス0.5点になります。そんな環境で計測できるランニングウォッチなんてほとんどありませんが。
10点満点ではないけど十分に満足できる精度というのが私の評価になります。
心拍数の計測精度

驚かされたのが心拍数の計測精度です。心拍ベルトを使って計測した数値と、それほど変わらない結果が出ました。この結果を見たときに、Samsungの技術力に対して「信頼できる」と判断しました。


あくまでも私の感覚ですが、この心拍数測定で技術力の高さ、テクノロジーとの向き合い方がわかると考えています。大手ランニングウォッチメーカーも心拍数にはこだわっており、だからこそ今でも心拍ベルトを販売しています。
そして中華系のリーズナブルなスマートウォッチは、心拍計測がかなり不安定で、自分の感覚よりも20−30拍/分くらい高い表示を示すこともあり、ほとんど使い物にならないものもあります。
でも「Galaxy Watch9」は、ゾーンを判断するくらいなら問題なく使えると感じました。
インターバルトレーニングなどで細かく管理したいなら心拍ベルトと組み合わせる必要がありますが、この部分に関しては、大手ランニングウォッチメーカーと引けを取らないどころか、「Galaxy Watch9」のほうが高精度ではないかと感じるほど安定していました。
圧倒的に見やすいディスプレイ

ランニング中の視認性の高さは、私がこれまで使ってきたどのスマートウォッチやランニングウォッチよりも素晴らしく、情報を読み取れずに2度見するようなことは1度もありませんでした。
表示そのものがきれいというのもありますが、フォントやUIがよく考えられているというのもあります。試用期間中は天気が優れない日が続いたため、真夏日の強い日差しの下で確認ということはできませんでしたが、スペック上の輝度は最大3000nitもあるので、その点も問題ないはずです。
解像度だけなら同等クラスのスマートウォッチはいくらでもあるはずですが、なぜか読み取りやすい。これもSamsungの技術力によるものなのかもしれません。
走力に合わせたランニングトレーニングの提案

面白いなと感じたのがランニングテストです。12分間のランニングで走力を測定し、1〜10の「ランニングレベル」に分類してくれます。これにより、自分がいまどのレベルにあるのかを判断しやすくなります。
しかも、そのランニングレベルに応じてトレーニングの提案もしてくれます。自分だけのトレーニングプランが提示され、それに従ってトレーニングすれば、確実に成長できる仕組みになっていて、まるでパーソナルトレーナーのように寄り添ってくれます。
また、フィットネス指数というのも、モチベーションを高めるのに役立ちます。走力だけではなく、総合力として何が足りていないのかを明確にしてくれるので、自分のトレーニング方針を決めやすくなります。
ちなみに上のグラフが私のフィットネス指数ですが、わかりやすく筋力だけ低評価になっています。アスリートとして鍛えるべきは筋力だということがよくわかります。
唯一の弱点は「バッテリー持ち」

スマートウォッチとしても、ランニングウォッチとしても超優等生の「Galaxy Watch9」ですが、誰に対しても「これおすすめ」と言えない理由がひとつだけあります。
それがバッテリー持ち。
毎日充電しなくてはいけないというのは、それほど問題ではありません。帰宅して寝るまでの間、専用の充電器に乗せておけばいいだけですので、そのあたりはApple Watchと同じです。
では何が弱点なのかというと、ランニングでの連続稼働時間が短いという点です。ランニングウォッチなら当然スペックに記載されている値ですが、「Galaxy Watch9」にはその項目がありません。
掲載されているのは「最大40時間(AOD未使用時)」だけで、この40時間というのは、スマートウォッチとして使用した場合の駆動時間でしかありません。

そこでラン仲間と江ノ電ランをしたときに使用してみたところ、5時間51分のランニング時間で残り容量が8%。打ち上げをしてから帰宅するときにはバッテリーを使い果たしていました。
このため、今回の使用条件では、フルマラソンを6時間以上かけて走るランナーのランニングウォッチとしては推奨しにくいというのが本音です。5時間台でも、走り終えてすぐに充電するために充電器を用意しておく必要があります。
また、使い続けると連続稼働時間がさらに短くなるので、フルマラソン用途として考えるなら、サブ4を達成できる走力がないとおすすめできません。逆にいえば4時間以内で完走できるなら、軽くて画面も見やすくて、最高の相棒になってくれます。
ただ、世の中には24時間以上計測できるランニングウォッチが、同価格帯でいくつもあります。そう考えると「Galaxy Watch9」は、フルマラソンに挑戦するランナー向けというよりは、ランニングのあるライフスタイルを楽しむランナーに適したスマートウォッチという位置づけになります。
とはいえスペックや計測精度の高さを考えると、フルマラソンにも余裕で対応してもらいたいというのが本音。しかもランニングコーチなどの機能も搭載されているわけですから、もう2時間くらい稼働してくれたらいいのになと欲が出てしまいます。

サブ4を狙うGalaxyユーザーなら「Galaxy Watch9」で間違いなし

「Galaxy Watch9」をランニングウォッチとして使う場合、気になるのは「バッテリーの持続時間」だけです。6時間計測がギリギリだとすると、フルマラソン完走が目標というランナーには正直なところおすすめできません。
| サブ4 | サブ5 | サブ6 | 健康ラン | |
| Galaxyユーザー | ◎ | ◯ | ✕ | ◎ |
| Androidユーザー | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ |
| iPhoneユーザー | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
まとめてみると、このような感じになります。
「Galaxy Watch9」はiPhoneには基本的に非対応ですので、iPhoneユーザーが「Galaxy Watch9」を使いたいなら、サブスマホとしてでもAndroidを手に入れる必要があるので、「✕」としています。
Androidユーザーも基本的にはサブ5以内ならおすすめできますが、「Galaxy Watch9」がより高い効果を発揮するのがGalaxyスマホと組み合わせたときですので、「Galaxy Watch9」を使いたいなら、次回の機種変更でGalaxyを選ぶのがおすすめです。
また、健康のためにランニングをしており、フルマラソン出場はしばらく考えていないという方も、スマートウォッチとしての完成度が高いので「Galaxy Watch9」を選べば間違いありません。ただ、ランニング機能を持て余すことになるかもしれませんが。
ランナーの多くが、本格的にフルマラソンに挑むなら、スマートウォッチではなくランニングウォッチを選ぶべきだと思っているようですが、実際にはスマートウォッチでまったく問題ありません。とくに「Galaxy Watch9」くらい優等生のモデルならなおさらです。
ただ、優等生でありながら、稼働時間という弱点もあります。購入するときには、連続6時間計測くらいしかできないことが自分にとってどれくらいネガティブなことなのか、よく考えて購入することをおすすめします。
もっとも、まずは日常生活も快適にしてくれる「Galaxy Watch9」を買って、フルマラソンを走ることになる前に、ランニングコーチ機能を使って4時間以内で完走できる自分を目指すというのでいいかもしれません。
