アディダスがトップアスリートをサポート。メディア向けイベント「adidas House Tokyo session」レポート

世界中からトップアスリートが東京に集結し、日本国内だけでなく世界中に熱狂が広まっています。すでに世界新記録が誕生したり、手に汗握る競い合いが繰り広げられたりして、その勢いは留まるところを知りませんが、そんなアスリートをスポーツブランドが支えていることを知っていますか?

アディダスもそのひとつで、国立競技場から近い表参道に「adidas House」をオープンして、トップアスリートをサポートしています。そんな「adidas House」を見学できるメディア向けイベント「adidas House Tokyo session」をアディダス ジャパンが開催。その内容をレポートします。

目次

アディダスの契約アスリートを支える拠点「adidas House」

adidas Houseは世界陸上や五輪などの世界的な大会が開催されるタイミングで、アディダスの契約アスリートをサポートする目的でオープンする施設です。このため、契約アスリート以外でその存在を知っている人は限られています。

今回、メディア向けイベント「adidas House Tokyo session」をアディダス ジャパンが開催したことで、多くのメディアが取り上げたことで、「そんな施設があるんだ」と初めて知った方も多いはず。もちろん私もその1人です。

では、adidas Houseでは何が行われていて、アスリートはどのように活用しているのでしょう?

adidas Houseは契約アスリートにとって大きな3つの役割を提供しています。

  • 体と心のコンディション調整
  • シューズの調整
  • 素晴らしい結果を出したときのセレブレーションの場

adidas Houseには高周波電流を用いたトリートメントを受けられる部屋が用意されており、そこでレース本番に向けてコンディションの調整を行えます。そして、ケータリングスペースでは、美味しい食事を楽しみながら、ゆっくりとリラックスすることもできます。

これらのサービスにより、アスリートは家族や友人などとリラックスした時間を過ごし、心身ともにベストな状態で競技に挑めるように、アディダスがサポートしているわけです。

そして、adidas Houseではシューズの調整もできます。これについては、ランナーにぜひ知っておいてもらいたい情報もあるので、後ほど詳しく解説します。

adidas Houseはアスリートがベストなコンディションでレースに挑めるように、リラックスできる空間も提供していますが、その空間はセレブレーションの場にもなります。たとえばメダルを獲得したときのパーティや、取材を受ける場としても使えるわけです。

仲間やチームメイトとお祝いしたいけど、知らない土地でお店を予約できるアスリートは限られており、そういうときにadidas Houseを活用できます。

このように、さまざまな角度からアスリートをサポートするのがadidas Houseであり、そのサポートもあって、アディダスの契約アスリートはレースに集中し、自分のポテンシャルを最大限に引き出すことに成功しています。

「シューズの調整」から私たちが学べること

adidas House ではシューズの調整ができるとお伝えしましたが、ほとんどの方がシューズの調整って何?と疑問に感じたかもしれません。そもそも現代の陸上競技において、シューズはWA承認シューズリストに掲載されているもの、すなわち既製品を使う必要があります。

「カスタマイズされた靴」や「開発段階の試作靴」はWAから承認を受けたもののみOKとなっているため、原則として市販されているシューズを利用することになります。でも足の形はアスリートといえどもそれぞれ異なるため、市販品では「ジャストフィット」になりません。

ジャストフィットでないシューズは、アスリートによってはパフォーマンスを低下させることもあるため、「調整」を行うわけです。実際にはいくつものデータから、最初から調整されたシューズが契約アスリートの手元に届きますが、大会期間中に負傷したり、感覚が合わなくなったりしたときに、adidas Houseで調整します。

調整の方法はアスリートの要望によって異なりますが、フィット感であればアッパーに熱をかけて変形しやすくしたうえで圧力をかけて部分的に伸ばすといった調整を行います。とてもアナログな手法ですが、adidas Houseには調整のスペシャリストが常駐しており、どのような要望にも応えてくれます。

ちょっとしたこぼれ話ですが、細かい調整を依頼するのは日本人アスリートに多く、海外のアスリートは日本人アスリートほどは細かくないのだとか。

ここでお伝えしたいのは、トップアスリートは「調整」によってジャストフィットな状態にしているということと、シューズは調整できることを前提に作られているということ。これはシューズ開発におけるひとつの制約になります。

現在のアッパーよりも軽くてフィット感が優れている素材があったとしても、それが変形しない素材だったとすると、調整ができないため製品には採用できないことは容易に想像がつきます。そこはランニングシューズの伸びしろでもあり、これから進化する可能性があるポイントでもあります。

10年後、20年後には、調整することなく誰の足にもジャストフィットするランニングシューズができる可能性があります。そうなると調整できる環境のない私たち一般のランナーも、トップアスリートと同じように自分のポテンシャルを100%発揮できるようになり、これまで以上にランニングを楽しめる未来が待っているかもしれません。

もちろんそれは可能性の話であり、実現するかどうかはわかりません。ただ、そういうシューズが誕生するかもしれないというのは夢があります。

また、調整できるように設計されているということは、シューズを使い込むと足に馴染んでいくことを意味します。購入したばかりの新品シューズでレースに出るのではなく、ある程度走り込んで足に馴染ませる作業をしたほうが自分のポテンシャルを引き出せる。

マラソン大会直前になってシューズを買い替える方もいるようですが、しっかり足に馴染ませるためにも1ヶ月くらいの慣らし運転を行うことを念頭に置いて、直前ではなく少し早めに購入しておくことをおすすめします。

これからのアディダスが目指すべきところ

アディダスは言わずとしれたワールドワイドなスポーツブランドであり、少なくともランニングを楽しむ誰もが知っているブランドになっています。すでに多くの世界記録や大きな大会での優勝を支えてきた実績もあり、トップアスリート以外も快適なランニングを提供し続けています。

そんなアディダスがこれからどこを目指すのか。「adidas House Tokyo session」のトークイベントでは、その一部がアディダス CEO ビョルン・ガルデン氏が語ってくれました。

これからは「ローカルに合わせたアプローチをしていく」とのこと。たとえば日本には「駅伝」という文化があります。この「駅伝」を意識したマーケティングが必要であり、そのために「駅伝」という日本独自の文化を理解できている人が陣頭指揮を取れる組織へとシフトさせたとのこと。

それは日本におけるローカライズであり、世界のいたる地域で同じように、ローカルに合わせた展開をしていくことで、アディダスがもっと多くの人にとって身近なブランドになっていき、そして健康的にスポーツを楽しんでもらうためのサポートをしていくというのがアディダスが描いているストーリーです。

おそらく、これから日本国内ではアディダス ジャパン主導のさまざまなイベントやキャンペーンが実施され、私たちランナーはアディダスの製品を手にしたり、サービスを受けたりする機会が増えていくはずです。どのような変化があるのかはまだわかりませんが、今後の展開を私もランナーの1人として楽しみにしています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次