最近マラソン大会で、裸足ランナーを見かけることが多くなったと思いませんか?ちょっとおもしろそうだけど、いきなり裸足になるのは勇気がいるし、痛そうだと思ってなかなか始められないという人も多いのではないでしょうか。
そんなランナーさんのために、手軽に取り組むことができる裸足ランニングのはじめ方をご紹介します。
裸足に正しいフォームなんてものはない
まず裸足ランニングをはじめる前に知っておいてもらいたいのは、難しく考えないということです。「裸足ランニングはフォアフット」と思っている人もいるかもしれませんが、接地方法なんて実はどうでもいいんです。
単純にスピードを出して踵着地すると痛いから、自然とフォアフットになるというだけのことです。「こうしなくてはいけない」という考え方を一度すべて捨ててください。意識するのは気持ちよく走るということだけです。
なぜフォームを意識しないのかというと、人の体の形はそれぞれに違うからです。O脚の人もいればX脚の人もいます。右足が左足よりも長いという人もいます(もちろんその逆も)。
裸足ランニングの目的は、自分の体に合わせた無理のない走り方を探し出すことにあります。「こうしなくてはいけない」という意識があると、結果的に体に負荷をかけてしまって、ケガをする可能性があります。
裸足ランニングそのものがケガを防ぐわけではない
もうひとつ知っておいてもらいたいのは、裸足ランニングでケガをしにくくなるということです。実際にケガをして走れなくなった人が、裸足ランニングをすることでケガとは無縁のランニングライフを送れるようになっています。
ただ、裸足ランニングをすると絶対にケガをしないわけではありません。裸足でケガをしなくなる最大の理由は、練習量が減ることにあります。シューズを履いていた頃のように追い込む練習を毎日できなくなりますので、単純にケガのリスクが下がるだけです。
もちろん、シューズによるケガのリスクが減るというのもありますが、最新のシューズの多くが、ケガをしにくくなるような工夫がされています。
裸足でも頑張りすぎるとケガにつながります。シューズを履いても頑張り過ぎなければケガはしません。裸足ランニングを始めるまえに、そのことだけでもしっかりと頭に入れておいてください。
裸足ランニングのはじめ方
前置きが長くなりましたが、ここからは裸足ランニングのはじめ方についてご紹介していきます。はじめ方と言っても、すべきことはランニングシューズとソックスを脱いで走り出せばいいだけなのですが、多くの人はそれだけでは不安ですよね。
・公園のランニングコースで始める
・最初は歩くことから
・目線を下げない
大事なのはどこで始めるかということです。最初は足裏も敏感ですので、できるだけ路面のいい場所を選びましょう。ウレタン舗装されているランニングコースがあれば理想ですが、難しい場合は公園のランニングコースを使いましょう。
いきなり走り出してもいいのですが、最初は1kmくらい歩くことから始めてください。1kmが難しいという場合は路面が粗すぎます。とにかく耐えられない痛みは絶対にNGです。そのときはガマンできても、「もう止めよう」という心理になります。
裸足ランニングはあくまでも楽しく行うのが基本です。これは苦行ではありません。走ることの楽しみ方のひとつだと考えてください。ウォーキングから始めて、「走れるかも」と感じたところからランニングに切り替えましょう。
フォームは気にしなくていいとお伝えしましたが、ひとつだけ重要なポイントとして、目線を下げないことを心がけてください。目線を足元に持っていくと、猫背になって悪いフォームが定着してしまいます。
最初は足元を見ていないと不安かもしれませんが、そうすると裸足ランニングの効果が激減します。むしろケガのリスクが高まります。目線はまっすぐ前にして、背筋を伸ばして走る(歩く)ようにしましょう。
裸足ランニングをするときの注意点
はじめ方でも簡単に触れましたが、裸足ランニングをするときにはいくつかの注意点があります。
・芝生の上では走らない
・痛みを感じたらやめる
・慣れるまでは2日以上開けない
・スピードはできるかぎりゆっくりにする
・頑張らない
それぞれに理由について、簡単に説明していきます。
芝生の上では走らない
芝生で裸足になるのは気持ちいいですよね。でも走るとなるとちょっとおすすめできません。なぜなら、芝生の中にはどんなものがあるか分からないためです。小石くらいならいいのですが、犬の糞や尖った小枝など危険物が埋まっています。
気持ちいいのは分かりますが、競技場内の芝生とかでもない限り、芝生の上を裸足で走るのは止めておきましょう。
痛みを感じたらやめる
裸足で走り始めると、足裏の痛みとふくらはぎの痛みの2つを味わいます。どちらも痛みを感じたらそこで止めてください。特にふくらはぎの痛みは無理に続けると大ケガにつながります。
これまで使っていない筋肉を使いますので、状態としてはランニングを始めたばかりの筋力くらいしかないと思ってください。筋肉に異変を感じたら裸足で走るのはやめてウォーキングに切り替えましょう。
足裏の痛みに慣れるまでは3日以上開けない
最初はみんな足裏の痛みでつらくなります。でも痛みは慣れです。はじめは歩くことも出来なかった荒れた道でも、次の日になると思ったよりもスムーズに走れたりします。ただ、間が空きすぎると脳が忘れてしまって、また足裏が痛みを感じます。
足裏が路面の粗さに慣れるまでは、できれば2日に1回裸足で走るようにしましょう。ただし、痛いのがふくらはぎの場合は、最低でも2日間は休みをいれるようにしてください。
スピードはできるかぎりゆっくりにする
初めて裸足で走る人が、陥りやすいのがスピードです。特に走力がある人は、いきなりシューズがあるときと同じスピードで走ろうとします。これをすると高確率で足に血豆や水ぶくれができます。
これは足裏が摩擦になれていないためです。足裏が摩擦に耐えられるようになるには、1ヶ月くらいはかかります。新陳代謝により足裏の皮が厚くなるまで無理は禁物です。最初はジョギングペース、気持ちよく走れるくらいのスピードでいきましょう。
何度も繰り返しになりますが、頑張ってはいけません。とにかく気持ちよく、ついつい笑顔になるくらいが理想です。一歩一歩足裏の感覚を大切にしながら、ゆっくりペースで気持ちよく走りましょう。
裸足ランニングを始めるためのまとめ
裸足ランニングはシューズとソックスを脱ぐだけで始められますが、いろいろと不安があったり、人の目が気になったりして躊躇する人も多いかと思います。でも、それを乗り越えていくと、思った以上の自由が待っています。
大事なのは無理をしないこと。そして遊び感覚で始めるということです。真面目に取り組もうとすると思うようにできなかったり、ケガをしたりして継続することが難しくなります。
また、ワラーチやサンダル、裸足系シューズで始めようとする人もいますが、それはかなり遠回りをすることになります。そして、裸足ランニングを難しく考えすぎです。脱いで走り出す。それだけでいいんです。
最初から裸足で42kmも走る必要はありません。最初は100mだって楽しく走れるはずです。足裏が痛いなと思えばシューズを履けばいいだけです。シンプルに考えて、新しい世界へのはじめの一歩を踏み出してみてください。