日本一早いマラソンレポート「ステアクライミングチャレンジ大阪大会 in ツイン21 MID タワー」

11月最終日とは思えない暖かさが日本列島を包み込み、全国各地でさまざまなマラソン大会が開催されるなか、大阪城から程近い場所に位置するツイン21 MID タワーでは、今年2月に続いて階段を駆け上がるステアクライミングレース「ステアクライミングチャレンジ大阪大会 in ツイン21 MID タワー」が開催されました。

マラソンでも短距離でもない、ただひたすらに上を目指して駆け上がるだけ。心臓が飛び出るのではないかと不安になるほどの心拍数。立ち止まりたくなる自分の弱さを振り切って、全国各地から集結した約480名のステアクライマーが37階739段を駆け上がりました。

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6〜7割がリピーター!苦しさがクセになるステアクライミング

RUNNING STREET 365がステアクライミングレースに注目しはじめたのがちょうど10年前、2015年11月に大阪府咲洲庁舎で「THE RISE256」が開催されました。当時はまだステアクライミングという名称ではなく、階段垂直マラソンと呼んでいました。

そこからあべのハルカスなど、さまざまな高層ビルで開催され、ここ数年は屋外でのステアクライミングレースも増えてきました。それでも「大阪」というのは多くのステアクライマーにとって原点であり、自然と力が入ってしまう場所でもあります。

ステアクライミングは沼にハマってしまう人と、2度と挑戦しないという人にきれいにわかれます。人生で味わったことのない苦しさをポジティブに受け止めた人にとっては、2度と抜け出すことのないステアクライミングの世界。今回の大阪大会も6〜7割がリピーターとのこと。

新規開拓が思うようにできていないのがステアクライミングの課題ですが、ハマったら誰も抜け出すことはできないので、裾野は確実に広がりつつあります。もちろんハマらない人だっています。わざわざ苦しい思いをしようなんて考える人の方がどう考えてもマイノリティ。

10分にも満たない時間のために何時間もかけて遠征する。周りの人にまったく理解してもらえない競技ではありますが、リピートする参加者はみんなこう考えているはずです。「どんな理由があったとしても、そこにステアクライミングレースがあるなら駆けつける」と。

では、ステアクライミングの魅力はどこにあるのか。これは本当に難しい質問で、私はまだそれを正しく表現できている人にであったことがありません。もしかしたら、階段の沼にハマり、リピートする参加者は、その答えを探して階段を駆け上がっているのかもしれません。

これまでにない熱気がツイン21 MID タワーを包み込む

リピーターの多いステアクライミングですが、2025年になってから、これまでと違う風が吹いているのを感じるようになりました。それが顕著に現れたのが10月に開催された「太郎坊チャレンジ」で、会場には熱気があり、みんなで大会を盛り上げていくのだという空気感を感じました。

それは太郎坊チャレンジという屋外レースだからかと考えていたのですが、その熱気がそのまま大阪に持ち越されていて、会場となったツイン21 MID タワーもこれまでにない熱気に包まれていました。レースを終えたエリート選手もゲストランナーも、ボランティアスタッフもとにかく元気で明るくて元気。

小さなことかもしれませんが、元気や明るさというのは周りの人に伝わっていき、そこにいる人たちを笑顔にします。その笑顔がさらに他の人の笑顔を生み出します。これまでのステアクライミングレースでは、自分の世界に入り込んで集中するタイプの人もいましたが、今回はそういう人も顔を上げて会場の空気を楽しんでいるようでした。

それを生み出しているのがツイン21 MID タワーという特別なステージなのかもしれません。日本国内の高層ビルとしては、決して高いわけではなく、タワーマンションなどが増えた今ではミドルクラスの高さになります。ただ、2月にも感じたことですが、人を陽に導くかのような空気感が満ちています。

そして、ステアクライミングのため存在するかのような特別感。窓からは美しい大阪城が見えて、ツイン21 MID タワーには選びきれないくらいたくさんの魅力的な飲食店もあり、お手軽にレース前に小腹を満たせるコンビニもあります。大勢の参加者やスタッフがいても、トイレに困ることもありません。

それでいて競技はテンポよく進んでいき、会場内には走り終えた高揚感のあるステアクライマーとこれから駆け上がる緊張感を纏ったステアクライマーが入り混じる。そんな混沌も会場の熱気になっていき、さらに会場の盛り上がりが増していったように感じます。

