日本一早いマラソンレポート「第8回 東京タワー階段競争」

東京タワーの階段を駆け上がるだけ。東京にはそんな変わったレースがあります。トップの選手は、なんと2分とちょっとで走り終える短期決戦「東京タワー階段競争」が開催されましたので、その内容をレポートします。

東京タワーの階段は600段ありますが、レースに使うのは531段。ほとんどのランナーは3〜6分程度の走りきりますが、もちろん楽なわけではありません。心拍数はこれ以上ないくらい上がりますし、足はパンパンになります。

事実、駆け上がった選手のほとんどが、展望フロアで倒れ込んでいます。

参加者の中には興味本位で参加する人もいれば、優勝目指してトレーニングを重ねてきた人もいます。それぞれに思いは違うものの、苦しみを味合うという点では共通しています。しかも頑張れば頑張るほど、苦しみは大きくなります。

大会は東京タワーが営業を開始する前に行われますので、受付が7:30からと早く、第1走者のスタート時間も8:30です。そして、2分後には最初のランナーがゴールしています。

スタート順は過去の実績と、申告した5キロのベストタイムで、走力を判断して大会事務局が決定します。7秒毎のウェーブスタートで、なおかつ走力差がほとんどないため、途中で追い抜くというシーンはあまりありません。

また、走れなくなったランナーが端に避けてくれるので、追い抜きが必要な時も、それほどストレスにはなりません。それくらい、あっという間に終わってしまうわけですが。

上位の選手は慣れたもので、最初から飛ばすのではなく、力をほとんど使わずに軽く上がっていきます。初参加の人ほど、気合いを入れて上がるわけですが、そういう人のほとんどが、200段を超えたあたりから失速します。

短い距離だと思って心拍数を上げすぎると、後になって苦しむことになります。そういう意味では、1キロ走に似ているかもしれません。たった1キロだと思って飛ばすと、後半に足が動かなくなるのと同じです。

気合いと根性だけでなんとかなるわけはなく、飛ばしすぎないように自分をコントロールする強さも求められるのが、東京タワー階段競争の面白いところです。ただ、自分を抑え過ぎると、今度は思ったようなタイムになりません。

冷静な判断力と、飛び出す勇気が試されます。

東京タワーの階段は踊り場前に段数が書かれていますので、残りの段数がイメージしやすく、確実にゴールが近づいているのを感じることができます。さらにほぼ屋外ですので、心地よい爽やかな朝の空気を感じながら走れます。

前日に大雨が降ったにも関わらず、足元はほとんど濡れていませんでしたが、そこに運営側の熱い想いが伝わってきます。

ただ、今回は計測機器のトラブルで後半のランナーで計測が出来ていないという問題が発生しました。これはメカトラブルで仕方のないことですし、ビデオ撮影をしてきたので、それによりタイムを確定させていましたが、いろいろな部分で待たされている感がありました。

受付もかなりの行列になっていましたし、完走証の発行も後半はかなり手間取っていました。さらには表彰式も「ちょっと長いな」と感じましたが、他の参加者も同じような声を聞きました。

イベント慣れしているリスタートランニングクラブの運営でしたので、今回がイレギュラーだったとは思います。

とはいえ、これくらいのことはどの大会でもあることです。おそらく回数を重ねていく中で改善されていくのでしょう。ただ、ほんの少しだけスムーズさが加われば、格段にリピート率がアップするように感じました。

この大会の魅力はどこまでも自分を追い込めることにあります。もちろん、ブレーキをかけるのも自分次第です。ブレーキをかけずに自分の持っているものを絞り出すことができる人なら、きっと東京タワー階段競争を楽しんでもらえるかと思います。

レース時間が短かすぎるため、4,320円という参加費が高く感じてしまうという悩ましい問題もありますが、それでも東京タワーの階段を全力で駆け上がれる機会は、そうはありません。

オールアウトして得られる充実感は癖になるはずです。

年々注目度が上がり、手軽に参加できるということでリピーターも多いため、そろそろクリクック合戦が始まりそうな大会です。外国人に東京タワー階段競争の存在を知られたら、競争率はさらにアップします。

そうなる前に参加してみてはいかがでしょう。

できれば1人で出るよりも、ラン仲間を誘って出場してみてください。4人で出場するチームの部というのもあります。まずは1回出場して、次は過去の自分を越えていくことを目標にトレーニングを積み重ねる。

そのトレーニングはロードのレースにもプラスになるはずです。シーズンオフでモチベーションが下がる時期の大会ですので、出場するだけで「もっと練習しなくては」という気持ちにさせられるはずです。

しかも、これまでにない苦しみと充実感を同時に味わえます。そしてきっとこう思うでしょう。「次はもっとうまく走ろう」と。