ランナーの中にも胃腸が弱いという人いますよね。フルマラソンの後半に胃が水を受け付けなくなる。ウルトラマラソンでは絶対に吐くという人までいます。
適正というものがありますので、そこまでして走る必要はないのではと思いますが、他のラン仲間が走っているのに自分だけ走れないというのも納得できないですよね。
内臓が弱くても吐き気がしても走りたい!そういうランナーさんのために、ここでは長距離における吐き気対策についてご紹介します。吐き気の原因は人それぞれ違いますので、すべての吐き気を抑えられるわけではありませんが、ぜひ参考にしてください。
吐き気の原因について考えよう
まず、なぜ吐き気が発生するのか、考えられる理由を挙げていくとしましょう。
・脱水症状
・酸欠
・鉄分不足
・消化不良
・空腹(低血糖)
・内臓と視点の揺れ
ざっと挙げただけでもこれだけの原因が考えられます。悩ましいことにこれらは単体でも吐き気を起こしますが、それぞれの組み合わせでも吐き気を起こします。要するに原因が1つとは限らないというのが対策の難しさにあります。
とはいえ、それぞれ個別に対策は必要なので、なぜこれらの症状が吐き気に繋がるのかを説明していきましょう。
脱水症状
ウルトラマラソンで吐いてしまう場合の多くが、脱水症状によるものです。体重に対して水分が2%以上なくなると、吐き気を感じるようになります。60kgの人なら1.2kgほど水分が抜けると、吐き気をともなう脱水状態になるというわけです。
ただ、ここで重要なのは水だけを摂っても意味がないということです。吐き気の原因となっているのはナトリウム不足です。このため、吐き気対策としては失われたナトリウムと水分を摂取する必要があります。
酸欠
インターバルやスピード走をした後に、吐き気がしたことありますよね。正確には高負荷のランニングをした後に急に止まると、ふくらはぎなどの筋肉が血液を送れなくなって酸欠になります。
酸欠で吐気がするのは、十分な血流が内臓に行かなくなることが原因のひとつとして考えられます。短時間高負荷でなくても、フルマラソンの後半になると負荷の蓄積によって筋肉への血流が優先され、内臓は活動停止状態になります。
そんな状態の胃に水分補給や給食を入れると、体が拒絶して吐き出そうとするわけです。
鉄分不足
鉄分は酸素を身体中に送り届ける役割があります。ランナーはこの鉄分が不足している傾向にあり(特に女性ランナー)、体の隅々まで酸素を送り届けらなくなって、酸欠と同じ状態になってしまいます。その結果、吐き気を引き起こすというわけです。
消化不良
消化不良で吐気がするのも酸欠と原因は同じです。活動停止している内臓に食べ物が残っていたら、うまく消化吸収できないため吐き出そうとします。フルマラソン当日の朝ごはんを2時間前までに終わらせるようにするのは、この消化不良を防ぐためです。
空腹(低血糖)
内臓内に食べ物が残っていても吐き気になりますが、何も食べないというのも吐き気を引き起こします。血糖値が低くなると、自律神経症状と呼ばれる症状が現れます。この自律神経症状になると吐き気が起こります。
ただし、ランナーの中には空腹でも内臓脂肪をうまく使って走れる人もいます。逆に糖分に頼って走っている人は、しっかり糖を摂取してもフルマラソンの後半には糖が不足して吐き気が起きてしまいます。
内臓と視点の揺れ
これは車酔いと同じ原理だと思ってください。脳は視覚の情報、筋肉や内耳からの情報を総合して位置を把握します。ランニング中に内臓が揺れたり、視点が揺れたりするとこの情報に矛盾が生じて、めまいや吐き気を起こします。
これは、ランニングフォームに上下動が大きい人、腹部のインナーマッスルが弱い人ほど発生しやすい原因のひとつです。
吐き気を回避するためにすべきこと
原因が分かれば対処方法は簡単です。ただし、すぐに実行できることと練習をともなう回避方法がありますので、それぞれに分けて説明します。
今すぐできる吐き気対策
・レースの2時間前には食事を終えておく
・レース中はこまめにスポーツドリンクを飲む
・鉄分の多い食材を普段から摂取する
・レース数日前から糖質を多めに摂取しておく
すぐにできるのは食事に関することです。レース当日の食事は2時間前までに終わらせて内臓の活動が収まっている状態でスタートしましょう。走り出したら、水分不足ナトリウム不足を避けるために、スポーツドリンクをこまめに摂取しましょう。
吐き気を起こしやすい人の多くが、スポーツドリンクが嫌いだからと水を飲んでしまいますが、それが後半吐き気を引き起こしますので、好き嫌い言わずにスポーツドリンクを飲んでください。
また普段の食事では鉄分を多く取りましょう。レバーやしじみ、牡蠣などがおすすめですが、合わせてビタミンCも摂るようにしてください。ビタミンCがないと鉄分をうまく吸収できません。
糖質を多めに摂って低血糖を回避するというのも重要です。簡単に言えばカーボローディングですが、問題はカーボローディングすると体重が増えるということです。一方で体内の水分が十分になるため、脱水症状にはなりにくくなります。
レース序盤は体が重いのでゆっくりに走り、糖(グリコーゲン)を消費することで体内の水分も減って体が軽くなりますので、後半勝負でいきましょう。
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練習によってできる吐き気対策
・普段から空腹時にトレーニングを行う
・普段から食事直後にトレーニングを行う
・ピラティスなどでインナーマッスルを鍛える
・上下動の少ないランニングフォームを身につける
上の2つは矛盾しているようですが、フルマラソンを走る場合にはできるだけ体脂肪を使った走りができるのが理想ですので、それを体に覚えさせるために、空腹時のトレーニングが向いています。
一方でウルトラマラソンでも体脂肪を使った走りがベストですが、無補給で100kmや24時間という距離を走るのは現実的ではありません。このため、内臓に食べ物が入った状態で走ることに慣れておく必要があります。
逆に言えば、慣れてしまえば内臓に食べ物があってもそこそこ走れます。体が覚えてしまえばいいだけですので、ウルトラマラソンの練習をする場合には、途中で食事タイムを設けるなどして、あえて内臓に負担をかけてください。
内臓の揺れをなくすのも吐き気対策に有効です。そのためにはピラティスなどの腹部のインナーマッスルを鍛えるトレーニングが最適です。内臓が揺れなければ車酔い状態にはなりませんので、吐き気を止められます。
もうひとつ車酔い状態を防ぐ方法として、ランニングフォームの改善があります。上下にブレのある走りをすると内臓を揺すっているような状態ですので、車酔い状態になりやすいという問題が発生します。しかもランニングフォームとしてのロスも多く効率的な走りではありません。
できるだけ体を平行移動させるイメージの走り方を心がけてください。
違和感があったらすぐに立ち止まる
インナーマッスルの強化やランニングフォームの改善というのは1〜2年かけて行うことですので、すぐに結果にはつながりません。このため、対策をしてもすぐに吐き気が止まるわけではありません。
もし、カラダづくりやフォームづくりの途中で、吐き気を感じるようなら、まずは立ち止まるようにしてください。吐き気を感じたときにはすでに遅いので、違和感くらいでも止まりましょう。
そして内臓に血液を送り出し、内臓の揺れを止めてください。10分も休めば違和感は消えてくれるはずです。これが吐き気にまでなっていると、数時間は回復しないかもしれません。その場合は、リタイアも視野に入れて無理せずにレースを終わらせるようにしてください。