ランニングやマラソンにおいて、水分補給はとても重要なキーワードのひとつです。夏場のトレーニングはもちろんのこと、秋マラソンでも熱中症になることもあり、冬場のマラソンでも脱水症状になるランナーがいます。
でも、そのような症状は正しい水分補給の方法を知っていれば防ぐことができます。そこで、ここではランナーはどのように水分補給をすればいいのか、その基本的な考え方について、詳しく解説していきます。
水だけを飲むことは避けましょう
ランナーは走ることで汗をかきます。水分補給はこの汗を補うために行うのですが、ここで水だけを飲んでしまうのはNGです。
水を飲むことで細胞周りの体液の浸透圧が低くなります。そうなると相対的に浸透圧が高まった細胞が膨張して破裂します。これを避けるためには、体液に近い浸透圧の飲み物であるスポーツドリンクを飲む必要があります。
よくランナーが「スポーツドリンクを薄めて飲む」ということをするのですが、流れ出た汗を補うという意味ではスポーツドリンクを薄めて飲むことはあまりおすすめできません。
体内の水分が急激に不足しているときはスポーツドリンクを薄めて飲むほうが、吸収しやすいのですが、そもそも体内の水分が急激に不足している状態がNGです。ランニングやマラソンにおいては絶対にあってはならないことなので、そうなる前にスポーツドリンクで水分補給をしましょう。
スポーツドリンクをひと口ずつこまめに飲むのが水分補給の基本
スポーツドリンクの補給のコツとしては、喉が渇く前から飲むということです。スポーツドリンクは吸収に時間がかかるため、飲みたくなってからでは遅いんです。だから欲しくなる前から飲んでおくことが重要です。
飲む量は人それぞれですが、1時間で失った汗と同じ量を、10回程度で分割して飲むといいでしょう。5〜10分で一口飲んでください。1〜2時間で500mlのペットボトル1本を飲み切るくらいが理想です。
ポイントはこまめに飲むということ。マラソン大会でありがちな、給水所でのがぶ飲みはNGです。おなかがタプタプするだけで、体内への吸収が追いつきません。正確には胃や腸に水分が溜まってしまいます。
私たち人間は腸で水分を吸収しますが、摂取した水分すべてをいきなり腸に送るのではなく、1度に腸に流せる水分は限られているので摂取しすぎると水分が胃に残ります。また腸に流れた水分も、時間をかけて吸収されるので、吸収が完了するまで腸に水分が溜まってしまいます。
さらに、ランニング中は本来内臓に流れている血液が、筋肉に酸素を送るために使われるため、内臓機能そのものが低下しており、効率よく水分の吸収ができないため、こまめに分割して水分補給するのが理想です。
一口ずつ常に補給し続けるイメージです。点滴のように途切れることのない水分補給をしたいところですが、それは難しいので数回に分けて飲みましょう。エイドで飲む場合には、できるだけすべてのエイドでひと口ずつ飲んでください。
水分補給だけでなくかぶり水も利用して体を冷やそう
人間が汗をかくのは、体の表面を濡らすことで、水冷の状態を作るためです。だったら最初から体を濡らしておけば、汗を失うことはありません。夏場のマラソンなどで、エイドなどのかぶり水がある場合は、頭と足を濡らしておきましょう。かぶり水がない場合は、飲用の水でもかまいません。
水で体を冷やす。
これで体は無駄な汗を流さなくて済みます。汗を流さなければ水分補給も減らすことができますので、エイドやランニング中の水道では必ず体を濡らした上で走るようにしてください。
走るスピードも汗がじんわり滲んでくるぐらいが最適です。汗がダラダラ流れるのは夏場のランニングとしては「速すぎる」か、走るのに適していない気温かのどちらかになります。
せっかく体を冷やすために出てきた汗が、体を冷やすことなく地面を濡らしていたのではもったいないので、夏場のトレーニングでは汗がダラダラ流れない程度のゆっくりとしたペースで走りましょう(ポイント練習は別ですが)。
人間が失っていい水分量は体重の2%
人間の体の機能として体重の2%以上の水分を失うと脱水症の初期状態になり、3%以上失うと体が危険な状態になると言われています。体重が60kgのランナーであれば2%の1.2kgの水分で警告、3%の1.8kgで赤信号だと考えてください。
このため、汗を大量にかく夏場はランニングの前後に体重を測るようにしてください。走る前と走ったあとの体重差が自分の体重の2%以下になるようにランニングやマラソン中の水分補給を行ってください。
走って「3kg痩せた!」なんて喜んでいる人がいますが、喜んでいる場合ではありません。人間が走って消費するカロリーなんてたかが知れています。1回走って脂肪を燃やして減る体重なんて、体重計レベルでは誤差範囲です。
夏場はランニング前後で体重が減らないように気をつけてください(春や秋も要注意です)。そのためには走りながらこまめな給水が最適です。甘ったるく感じるスポーツドリンクでも、1口ずつの給水であれば、それほど嫌な感じにはなりません。
どんな走りをすれば、どれぐらいの水分が足りなくなるか、それを練習時から把握して最適な量の水分補給するようにすると、夏場のレースでも後半失速することなく走り続けることができます。
レースの前後で体重がマイナス2%程度しか減らさないこと。もし帰宅して体重が大幅に減っていた場合には、練習やレース後にゆっくりと時間をかけて水分補給を行って、失った水分を取り戻すようにしてください。
まとめ
春から秋にかけては「水分を失わない」これだけはしっかり覚えておきましょう。水分補給はスポーツドリンクをこまめに分割して飲むのがベストですので、トレーニングやレースではランニングポーチを活用しましょう。
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