Garminがアップデートで「血中酸素トラッキング」機能追加!ところで「酸素飽和度」ってなに?

Garminが4月下旬以降に対象のウェアラブルデバイスで、「血中酸素トラッキング」機能への対応を順次開始すると発表しました。Apple WatchもSeries 6が経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定に対応しており、酸素飽和度を計測するのはちょっとしたトレンドになりつつあります。

でも酸素飽和度を計測するのって、何の意味があるの?と疑問に感じている人もいるかと思います。ところがランナーと酸素飽和度はとても深い関係にあります。そこで、ここではランニングと酸素飽和度の関係について分かりやすく解説していきます。

目次

経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)で走りが変わる

まずは経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)について説明しましょう。私たちの体は肺から血液中に酸素を取り込み、体の隅々まで酸素を送り込みます。このとき酸素はヘモグロビンと結びついて血液中を移動しますが、酸素飽和度(SpO2)はヘモグロビンがどれだけ酸素と結びついているかを示しています。

動脈中のヘモグロビンすべてが酸素と結びついているのが理想で、その場合には酸素飽和度(SpO2)は100%となります。すべてのヘモグロビンが酸素と結びついているので、最も多く酸素を体内に取り込めている状態だと考えてください。当然ランニングをするときの効率も上がります。

一般的には酸素飽和度(SpO2)は約96~99%の状態にあれば「正常」とされます。逆に96%に達していない場合には、心肺機能のどこかにトラブルが生じている可能性があります。もし酸素飽和度(SpO2)が93%となったら、それは体からのSOS信号と判断されます。

ただ、ランナーの場合は負荷の高いトレーニングをすれば、酸素を多く消費するので酸素飽和度(SpO2)が下がります。そして酸素飽和度(SpO2)が下がった状態ではベストパフォーマンスを引き出すことができません。どれくらいから走りが変わるかは人によりますが、一般的には酸素飽和度(SpO2)が98%以上が好ましいとされています。

トレーニング負荷を決める目安になる

実際に酸素飽和度(SpO2)を毎日計測していると、いい走りが出来る日とそうでない日に酸素飽和度(SpO2)が影響しているのがわかります。体内に十分な酸素がある場合には体も軽く、いつも以上にスピードを出せますが、酸素飽和度(SpO2)が低いと体が重く、すぐに息が上がります。

体内に十分な酸素がない状態は、コンディションが整っていないわけですから、インターバルなどのポイント練習をしても、そのトレーニング効果が下がってしまいます。ですので、毎朝起きたときに酸素飽和度(SpO2)を測定し、その数値に合わせてメニューを決めれば、無駄のないトレーニングができるようになるというわけです。

酸素飽和度(SpO2)98%以上:ポイント練習
酸素飽和度(SpO2)98%未満:ジョグ・リカバリーラン・休養

ここでは98%を目安にしましたが、実際には測定する機器の精度や個人差などにより目安をどこにするかは各自で決める必要があります。ただ、これまで「何となく体が重い」という感覚だったのが、計測値が判断基準となるので、とても判断しやすくなるというメリットがあります。

酸素飽和度(SpO2)を上げるには休むしかない

GarminやApple Watchなどで酸素飽和度(SpO2)を測定して、数値が低かったらどうするのか。これは練習の負荷を下げるか、思い切って休むしかありません。酸素の消費を減らせば、それだけ酸素飽和度(SpO2)の回復が早くなります。

酸素カプセルなどを利用すると上がると言われていますが、トップアスリートはともかく一般の人がそこまでする必要はありません。シンプルにトレーニングを休むかトレーニングの負荷を下げて、酸素飽和度(SpO2)が戻るまでジョグだけでつなぎましょう。

大事なのは自分の体がどれくらいで酸素飽和度(SpO2)を回復できるかを把握しておくことです。例えば96%から99%に戻るのに、完全休養なら何日、ジョグでつないで何日といった感じで把握しておけば、勝負レース前のコンディションづくりやポイント練習のスケジュール管理に役立ちます。

また酸素飽和度(SpO2)ごとの走りの重さを感覚で把握しておくのも有効です。最終的には数値を見なくても走りの重さで「今日は酸素飽和度(SpO2)が低いかもしれない」とわかるようになれば、デバイスが計測ミスをしても、自分の感覚でトレーニング負荷を下げられるようになります。

アップデートして血中酸素トラッキング機能を活用しよう

ここまでの説明で酸素飽和度(SpO2)とランニングの関係を理解してもらえたかと思いますが、GarminやApple Watchなどのデバイスでは正確な酸素飽和度(SpO2)を計測することはできません。実際にGarminは「医療目的で使用されることを意図するものではなく、あくまで一般的なフィットネスとウェルネスの範囲で利用することを目的とする」としています。

あくまでも「参考程度」というのが現在の位置づけで、精度を高めたいのであればパルスオキシメーターを購入し計測するのがおすすめです。ただ、簡易的に自分の体の状態を計測したいだけであれば、お手元のGarminで十分対応可能です。

ちなみにGarminの下記機種が血中酸素トラッキングに対応とのこと。4月下旬以降のソフトウェア更新で対応しますので、対象機種を使っているという人は、ぜひソフトウェアを最新にして、血中酸素トラッキング機能を使ってみましょう。

  • ForeAthlete 945/745/245シリーズ
  • VENU/VENU SQシリーズ
  • vivoactive 4/4Sシリーズ
  • Legacyシリーズ
  • vivomove 3/3Sシリーズ
  • vivomove Style/Luxeシリーズ
  • vivosmart 4
  • Approach S62
  • MARQ
  • fenix 6シリーズ
  • Quatix 6X
  • Enduroシリーズ
  • fenix 5X Plus
  • Instinct Dual Powerシリーズ
  • Descent Mk2/Mk2i
  • Lilyシリーズ

まとめ

これまで疲労というのは感覚だけで判断していましたが、GarminやApple Watchのようなウェアラブルデバイスで経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定できるようになったことで、疲労の数値化ができるようになっています。

もちろん酸素飽和度(SpO2)だけでは疲労をすべて把握できませんが、それでも自分のコンディションを確認する目安のひとつにはなります。計測を続けていけば、どれくらいの数字で自分のパフォーマンスを発揮できなくなるかがわかり、無駄のないトレーニングメニューを組めます。

ケガの予防にもなりますし、レースに向けてのコンディショニングにも役立ちます。それが買い換えることなく、手元にあるGarminでできるというのは魅力的ですよね。すべての機種が対象というわけではないので、もし対応していなくて買い替えを考えているなら、このタイミングでForeAthlete 245なんていかがでしょう?

もちろん他の機種でもいいですしApple Watchもありです。とても役立つ機能ですので、購入基準のひとつに「血中酸素トラッキングの有無」を入れて、酸素飽和度(SpO2)を計測できるウェアラブルデバイス・GPSランニングウォッチを選びましょう。

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