日本一早いマラソンレポート「第7回神戸マラソン」

今年で7回目の開催となる神戸マラソン。あの大震災から12年が経過し、来年の1月17日で23年を向かえます。あれから長い年月が流れましたが、この23年で神戸も大きく変わっています。

神戸の街はいま観光客が伸び悩み、人口も減少傾向にあるという大きな問題に直面しています。大阪や京都という近隣の都市がインバウンドで盛り上がるなか、なぜか蚊帳の外にある神戸の街で開催される神戸マラソン。

神戸の街の魅力を伝えるには、神戸マラソンはとても重要なイベントのひとつです。

神戸マラソンの倍率は3.73倍、昨年が3.75倍ですので、こちらも少し伸び悩んでいます。ランニングブームの低下にともない、東京以外でのマラソン大会人気と観光地としての神戸の人気がゆっくりと下がっているのを感じられるのが神戸マラソンです。

もちろん3.73倍という倍率でも決して低いものではありません。

3人申し込んで1人走れるかどうかというくらいですので、なかなかの狭き門です。翌週に大阪マラソンが開催され、11月前後は大都市マラソンが各地で行われていることを考えると、神戸もまだまだ根強い人気があることはわかります。

神戸マラソンは2万人のランナーが7時間制限で走ります。高低差10m以下のベタフラットに見えるコースですが、実はフラットな場所はあまりなく、小さな高低差に体力をどんどん奪われていきます。

とはいえ、どんどんと変わっていく景色もあって、走っていて飽きるということがほとんどありません。さらに下町らしい力強い応援があり、気がついたら30kmを超えていたという人も多かったかもしれません。

とはいえゴール直前の高速道路に入り込む箇所で25mくらいの上りと、同じくポートアイランドに降りる25mくらいの下りがあります。上がってしまえば楽になるかと思いきや、上がってからも小さくアップダウン。

ただしポートアイランドに入ってくると後は気持ちだけ。

以前はポートアイランド内に入っても、少し長く走らなくてはいけなかったのですが、今回はポートアイランド内は2kmもありません。もう目の前にゴールがあると思うと、ランナーの足取りも軽くなりますよね。

しかも最後の直線は、途切れない声援が続きます。

ゴール前も無料の観覧席があったのですが、なぜかそこにはあまり人がいない状態でした。ここは一番盛り上がるところですので、もっとアピールしても良かったかもしれません。

東京マラソンのゴール前は、特別なパスを持った人しか入れません。その結果、後方のランナーはガラガラのゴールに飛び込まなくてはいけませんでした。神戸マラソンは誰でも自由に出入りできます。

この観覧席をもっと活用できたら、面白いと思うのですが、きっとこれからいろいろ活用していくのでしょう。せっかくの最後の直線は、道路を開放して両サイドから応援できるようになっていると、もっと感動的なゴールを演出できそうですが、警備の都合もあるのでしょう。

こうなれば、もっと良くなるのになと思うところは、少しずつあるのですが、ネガティブな要素はどこにもありません。

よくこれだけの大会を、大きなトラブルもなく開催できるものだと感心するしかありません。まだ7回の開催とは思えないほど、コース変更をしたばかりとは思えないほどしっかりとした大会です。

ただし、神戸マラソンらしさというようなもの、強く押してくるものがない。そういう印象も残ります。言い方は悪いかもしれませんが「優等生なマラソン大会」。神戸マラソンを表現するなら、そういう言葉がしっくりきます。

優等生はなかなかクラスの人気者にはなれません。ちょっと抜けていて「なんとかしてあげたい」という弱い部分もあったり、強烈なインパクトを持っている人がクラスの人気者になります。

神戸マラソンに出れば間違いはありません。走っていて小さなことでイラッとすることもないはずです。でも心にグッとくるものが、どこか不足しているように感じます。

それは今の神戸が置かれている環境とシンクロします。街はとてもきれいで、観光スポットもありますし、美味しいものもあります。でもすべてがキレイにまとまりすぎているように感じます。

観光地がリピーターを作るには、心に残る体験をしてもらう必要があります。マラソン大会も同じで、また走りたいと思ってもらうには、万事上手くいくだけでなく、ここに来て良かったと思ってもらえる何かが必要です。

沿道の声援は素晴らしいのですが、沿道の声援が素晴らしい大会は他にもたくさんあります。

ボランティアスタッフさんがとても楽しそうだったと、走っていたランナーさんの1人が教えてくれました。こういう神戸マラソンならではの何かを、どれだけ積み重ねていけるかというのが、マラソン人口が減少傾向にある時代にはとても重要になります。

走るのが楽しいコースがあり、散策が楽しくなるような観光地があり、神戸ならではの美味しいものがある。それらを小さくまとめるのではなく、もうちょっとやんちゃな感じに広げていけば、神戸マラソンは神戸の街はもっと人を惹きつけるはずです。

ただ、きれいにまとめるのが神戸の文化でもありますので、やんちゃになるのはちょっと難しいかもしれません。でも、1人のランナーとして、神戸に思い入れのある1人として、どこかで大きくブレイクしてもらいたい。震災を乗り越えた街にそんな期待をしてる人のは私だけではないはずです。

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