買い物前にスポーツショップで足の測定を行って、買い物から戻ってきたら自分用にカスタマイズされたランニングシューズが完成している。そんなSF映画のような未来がくるとしたらワクワクしませんか?
今まではトップランナーしか履くことができなかった、カスタムシューズ。10年後にはすべてのランナーが、自分のためだけに作られた1足をあたり前のように履いて走っているかもしれません。
なぜなら、アディダスがすでにその未来に向けての取り組みを始めているからです。アディダスはドイツのアンスバッハに「SPEEDFACTORY」と呼ばれるデジタル技術を駆使したシューズ工場を作りました。
SPEEDFACTORYは、従来18ヶ月かかっていたシューズの開発から製造までの工程を、数日レベルにまで短縮できる可能性のある工場です。この工場はこれまでのシューズづくりを根本から見直し、スピーディにシューズを作ることを目的に作られました。
例えばプロトタイプのシューズができたとき、シューホールの位置を少し変えたいとなると、これまではそれだけの作業に数日かかっていました。でもSPEEDFACTORYならデータ上でシューホールの位置を変えて送信すれば、数時間後には新しいシューズが完成します。
もちろんデザインだって簡単に変更できます。これまでのデザインはトレンドを予想して作る必要がありましたが、SPEEDFACTORYではいまのトレンドをそのままデザインに取り込めば、数日後には量産可能な状態になります。
これはモノづくりの革命です。ただし、私たち一般のランナーにとっては、それほど大きな恩恵はありませんよね。大事なのはこのSPEEDFACTORYの機能を活用すれば、1人1人にあったランニングシューズも作れるという点にあります。
従来のカスタムシューズは、職人がランナーの足型計測をして、その結果から木型(ラスト)を作って1足ずつ作っていました。ところがSPEEDFACTORYではすべてデジタル化されていますので、足を3Dスキャンで読み取って、そのデータを元に自動でシューズを作ります。
個々の走り方のクセや体つきの特徴なども、最新の機器で計測できますのでそれらの情報をもとに、より細かな調整を行うこともできます。
既成品のランニングシューズは、どうしてもランナーがシューズに合わせなくてはいけない部分がありましたが、オーダーメイドのカスタムシューズなら、シューズがランナーに合わせてくれますので、シューズ選びで迷うことがなくなります。
もちろん、SPEEDFACTORYはまだ導入されたばかりで、そこまでのレベルには到達していません。でも目指すべき到達点のひとつがそこにあるのは間違いありません。
期間限定でSPEEDFACTORYの技術を体験できる「SPEEDFACTORY Tokyo」を見てきましたが、ちょっとした未来を感じさせる内容になっていました。
測定した足のデータやランニングフォームのクセなどが、短時間でアプリで確認できます。今回できるのはそれだけでしたが、おそらく数年後にはこのデータを元にシューズを作ってもらえるようになります。
そんな未来が手の届くところまでやってきているわけですから、ちょっとワクワクしますよね。
完全カスタムシューズというわけではありませんが、じつはすでにSPEEDFACTORYを活用したランニングシューズ「AM4 City Series」が発売されています。「AM4 City Series」は東京を含む6都市でリサーチを行い、その都市にあったカスタマイズを施されています。
ベースとなるシューズは同じですが、東京モデル「AM4TKY」は高温多湿を考慮して、通気性のいいアッパーを採用したり、ナイトランを楽しめるようにリフレクションも配置されています。
ニューヨークモデル「AM4NY」は、速さを追求するランナーがニューヨークには多いということで他のシューズよりもシューホールの数を増やして、シューズのブレを減らすためのカスタマイズが施されています。
ちなみに短時間しか履いていませんが、東京モデルの「AM4TKY」はフィット感とクッション性に優れている完成度の高いランニングシューズでした。キロ4分台くらいなら簡単に出せますし、グリップ力も高いため左右の動きにも対応できます。
足を優しく包み込むような感覚があり、サブ3を狙うようなシューズではありませんが、フルマラソンにも対応しつつも都会の街を自由に駆け回るシティランにも対応している総合力の高い1足です。
いずれは「AM4 City Series」も、自分の足の形に合わせて作れるようになるかもしれません。都市のニーズに合わせたカスタマイズというのが現在地ですが、それもこれまでのシューズづくりからは考えられないことでした。
まだまだカスタムシューズという点では小さな1歩に過ぎませんが、自分だけのランニングシューズを数時間で手にすることができる未来に向けての大きな一歩でもあります。その未来が何年後かは分かりませんが、期待して待つことにしましょう。
一足先に未来を感じたいというランナーさんは、AM4TKYもチェックしてください。
9月28日からアディダス オンラインショップにて事前予約販売が開始され、10月5日からアディダス オンラインショップ、一部のアディダス直営店、一部のアディダス取扱店舗にて販売開始となります。
気になる人はぜひ下記公式サイトをご確認ください。
アディダス公式サイト:https://shop.adidas.jp/speedfactory/
サイズ | 23.0-31.0cm ※ハーフサイズなし |
片足重量 | 約260g(26cm) 約225g(24cm) |
発売日 | 2018年9月20日(木) |
アディダス店舗販売価格 | ¥22,000(税別) |