フルマラソンの途中で毎回のように吐き気がするという人や、ハーフマラソン以上のレースのあとには食欲がなくなるという人も多いかと思います。そういうランナーさんの多くが「自分は内臓が弱い」と思っているようですが、実は問題があるのは内臓ではなく、内臓周りの筋肉だったりします。
もちろん遺伝的に内臓が弱いという人もいますが、そういう人でも内臓周りの筋肉であるインナーマッスルを鍛えることで解消できる可能性があります。ここでは、マラソン中に内臓疲労で走れなくなるのを防ぐために、ランナーが日頃からすべきことについてご紹介していきます。
マラソン中は内臓に血液が流れにくい
「ヒト運動時の腹部内臓血流応答」という論文によると、安静時には私たちの血液の50%が内臓に流れており、負荷の高い運動をするとこれが20%近くにまで低下することが分かっています。血液が流れなくなるとどうなるのかというと、単純に内臓の機能が低下します。
これは運動によって筋肉がより多くの酸素を必要とするためで、体の仕組みとして内臓よりも筋肉への酸素供給を優先させるために起こります。これはどんな人の体にも起こることで、フルマラソンを6時間で走る市民ランナーでも、2時間で走るキプチョゲでも同じです。
内臓への酸素供給低下量は運動負荷によって変わりますので、ゆっくり走れば負荷は小さくなりますが、マラソンの場合にはゆっくり走ると時間がかかるので、内臓は長時間ダメージを受けることになります。
いずれにしても、どんな人でもフルマラソンを走ることは、筋肉だけでなく内臓へもダメージを与えていいます。まずはそのことを、しっかりと頭に入れておいてください。
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機能低下した内臓を揺らすから気持ち悪くなる
内臓疲労は血流が下がって機能低下しすることで発生します。ただ、これだけならまだいいのですが、マラソンにおいては上下動を何度も繰り返します。ランナーのストライドにもよりますが、フルマラソンを3万歩で完走するなら、内臓は3万回上下動を繰り返します。
ただでさえ血流が減ってストレスが増えている状態なのに、さらに何時間もかけて揺らされるわけですから、内臓に発生するストレスがどれだけ大きいかは言うまでもありません。内臓は自律神経とつながっていますので、そのストレスが自律神経を見出します。
自律神経が乱れると次のような症状が発生します。
- 息切れ
- 胸の痛み
- 胸やけ
- 吐き気
- 手足のしびれ
- 耳鳴り
- ふらつき
ランナーならどれも1度は経験したことだと思います。簡単な話ですが、このような症状を出すことで、体は走ることをやめさせようとしています。走るのをやめさせて安静な状態を取り戻すためのSOS信号というわけです。
ですので、マラソン中にこのような症状が出たら、基本的にはペースを落としたり、歩いたりして内臓がストレスを感じないようにしなくてはいけません。もちろん、ある程度は「耐える」というのはありです。それがマラソンの醍醐味だったりもするので。
ただ、そもそも論として内臓へストレスをかけなければ、このような症状が出てくることはありません。そこでようやく本題です。どうすればこのような症状を回避できるのかについて次章で詳しく説明します。
良質な血液を増やすかインナーマッスルを鍛える
内臓へストレスを減らす方法はいくつか考えられますが、シンプルに考えると次の2つの方向性が考えられます。
- 内臓への血流低下を防ぐ
- 内臓を揺らさないようにする
それができれば苦労はしないと思うかもしれませんが、もちろん一朝一夕で身につくものではありません。長い時間をかけて体を変えていくしかありません。それぞれの方向性で具体的に何をすべきかをお伝えします。
内臓への血流低下を防ぐ方法
内臓への血流低下そのものを防ぐことはできません。でも、内臓に届ける血液の量を少しでも多くする方法が3つあります。
- 流れやすい血液にする
- 弾力性のある血管をつくる
- 血液を増やす
血液をサラサラにして、弾力性の血管を取り戻せば、血流がよくなります。このあたりは医学的な話ですので、あまりツッコんだことは書きませんが、野菜や果物、豆、ナッツ類を食べることで血管の弾力性を維持することができるとされています。
サラサラの血液になる代表的な食材としては、納豆や魚などがあります。難しいことはありません。一般的な和食をベースに献立を組み立てれば、血液も血管も健康な状態になります。
血液を増やすというのは、正確には血液中の赤血球の数を増やすことです。赤血球は酸素を運ぶので、その数が多ければ多いほど、たくさんの酸素を運べることになり、内臓への血流が減っても一定量の酸素を内臓に送り届けることができるというわけです。
赤血球を増やす方法はいくつかありますが、鉄分の多いレバーなどを食べるというのが手軽です。あとは造血機能があることが判明したアサイーを摂取するという方法もあります。アサイーに関しては別記事があるので参考にしてください。