春のマラソン大会の風物詩ともなっているエイドの「コップが足りない」問題。走っているランナーにしてみれば笑い事ではありませんが、これだけ毎回のように発生するトラブルですので、ランナー側もしっかりと対策をしておきたいところですよね。
もっとも対策といってもするべきことは「マイカップを持って走る」ということだけ。湘南国際マラソンがすでにマイカップ・マイボトルの大会となっていますが、そうでない大会でもマイカップを持って走り、給水できないという問題を回避しましょう。
コンパクトに潰せるマイカップならポケットに入れても気にならない
エイドに水があるのにコップが足りない。そんな問題をどうやって解決すればいいか。その解決方法はとても簡単です。マイカップを持って走れば、コップが足りない状態を100%回避できます。マイカップは走るときにジャマじゃないの?と思うかもしれません。私もそう思っていました。
ところが以前、取材も兼ねて走った台湾の南横ウルトラマラソンは「マイカップ持参」が参加条件で、その会場で売られていた携帯用カップを使ってみたところ、まったくストレスなくコップを持って走ることができました。ちなみに写真の上が大会側が用意したもので、下が会場で販売されていたものになります。
大会側が用意したマイカップは硬質のプラスチックなので、リュックを使うか手に持って走るしかありません。マラソン大会で使う場合には、このタイプのマイカップはおすすめしません。TPUでできた柔らかいタイプのマイカップがAmazonなどでも500円程度で売られていますので、そちらをお求めください。
レースではランニングパンツのポケットに入れて走りましたが、走っているときにはまったく気になりません。むしろストレスがほとんどないため、どこかで落としてしまったのではないかと、何度もポケットの中を確認してしまいました。
ただし、スポーツドリンクを入れると、コップに残った水分がポケットの中でこぼれますので、ややベタつきます。ベタつきがストレスになる人は、スポーツドリンクを飲んだら、少しだけ水を入れてもらって軽くすすいでおいたほうがいいかもしれません。
マイカップを持って走るのをおすすめする理由
柔らかいタイプのマイカップなら走るときに邪魔にならず、エイドでのコップ不足を解決できることをわかってもらえたかと思いますが、マイカップを持って走ることはそれも含めて下記のようなメリットがあります。
- 給水所でコップが不足しても困らない
- 自分のペースで給水できる
- 紙コップやプラコップのポイ捨てが減る
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
給水所でコップが不足しても困らない
これはすでにお伝えした通りで、春マラソンにありがちな、急に気温が上がって、予定していた量の紙コップがなくなってしまったという問題をマイカップが解決してくれます。サブ5以上のランナーなら紙コップがないというシーンに出会ったことがないかと思いますが、実はこれかなり深刻な問題になっています。
でも自分には関係ないと思わないでください。速いランナーが1人、マイカップを使えば、後方のランナーの1人が紙コップで給水できます。理想は湘南国際マラソンのように携帯必須にすることですが、それが現実的ではないのが実情ですので、マイカップの大切さを感じた人から、持って走るようにしてください。
自分のペースで給水できる
エイドで紙コップのドリンクを受け取った場合、基本的にゴミ箱が設置されている範囲で飲み干す必要があります。でも、マイカップを持っていれば、ゴミ箱を気にすることなく、自分のペースで給水できます。マイカップでなく、マイボトルにすればどこでも自由に給水ができるようになります。
これはタイムを狙う場合にも大きなアドバンテージになります。マイボトルとしてソフトフラスクに水分を入れて走れば、混雑するエイドをスルーできるのでレース途中でのペースチェンジや接触などを回避できます。このため、むしろタイムを狙う人にこそマイカップ・マイボトルをおすすめします。
紙コップやプラコップのポイ捨てが減る
マイカップを持ってスタートラインに立つことをおすすめする理由として、もうひとつ大きいのが、紙コップやプラコップのポイ捨てが減るという点が挙げられます。上の写真からもわかりますように、多くのマラソン大会で紙コップがゴミ箱に入れられず、そのまま捨てられています。
濡れた紙コップを踏むと滑ってしまいますし、気温が高い日になると匂いも気になってしまいます。たった1人がマイカップを持ったところで何も変わらないかもしれませんが、たった1人からでも始めないと、この状況は変わっていきません。
紙コップやプラコップだって限られた資源から作られているわけで、それを使わずに済むということは、地球環境にも優しいランナーになることを意味します。命を削りながら1分1秒を縮めているランナーに「マイカップを持って」とは言いませんが、そうでないなら環境保全の面からもマイカップを持って走ってください。
マイカップを持ってスタートラインに立とう
マイカップを持って走ることを推奨しましたが、実はひとつだけマイカップが広まらない大きな原因があります。それは大会側がマイカップに対応していないという点です。1万人規模のマラソン大会ではランナー1人ずつにドリンクを注いでいる余裕がなく、紙コップに注ぐ作業も裏側でやっていることが多々あります。
このようなケースで無理にマイカップを使うのはあまりおすすめしません。大事なのは大きなトラブルもなく大会を進行することですので、いくらマイカップが有効であってもその場の状況に応じて、使うか使わないかを決めるようにしてください。
ただ、そのような大規模なマラソン大会でこそ紙コップが不足する問題が起きがちです。ですので、使えない可能性があるとわかっていても、マイカップをお守りとして持って走るのがおすすめです。特にフルマラソンを6時間前後で走るという人は、持っていて損はありません。
あとはマラソン大会側で、マイカップ用にペットボトルなどを置いたテーブルをひとつ設置してくれるのを期待しましょう。台湾のマラソン大会では一般的な給水スタイルで、ランナーが各自で給水するのでボランティアスタッフさんの負担にはなりません。
いずれにしても、大事なのは自分から行動に移すということです。現在の環境がどうであれ、まずはマイカップを持って走るということを実践してみてください。