日本で1番人気のあるマラソン大会は東京マラソンです。華やかで最後まで途切れない声援。ほとんどのランナーが1度は走ってみたい大会ではないでしょうか。
でも世の中にはそんな東京マラソンに負けないくらい魅力のある大会がたくさんあります。そのひとつがオホーツク網走マラソンです。
網走刑務所をスタート地点にして、自然豊かなコースをオホーツク海を眺めながら走ります。網走の市街地やコースの一部を除き、ボランティアさん以外ほとんど声援はありません。では楽しくないのかというとそんなことはありません。
波や風の音を聞きながら、まるで北海道の自然に自分が溶け込んだような感覚で走ることができます。これは東京マラソンのような大規模マラソンでは経験することができないものです。
もちろん、すべてのランナーにとって、網走マラソンが特別な経験になるというわけではありません。前半から中盤にかけてはアップダウンがあり、走力のないランナーには厳しいコース設定になっています。
それでも北海道マラソンのような単調なコース設定ではなく、アップダウンがあったり、絶妙な位置にエイドが配置されたりして、ランナーがいつも新鮮な気持ちで走り続けられる工夫がされています。これこそオホーツク網走マラソンが高い評価を受けている理由のひとつかもしれません。
オホーツク網走マラソンを走るランナーの数は3000人以下です。ただ、ここに集まってくるランナーはレベルがかなり高めです。通常のマラソン大会では、後半になって歩いているランナーが多く見られますが、この大会では歩いてゴールを目指すランナーがあまりいません。
スピードはそれぞれですが、後方のランナーでも自分のスピードでゴールを目指します。
東京マラソンではオホーツク網走マラソンの10倍以上のランナーが参加します。ただし、その中で本当のランナーはどれくらいいるのでしょう?東京マラソンに当選したから走り始める人も少なくないかと思います。
それはそれで素晴らしいことですが、きちんとした練習を積まずに大会に挑む人もいます。その結果、自分の能力を把握しないままに、スピードを出し切って後半失速するという状態をよく目にします。
オホーツク網走マラソンでは、そういうランナーがいないわけではありませんが、少数派です。スタートラインに立った、ほとんどのランナーが自分なりの練習を積んでいます。そして、それぞれが自分のペースでゴールを目指します。
それを支えるのがボランティアさんたちです。エイドでランナーに声をかけ続けるボランティアさん。多くのランナーがその声に励まされたはずです。
オホーツク網走マラソンの魅力はそれだけではありません。今年で3回目の開催ですが、とても3回目とは思えないくらいの完成度の高さです。もちろん、足りない部分はあります。
予想以上の完走者があったことでフルマラソンのフィニッシャーズタオルが足りなかったり、荷物預け用の袋が斜めがけができなくて使いづらいなどの、不満の声は聞こえてきます。
ただ、そんなことは改善しようとすればすぐにできることです。
マラソン大会が成功するポイントのひとつが、主催者がどれだけ強い想いをもっているのかどうかということです。網走という街に足を運んでもらいたいという想い。網走という街をもっと知ってもらいたい。オホーツク網走マラソンは、その気持がしっかりと伝わってきます。
声援は東京マラソンと比べられないほどに少なめです。大都市マラソンと比べると足りないものはいくつもあります。それでも、また走りたいと思える何かがあるのがオホーツク網走マラソンです。
マラソンだけでなく本州では絶対に食べることのできない新鮮な魚が、網走にはあります。いまは北海道マラソンが、旅ランとしてとても人気がありますが、おそらく数年のうちに網走マラソンも人気が高くなり、簡単には参加できない大会になります。
網走刑務所をスタートとすることを考えると、オホーツク網走マラソンはこれ以上の参加者は増やせません。3000人程度の参加が限度です。
今はまだ「知る人ぞ知る」大会ですが、あと数年もすれば、間違いなく「網走マラソンって魅力的な大会かも」というような雰囲気ができあがります。それくらい、このマラソン大会はよく出来ている大会です。
台湾からのランナーも参加して、他にも外国人ランナーが何人も走っています。日本のこんな僻地にまで世界中からランナーが集まるというのは、他にはない魅力がここにあるからです。
都市部を全力で駆け抜けるだけがマラソンではありません。マラソンというのはもっと自由に楽しんでいいスポーツです。大自然の中に身をおいて、自然と一体になりながら42.195kmを走るというのも、ここでしか味わうことの出来ない感覚です。
ちょっとでも「面白いかも」と感じた人は、来年のオホーツク網走マラソンに参加してみませんか?
この大会は、走ることの楽しさを思い出させてくれるレースのひとつです。もし「大都市マラソンはもういいかな」と感じるようなことがあるなら、オホーツク網走マラソンはとてもおすすめです。