達成感と悔しさが入り混じる37階739段

レースは最初にエリートの部であるステアクライミングジャパンサーキット(SJC)が開催され、そこから2回駆け上がった合計タイムを競う「ダブル」が行われます。その後、小学生や中学生、チームなどのレースを経て、いよいよ私が出場するシングルが始まります。

ステアクライミングが好きならダブルに出たらいいのにと言われることがあるのですが、私は一発勝負のほうが性格的に合っていて、1本にすべてを注ぎ込むシングルを選んでいます。2回駆け上がる自信がないわけではありません……決して。

2月に行われた昨シーズンはフルマラソンの翌週だったということもあり、6分10秒という平凡なタイム(順位もちょうど真ん中ぐらい)でしたので、今回はそれ以上の結果を目指しました。ただ、2月と比べて体重が2kg近く増えており、トレーニングもジョグしかしていない状態。

言い訳の材料は揃っているものの、できる限りのことはしようと思い、スマホもAppleWatchも持たず。可能な限り軽量化をしておきました。毎回のことですがもちろん裸足。身につけているものだけなら、参加者の中で1番軽かったかもしれません。

そこまですると、久しく体験していなかった緊張感に包まれてしまいましたが、それも集中力に変えられるはずと前向きに。前回は20階までしか体が動かなかったのですが、そこで20階を意識すると同じことを繰り返しそうなので、階数は気にせずに、目の前の階段を一歩ずつ上がります。

ただ、おそらく10階を超えたくらいですでに足が思うように動かず、そして呼吸も苦しくなっていくのを感じます。無理をするにはまだ早すぎるということでペースを落としたところで、後方から荒い息遣いが聞こえてきます。30秒遅れてスタートした後ろの選手に追いつかれそうになり、インコースを譲ります。

サクッと抜いてはもらえないのでしばらくはアウトコース。その結果、さらに息が上がりますが、前回とは違ってここで粘れます。もう無理だと体は悲鳴を上げていますが、1段飛ばしで上を目指し、フラフラになりながらなんとかフィニッシュ。

そしてここからがお待ちかねの悶絶タイム。この苦しみを味わいたくてステアクライミングをしている。そう錯覚するほど苦しさが気持ちよく、やりきった感に満たされます。ただ、今回は過去最大の苦しみで、いつまで経っても心拍数が落ち着きませんでしたが。

荷物を受け取ってスマホでレース結果を確認したことろ、まさかの21秒短縮で5分49秒。順位も165人の出走者の中で46位と全体の1/3に入れました。面白いものでそれを見た瞬間は「やりきった」と満足できたのですが、1分もしないうちに「もっとできたはず」という思いが湧いてきます。

同年代の知人が5分を切っているのを知り、満足感や喜びは消え去り、悔しさがすべての思考を支配します。どんな結果を出したところで、それ以上を目指したくなる。これこそがステアクライミングの沼であり、終わりなき挑戦へのモチベーションなのかもしれません。

ステアクライミングは人生を変える力がある

階段は私たちの日常に当たり前のように存在していますが、どちらかといえば「避けたい存在」になっています。階段とエスカレーターがあれば、当然のようにエスカレーターが選ばれ、階段を上るしか選択肢がない場合は、多くの人を憂鬱にさせます。

でも、ステアクライマーは違います。ステアクライミングのレースに出るようになると、日頃から積極的に階段を選ぶようになります。沼にハマってしまったステアクライマーになると「どうすれば効率よく階段を上れるか」を日々の生活の中で考えるようになります。

その領域に達しなくとも、ステアクライミングに挑戦するようになると、日常の風景が変わって見えるようになります。ステアクライミングにハマり、エスカレーターではなく階段を使うようになるだけでも、筋力も心肺機能も向上し、挑戦できることがさらに増えていく。

そして何度も大会に出ていると顔馴染みも増えていき、その存在が刺激になってもっと上を目指したくなる。それはエリート選手や入賞するレベルのステアクライマーだけの話ではありません。ステアクライミングの苦しさを共有したなら、その瞬間から走力や体力、年齢に関係なく仲間になれます。

だからこそ、1人でも多くの人にチャレンジしてもらいたいと考えています。もちろん、誰でも結果を出せるわけではなく、人によってはただ苦しいだけかもしれません。でも、思わぬ適正により、世界中のステアクライミングレースを巡るようになる可能性だってあります。

少なくとも、人生を変える可能性はすべて人に等しく用意されています。自分の人生にちょっとした刺激が欲しい。最初はそれくらいの気持ちでもいいので、まずはステアクライミングの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょう。きっとこれまでとは違う日々があなたを待っています。

ステアクライミングチャレンジ
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