ランニング中の呼吸について難しく考える必要はありません

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マラソン初心者によく質問されるのが「走る時の呼吸ってどうすればいいですか?」というものです。どうすればいいかと聞かれた場合には「自然な呼吸で十分」と答えていますが、どのような呼吸が自然なのかわからないという人も多いようです。

そこでここでは、ランニングにおける自然な呼吸がどういうものなのか、なぜ自然に呼吸するだけで十分なのかについて、詳しく解説していきます。

目次

2回吸って2回吐くにこだわらない

「2回吸って2回吐く」がランニング中における呼吸の基本。おそらく多くの人が、学校の体育の時間に習ったのではないでしょうか。この「2回吸って2回吐く」は、実はそれほど深い意味はありません。

酸素を効率的に体に採り入れるための呼吸法ではなく、走りのリズムを生み出すためのテクニックのひとつと考えてください。

ランニングを上手に行うにはリズムが重要になります。特に初心者にはリズムよく走ることを目指してもらいたいところです。フォームとか着地とか、いろいろと気になるかもしれませんが、そういうことよりもリズムを大切にしてください。

そのリズムを生み出すのが呼吸です。そういう意味で「2回吸って2回吐く」はとても役に立ちますが、ある程度レベルが上って、呼吸に関係なくリズムよく走れるようになったとき「2回吸って2回吐く」にこだわる理由はどこにもありません。

ランニング中の呼吸は自然に任せればいい

ランニング中の呼吸は体に任せてしまって大丈夫です。速く走れば呼吸も早くなりますし、ゆっくり走れば呼吸を意識する必要もありません。どのような呼吸がいいかは体が知っているので体に委ねてしまえばいいのです。

ただし意識しなくてはいけないことがひとつだけあります。「呼吸は吸うのではなく吐く」ということです。呼吸は吐くことを意識してください。できるだけ深く吐くことが重要です。

深く吐くことで肺の中が空っぽになり、そうなれば吸うことを意識しなくても空気は自然と入ってきます。吸うことばかり意識すると、まだ肺の中に空気が入っている状態で吸おうとすることになり、きちんとした呼吸ができなくなります。

実際に私が走るときには、4分/km台前半のスピードで走るのでなければ、ランニング中に呼吸を意識することはありません。

腹式呼吸か胸式呼吸か

呼吸方法には腹式呼吸と胸式呼吸の2種類があります。

腹式呼吸
お腹を膨らましたり凹ましたりしながら、横隔膜を動かして呼吸する呼吸法で、副交感神経系が優位になる

胸式呼吸
肋骨を中心とした胸郭を使って呼吸する呼吸法で、交感神経が優位になる

体のどの筋肉を使って呼吸するのかという違いが、腹式呼吸と胸式呼吸の違いになります。ときどき腹式呼吸を「お腹に空気を取り込む」だと思っている人もいるようですが、腹式呼吸も胸式呼吸も酸素を肺で取り込むという点は変わりません。

胸式呼吸は胸の周りの筋肉を使い、腹式呼吸はお腹まわりの筋肉を使って呼吸をします。このため、たくさんの空気を出し入れ(深い呼吸)できるのが腹式呼吸です。走っているときはこの腹式呼吸が良いと言う人と、胸式呼吸が良いと言う人に分かれます。

なぜそんなことになっているかというと、ランニングの目的がそれぞれに違うためです。健康のためにゆっくり走るならリラックスできる腹式呼吸が適していますし、1分1秒を削りたいなら、交感神経優位で興奮状態になりやすい胸式呼吸が適しています。

腹式呼吸か胸式呼吸かは、何のために走るのかを考えて使い分けましょう。ただし、胸式呼吸で多くの空気を取り込むには、ピラティスなどのトレーニングを行ってインナーマッスルを強化しておく必要があります。きちんと空気を吸えていない胸式呼吸は、呼吸が浅くなり苦しくなるので注意しましょう。

理想はきちんと使い分けることです。とはいえ、この点でも体が勝手に腹式呼吸と胸式呼吸を使い分けしてくれますので、やはり難しく考える必要はありません。小さく早く呼吸をするときは胸式呼吸で、深くゆっくりと呼吸をするときは腹式呼吸ということだけ、知識として覚えておきましょう。

まとめ

呼吸はリズムをつかむのに重要ですが、どのような呼吸方法でもそれほど違いはありません。自分がリズムをつかみやすい呼吸をしましょう。そして意識するのは吸うことではなく吐くことです。

きつくなったときほど吐くことを意識してください。急な上り坂を一気に駆け上がった後などは、ゆっくりと深く吐くことが体を落ち着かせるためには必要になります。そのときはもちろん腹式呼吸ですね。

ぜひいろいろ試して自分に合った呼吸法を見つけましょう。

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