トップランナーの練習メニューとシューズの使い分け

オリンピックや世界選手権に出るようなトップアスリート。その中でも常に上位争いに加わり、ときには世界最高記録を狙って走るエリートランナーたち。そんなトップアスリートがどんな練習をしているのか気になりませんか?

次元が違いすぎて参考にならないかもしれませんが、エリウド・キプチョゲ選手の練習メニューを入手いたしましたので、ここではその練習メニューの一部とシューズの使い分けについてご紹介しまします。

夕方
月曜日18-30km様々な距離を混ぜたトレーニング
火曜日トラックトレーニングクールダウンラン
水曜日約20km10km
木曜日40km
金曜日約18km10-12km
土曜日未舗装路でファルトレク様々な距離を混ぜたトレーニング
日曜日25-30km

まずは練習メニューです。一般的にスピード練習と呼ばれるものが火曜日の朝のトラックトレーニングと土曜日朝のファルトレクです。ファルトレクというのは起伏のあるコースをスピードを付けて走るトレーニングで、キプチョゲの場合は未舗装の道で行いますので、クロスカントリーと同様だと考えてください。

トラックトレーニング
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート フライプリント

ファルトレック
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート

ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリートはトップアスリートのためだけに作られた特別なシューズで、フライプリントはその中でもアッパー素材を3Dプリンタで作り、より軽量かつ雨にも強いという特長があります。

スピード練習ではこの2つのレース用シューズを履いて、レーススピードもしくはそれ以上のスピードで走ります。

その他の練習も月曜日から順を追って見ていきましょう。

月曜日(回復)

ナイキ ズーム ペガサス35を履いての18〜30kmです。午後のトレーニングもナイキ ズーム ペガサス35ですので、それほど追い込みはしません。翌日のスピード練習に向けて調整しているのが選んだシューズから伝わってきます。

火曜日(スピード練習)

朝にスピード練習が入りますので、火曜日の夕方はクールダウンのために走ります。このクールダウン時のシューズは決まっていません。

水曜日(回復)

この日は回復を意識して、ナイキ ズーム ペガサス ターボで追い込まないでそれほど長くない距離を走ります。

木曜日(長距離)

長距離40kmを走ります。日本では長い距離はケガをするからと長距離練習をしないランナーが増えましたが、世界のトップレベルで闘うには、当たり前のように普段から40kmを走る必要があります。

シューズはナイキ ズーム ペガサス ターボを使います。優れたクッション性があり、足への負担を軽くすることが目的です。

スピード練習からの回復を狙うときと、長い距離を走るときが同じシューズという点が興味深いところです。40kmを走ると言っても決してレースペースではなく、それよりもやや余裕のあるスピードで走り、足への負担を軽減しているのでしょう。

金曜日(回復)

この日も回復に当てる日ですが、この日のシューズはナイキ ズーム ペガサス35です。ここから分かるのは、スピード練習よりも40kmのほうがより足への負担が大きく、回復を狙うときにもスピードを落とすということです。

土曜日(スピード練習)

朝のファルトレックのあとにも、ナイキ ズーム ペガサス35を履いています。追い込むときと回復させるときのメリハリがしっかりしているのがよく分かります。練習で大事なのは回復で、それをシューズによってコントロールしていることがよく分かります。

日曜日(回復)

25〜30kmはかなり軽めに走るということで、こちらはナイキ ズーム ペガサス ターボを使用しています。自分のペースで走るのではなく、チームメイトや友達と走っているということですので、この日も回復を意識しつつやや長めの距離を走っていることが分かります。

目次

キプチョゲから学ぶ市民ランナーの練習方法

エリウド・キプチョゲの練習内容から分かることは次の3点です。

・スピード練習と持久力練習は別に行う
・ポイント練習は週に3日であとは回復を意識する
・練習の強度によってシューズを使い分けている

トップランナーは、毎日のようにレースペースでトレーニングを行っていると思われがちですが、レースのように速いペースで長い距離を練習で走ることはありません。スピード練習では長い距離を走らず、持久力練習ではスピードを出しません。

レース前になるとまた違ってくるのかもしれませんが、基本的にはそれぞれを別の日に行っています。これは私たちにも参考になりますよね。

またポイント練習となるのは週に3日だけで、残りの4日はいかにして回復させるかに重点が置かれています。トップランナーですら、これほど回復を意識するわけですから、私たち市民ランナーならなおさらですよね。

毎日厳しい練習をしても体を壊すだけです。追い込む練習をしたら翌日は練習強度を落とすようにしましょう。

キプチョゲがシューズを使い分ける理由

キプチョゲは練習の強度によってシューズを履き分けています。疲労を残したくない練習や回復を意識しているときにはナイキ ズーム ペガサス ターボ、積極的に休ませたいときにはナイキ ズーム ペガサス35を選んでいます。

これらの違いはシューズの着地点にあります。スピード練習に使うヴェイパーフライは前足部を使って走りますが、ペガサス ターボとペガサス35は土踏まずのかかと側あたりで着地するように作られています。

トップランナーは別にシューズに合わせて走り方を変えているのではなく、スピードを出すときには勝手にフォアフットになり、スピードを落とすと自然にフラット気味の着地になるというだけのことです。

日本人の市民ランナーの中では「フォアフットがいい」「フラットがいい」というような議論がされていますが、その議論があまりにも意味のないものだということがこのことからも分かるかと思います。

日本ではフォアフットがいいという考え方が広がったため、キロ6分でもフォアフットで走っている人がいますが、これは明らかに不自然です。フォアフットならまだいのですがつま先走りをしている人も少なくありません。

アフリカのトップランナーはフォアフットだ。そういった情報が出回った結果、フォアフットは素晴らしいという考え方が浸透していますが、実際にはトップランナーはアフリカ人でもスピードを出さないときはフラットに近い安定性のある着地をしています。

そして、その走りの違いによって彼らはシューズを使い分けしています。

私たち市民ランナーの懐具合は限られていますので、シューズを何足も買うことは出来ませんが、せめて安定した走りをするとき用とスピード練習用は使い分けたいところです。

トップアスリートから学ぶことはたくさんある

トップアスリートの練習メニューやシューズの使い分けを知るだけで、とても多くの情報が得られますし、学ぶことがたくさんあります。自分が間違った情報をベースにトレーニングをしたり、シューズを選んでいたという気づきにもなります。

トップアスリートのスピードは異次元の人たちですが、その人たちがなぜそのような選択をするのかを考えると、私たち市民ランナーが取り入れるべきポイントがいくつも見つかります。

休養がとても大事だということ。シューズの使い分けが必要だということ。フォアフットで走るのはスピードを出すときだけ。などなど、自分の日々のトレーニングに活かせそうですよね。

レベルが違いすぎると言うのは簡単ですが、レベルが違っても基本となる考え方は同じです。ぜひトップアスリートのトレーニング内容を参考に、満足できるレースをするための練習を積み重ねてください。

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