ランニングで健康維持と走力アップを両立することはできない【目的を明確にする】

  • 2021.08.18
  • (更新日:2021.08.17)
  • コラム
ランニングで健康維持と走力アップを両立することはできない【目的を明確にする】

コロナ禍に入ってから運動不足を感じて走り始めた人も多いようですが、なんとなく「走る=健康」というイメージで走ってはいるものの、体重は意外と落ちないし、本当に効果があるのか疑問に感じている人もいるかも知れません。でもランニングなどの有酸素運動は間違いなく健康維持に役立ちます。

明確に効果が見られないかもしれませんが、目には見えない部分での変化は起きていて少しずつ健康体に近づいています。例えば腸内環境改善。イギリスに本社があるアトラスバイオメッドの発表によると、ランニングなどの有酸素運動は腸内環境の改善に効果があることがわかっています。

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腸内環境が整うことで心身ともに安定する

腸内環境改善と聞くと乳酸菌を摂取して……みたいなイメージがあるかもしれませんが、この数年で腸内環境に関する研究が大きく進み、腸内環境を改善することで難病を治療できたり、人の性格まで変えてしまうことなどが分かっています。

腸は「第2の脳」とも呼ばれていて、私たちの思考にも影響を与えるため、腸内環境を改善することで、これまで悩まされてきた体の不調も合わせて改善されるケースもあります。腸内環境については、まだまだ分かっていないことも多いのですが、「整えることが健康維持に大事」というのはほぼ間違いありません。

では腸内環境が整うというのはどういうことかというと、これまでは善玉菌が悪玉菌よりも多ければいいというざっくりとした考えでしたが、最近では腸内細菌の種類が豊富であることも重要だということも分かっています。腸内細菌は1000種類、約100兆個が私たちの腸にいて、どの腸内細菌が多いかは人によって違います。

腸内細菌の種類は食生活の影響を受けやすく、例えば同じ食事を食べている家族の腸内細菌の分布はかなり似たものになります。そして様々な食材を摂取している人ほど腸内細菌の種類が豊富になり、腸内環境が整った状態になることも分かっています。

腸内環境が整うと自律神経が安定します。自律神経が安定するとイライラすることもなくなく、冷静に物事を判断できるようになります。睡眠の質も高まるので体もしっかりと休まるのでコンディションも整っていきます。これが腸内環境を整えることが健康維持につながるメカニズムのひとつで、そのためにはまず食生活の改善が必要になります。

ランニングをすると腸内細菌が活性化し健康になる

食生活を改善すると腸内環境が改善し、心身ともに健康維持に繋がります。ただ今回は食生活の改善については説明しません。雑に説明するなら、納豆などの発酵食品と食物繊維をしっかりと摂っておけばOKです。詳しくは別記事のリンクを貼っておきますので、そちらを参考にしてください。

ここでお伝えしたいのはランニングと腸内環境の関係についてのお話。

アトラスバイオメッドの発表によると、腸内環境(腸内フローラ)の構成と心肺機能には密接な関係があり、「ランニングなどの有酸素運動をして心肺機能が向上すれば、腸内細菌の多様化が進む」とのこと。すでにお伝えしましたように、腸内細菌の多様性が上がれば、健康維持が期待できます。

具体的には週に数回、30〜60分程度心拍数を上げて、腸内フローラを活性化させることが推奨されています。時間に幅があるのは心肺機能に個人差があるためで、すでに高い心肺機能を備えているランナーなら60分程度のランニングを週に2〜3回行うことで、腸内環境の改善が期待できます。

もし健康になりたいのであれば、腸内環境改善のために60分程度の軽いジョギングを2日に1回くらい、もしくは30分のジョギングを毎日行いましょう。大事なのは継続するという点です。本質的な腸内環境改善には年単位での時間がかかります。コツコツ積み重ねていきましょう。

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自分なりのランニングとの向き合い方を決める

コロナ禍でマラソン大会が中止や延期になり、多くの人がそろそろ気づいているかもしれません。それはマラソン大会がなくてもランニングは楽しいし、自分の健康を維持するには継続して走り続ける必要があるということを、この1年ちょっとで学び、もうマラソン大会がなくてもいいかなと感じている人もいますよね。

実際にフルマラソンが体に与える負荷というのはとても大きく、関節を痛めてしまう可能性もあり、体内には活性酸素が溜まっていき、老化を進めてしまいます。マラソンを走ることは健康的なことだと思っている人もいますが、現実は違います。

健康のためだけならすでにお伝えしましたように、1日30〜60分、心拍数を上げすぎない範囲で軽く走れば腸内環境が改善され健康な体を維持できます。反対に走りすぎると体はどんどんと消耗していき、最終的には寿命を縮めてしまう可能性もあります。

まずはそのことをしっかりと頭に入れておきましょう。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言いますが、走り過ぎは不健康だということを忘れないでください。ある程度のレベルになると、健康維持と走力アップを両立することはできません。

でも、体に悪いからという理由だけで追い込むランニングをやめる必要ありません。そこはそれぞれの生き方の問題で、ランニングで不健康になったとしても、それと引き換えに達成感や爽快感が手に入るわけで、それらは日々の生活を充実してくれます。

大事なのは「何のために走るのか」を考えて、それに適したランニングスタイルを確立するということです。自分がランニングによって何を手にしたいのか、時間があるときに考えてみてください。そして自分なりのランニングとの向き合い方を決めましょう。

すべてを手に入れることはできないのは、この世の摂理みたいなものです。本当に自分の欲しいものは何なのかを考えて、自分なりのランニングスタイルを探してみてください。

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