モー・ファラーが最速である理由〜NIKE MO FAST TOKYO レポート〜

2017年10月6日。皇居外苑に集まったランナーたち。その視線の先にいるのは、トラック競技最速の男、モー・ファラー選手です。この夏の世界大会で金メダルを獲得し、トラック競技から引退したのは記憶に新しいかと思います。

そんな彼は現在の栄光を手放し、マラソンへの挑戦を決めました。トラック競技の世界にいれば、王者でいられるのにそこから新たな挑戦をする理由はどこにあるのでしょう。

今回のイベントはナイキが主催したものです。モー・ファラーはナイキ・オレゴン・プロジェクトに所属していることもあり、今回の来日に合わせて日本人ランナーのための企画として立ち上げられました。

ナイキ・オレゴン・プロジェクトはアメリカの長距離選手強化のために作られたプロジェクトですが、現在はイギリスのモー・ファラーだけでなく、日本の大迫傑選手も所属し、それぞれ世界で活躍をしています。

イベントの内容はトークセッションとモー・ファラーとのランニングです。

トークセッションではモー・ファラーがどのようにして自分の限界を突破してきたのか、そして常識を打ち破る方法について、為末大さんと国内トップランナーの設楽悠太選手と共に語ってくれました。

彼の口から出てくる言葉はとてもシンプルでした。

「体の声を聴くこと」
「自分のやってきたことを信じること」

この2つの言葉はトークセッションの中で何度も出てきました。

質問
「勝つことと勝ち続けることは違うが、どうやってモチベーションを維持し続けたのか」

モー・ファラーの答え
「ハングリーでいること。勝ちたいという気持ちを強く持ち続けること」
「体をきちんとケアすること。体の声を聴くこと」

質問
「厳しい練習をしても記録が伸び悩むときにはどうするのか」

モー・ファラーの答え
「ダメなときはこれまでやってきたことを振り返る」
「体の声を聴くこと。自分のやってきたことを信じること」

速くなるために多くのものを削ぎ落とした結果、この2つだけが残ったのでしょう。結果が出なくても、自分の体がいい反応をしていれば不安になる必要はなく、ブレイクポイントが来るのを待ち続ければいい。

勝ち続けるにはハングリーであることが大事だが、それは無理な練習をすることではなく、時にはリカバリーも必要だと彼は言います。そのタイミングは体がちゃんと教えてくれるとのこと。

もしかしたら、彼がマラソンに転向したのは、トラック競技ではハングリーさを保つことができなくなり、さらに身を削り合うトラック競技で戦い続けることが難しくなると体からのメッセージが届いたからなのかもしれません。

現状維持に満足しないこと。失敗することを恐れるのではなく、立ち止まってしまうことを恐れる。そして休むべきときはきちんと体の声を聴いて休むこと。

この姿勢はトップアスリートではない、私たち市民ランナーでも取り入れたい考え方です。

もちろん、すべてのランナーが向上心を持たなくてはいけないということではありません。ただ、ほんの少しでも自分を超えていきたいと思うのであれば、モー・ファラーのシンプルな考え方はとても参考になるのではないでしょうか。

速くなるための技術やアイテムが溢れていますが、本当に速くなるために大切なのは、自分自身のメンタルにかかっています。メンタルを変えていかなければ、どんな素晴らしいシューズを履いても、いい結果は出ません。

反対にメンタルさえ強くなれば、最高のシューズを用意して、質の高い練習を行うだけで結果はついてきます。

ちなみにモー・ファラーは3足のシューズを使い分けています。速いスピードの練習のときは、彼も開発に関わった「ズーム ヴェイパーフライ4%」を履き、やや速いペースのときは「ズーム フライ」、そしてゆっくりのペースのときには「ズーム ペガサス」だそうです。

多くのランナーにとって意外だったのはズーム ペガサスを履いているということかもしれません。同じオレゴン・プロジェクトに所属している大迫傑さんも練習用にズーム ペガサスを履いています。

どうしてもズーム ヴェイパーフライ4%ばかり注目されていますが、このサイトでも紹介しましたように、ズーム ペガサスはかなり優れたシューズです。日本では初心者から中級者向けで売られていますが、サブ3を狙うくらいでしたら、十分に対応できます。

誰にでもフィットするシューズ「ナイキ エア ズーム ペガサス 34」

でも、正直なところみんなはズーム ヴェイパーフライ4%が欲しいですよね。ズーム ヴェイパーフライ4%は10月に新色が発売開始となり、以前よりも入手性は良くなるかと思います。

NIKE HP:https://www.nike.com

自分の限界を超えていくための相棒として、頼りになる1足なのは間違いありません。設楽悠太選手が言うには「フルマラソンを走っても疲労が残りにくい」という特徴もあるとのこと。疲労が残らなければ、マラソン後でもすぐに質の高い練習ができます。

とはいえ、カーボンプレートが入っていますので、毎日練習に使うのはあまりおすすめできません。シューズも足も休息が必要です。

市民ランナーはなかなかシューズを履き分けるのが難しいかもしれませんが、できれば練習用にズーム ペガサス、レース用にズーム ヴェイパーフライ4%、もしくはズーム フライと使い分けしてみましょう。

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モー・ファラーの走りは、今夜のTBS「オールスター感謝祭」の人気コーナー「赤坂五丁目ミニマラソン」で見ることができます。世界最速の男、モー・ファラーがどんな走りを見せてくれるのか、ランナーなら要チェックです。

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