今シーズンこそは自己ベスト更新を達成させたい。そう考えているランナーも多いかと思いますが、ある程度のレベルにまで到達すると、走力のアップだけでは自己ベスト更新を目指しにくくなります。
大会ごとに自己ベスト更新を出しやすい大会と、どうしても記録を望めない大会があります。ここでは、どの大会が自己ベスト更新を狙いやすいかではなく、どの視点で選べばいいかをご紹介していきます。
コースはフラットで折返しが少ないのがベスト
これはすべてのランナーが分かっていることかと思いますが、コースはフラットで180°の折返しが少ないコースがベストです。現実的ではありませんが、微妙に下りの42.195kmまっすぐのコースがあれば好記録が期待できます。
ですので、基本的には次の2点をチェックしましょう。
● 高低差
● 折返し回数
高低差はとても重要ですが、例えば東京マラソンは高低差が約35mあります。これはかなりの高低差に思えますが、スタート地点の新宿が+35mに位置し、5km過ぎまで下りすので、いい意味で高低差があります。
フラットが理想ですが、東京マラソンのように高低差があっても、走りやすい大会もありますので注意してください。大事なのは「できるだけ上りがない」コースであることです。
折返しは完全に失速しますので足に負担がかかります。そういう意味で折り返し回数は少ないのが理想です。東京マラソンは複雑に見えて実は3回しか折返しがありません。
超高速レースになるベルリンマラソンは、折返しが1回もありません。そして高低差はなんと20m以下に設定されています。このことからも、高低差と折返しがいかに重要か分かってもらえるかと思います。
ちなみにコース条件だけでいえば、日本で1番自己ベスト更新を出しやすいのが、四万十川桜マラソンです。この大会のコースは四万十川の川上から川下へのワンウェイコースで、高低差が約100m・折返し0回です。
100mを下ることになるので、もちろん公認コースではありません。そして、このコースで走って自己ベスト更新をしても、それを実力と呼ぶべきかどうかは悩ましいところです。
そして、何よりも自己ベスト更新を狙いやすい大会でありながら、実は意外と後半に失速しやすい大会でもあります。なぜなら、四万十川桜マラソンは3月末に開催されるため、気温が高くなるためです。
次章では自己ベスト更新と気温の関係についてお話します。
気温が10℃以下になるレースがベスト
マラソン大会で記録を出すには、レース当日の気温がとても重要になります。あまりにも寒すぎてもよくありませんが、通常は6〜8℃が理想とされています。できれば10℃を超えないことが、自己ベスト更新の鍵を握ります。
そうなってくると、必然的に1〜2月開催のレースを選ぶことになります。3月開催の場合、スタート時刻には10℃以下でも、レース中に15℃近くにまで上がってしまうこともあります(地域によりますが)。
さらに、3月は晴れると15℃以上になりますが、雨が振りやすい時期だという問題もあります。春一番が吹き荒れるということもありますので、3月以降のレースは天候が安定せずに難しいコンディションになるがちです。
2019年の東京マラソンがまさにそうでした。小雨により気温が上がらず、レース中は走りやすい環境でしたが、大迫選手が低体温症になるなど、調整が難しいレースになってしまいました。
先程の四万十川桜マラソンで記録が出にくいというのも、3月末の開催というところに理由があります。例えば2019年3月31日の気温は、最低気温が10度で最高気温が17℃です。前の週には22℃まで上がっている日もあります。
一般的に気温が1℃上がると心拍数が1上がります。スタート時刻の気温が5℃と10℃では平常時の心拍数が5も違うわけですから、いつもどおりのスピードで走ると、いつも以上に心拍数が上がり後半に失速するわけです。
気温が自己ベスト更新にかなりの影響を与えることが分かってもらえたかと思います。このため、メインレースはできるだけ気温が10℃以下が期待できるマラソン大会から選ぶようにしましょう。
移動距離はできるだけ短いほうがいい
自己ベスト更新を狙うなら、できるだけ地元に近い大会が理想です。無理なく日帰りできるくらいがベストです。遠征して前泊する場合には、移動そのもので疲労しますし、いつもと違う環境ではしっかり眠れません。
遠征に行くと美味しいものを食べたくなりますし、観光もしたいので前日に食べ過ぎたり、歩き過ぎたりするリスクもあります。
面白みはまったくないかもしれませんが、記録を出すためと割り切って、地元開催のマラソン大会の中から、条件のいい大会を探しましょう。あまりいいコースがない場合にはもちろん遠征しても構いません。
ただし、そのときは移動は前日の午前中に終わらせておき、午後はできるだけリフレッシュの時間に使いましょう。もちろん、前日のお酒は我慢しましょう。どうしてもという場合には、ビールを1杯くらいにしておいてください。
参加人数は5000人以下が理想
数万人規模で走る大都市マラソンは、スタートまで時間がかかりますし、自己ベスト更新はネットタイムでいいという人でも、スタートしてから渋滞がひどくて、しばらくは自分のペースでは走れません。
スタートの待ち時間が長すぎると、気温が10℃以下の大会では体が冷えてしまうという問題もあります。
このため、参加者数はできるだけ少ない大会がおすすめです。多くても5,000人以下の大会を選びましょう。ただし、東京マラソンは道幅が広いため渋滞はほとんどありません。このため、ネットタイムでいいなら東京マラソンも視野に入れておきましょう。
いずれにしても、参加者が少ない大会を選びましょう。念のため、RUNNETの前回大会の評価もチェックして、渋滞具合に関する書き込みも調べておきましょう。
まとめ
自己ベスト更新を狙うには、日々の練習だけでなく、記録を出しやすいコースやコンディションであることが重要です。
● フラットで折返しが少ないコース
● 気温が10℃以下になる大会
● 日帰り参加できる近場の大会
● 5000人以下の参加者数
これがタイムを出しやすいマラソン大会の条件です。あえて「この大会がいいですよ」と挙げなかったのは、移動距離の問題があるためです。ある人にとって記録を出しやすい大会でも、他の人にとってはそうでないということがよくあります。
まずは、近場で気温が10℃以下が予想されるフルマラソンをピックアップし、コースや参加者数を比較して、メインレースを決めるようにしましょう。あとはそこに向けて自分のコンディションを整えていくだけです。