RUNNING STREET 365では、様々なランニングシューズをご紹介していますが、あまりにも種類が多くて「結局どれを選べばいいの?」と悩んでしまう人も多いかと思います。
これはとても難しい問題で、残念なことにすべての人に適したランニングシューズというものはありません。でも、自分に適したランニングシューズの選び方というものはあります。ここでは、そんなランニングシューズの選び方をご紹介します。
最適なランニングシューズを選ぶときのポイント
● 軽量である
● 着地時に安定する
● クッション性がある
● 足にフィットする
● 推進力を感じる
これがいいランニングシューズの条件です。このすべてを満たすランニングシューズというものはありません。安定感を得ようとするとシューズは重くなり、クッション性と推進力の関係はシューズメーカーにとっての永遠の課題です。
この組み合わせのバランスがランニングシューズの個性であり、シューズを設計するときの方針にもなります。
ナイキのズームフライシリーズが人気ですが、これはいずれのポイントも高い水準を保っていることが最大の要因となっています。ズームフライシリーズは欠点が少ないランニングシューズです。
もちろん、ズームフライよりも軽量なランニングシューズもあります。もっと安定感のあるシューズもあります。でも総合力で圧倒しているのが、ズームペガサスやズームフライ、ヴェイパーフライということになります。
じゃあナイキのズームフライシリーズを選んでおけばいいかというと、必ずしもそうではありません。シューズには木型というものがあって、ひとつの足の形を想定して作り込んでいきます。
その足と自分の足があまりにも形状が違うと、フィット感を得られないどころか、足に血豆ができたりします。これは他のシューズでも同じことが言えます。だからこそ、シューズ選びはとても難しくなっています。
メーカーの宣伝を信じてはいけない
ランニングシューズはそれぞれに「想定した走り方」があります。大雑把に言えば、フォアフットで着地するのか、踵部で着地するのか、それともミッドフット着地なのか、設計の初期段階でそれを決めます。
シューズメーカーはいつも「どんな人にでも合う」という言葉を使いますが、そんなランニングシューズは世の中には存在しません。フォアフットで設計されたランニングシューズを踵着地のランナーが履くと、走りにブレーキがかかります。
本来はシューズメーカーが、「このシューズはこういう走りに適している」と言わなくてはいけませんが、メーカーはシューズを売ることばかり優先しているため、「どんな人にでも合う」なんてことを言います。
これは業界として改善していくべきことですが、きっとメーカーがその表現を止めることはありません。だから、わたしたちランナーが賢くならなくてはいけません。自分自身でそのシューズの特性を判断する必要があります。
そのときに大事なのは、メーカーの宣伝を信じないということです。シューズのコンセプトは信じても構いませんが、シューズの特性に関する部分は自分で確かめるしかありません。
試走できるのがベスト
ランニングシューズは実際に履いてみて、10km程度走らないと、フィット感も含めて自分との相性を知ることができません。履いてみていい感じと思っても、走ってみたらそうでもなかったというのはよくある話です。
ですので、ランニングシューズは履いて走ってからでないと、自分に適しているかどうかの判断はできません。とはいえ、お店で試し履きするのに、お店の外で走ってくるわけにはいきません。
このため、できることならばランステなどで、レンタルして実際に履いて試してみてください。ランステごとに扱っているシューズが違いますが、ほとんどのランステでレンタルはできますので、そちらで履き心地や走ったときの感覚を確認しましょう。
このときに大事なのが次の点です。
● 靴ずれができない
● 重たく感じない
● 推進力を感じられる
走ってみて、足のどこかにシューズが擦れて痛いようでしたらNGです。それはシューズの形が合っていません。
重たく感じるのも止めておきましょう。これは持った重さではなく走ったときの重さです。実際に重さがあっても十分な反発力があると、走っているときに軽く感じることがあります。
そして、いいタイムを出すには、シューズが後押ししてくれるかどうかも大事です。走っているときにグッという推進力を感じられたらOKです。それは自分の走り方とシューズの設計での「想定した走り方」が一致した状態だと考えてください。
簡単に言えば「相性がいい」状態にあります。試走して走りやすいのは相性の良さであり、そのシューズを購入する大きな決め手になります。
ためし履きできないならフィット感を重視する
すべてのランニングシューズを試履きできるわけではありませんし、近くにレンタルできるランステがないという人のほうが多いと思います。そういうときのシューズ選びは、ほぼギャンブルだと考えてください。
それくらいシューズ選びはシビアで、走らないことには何も分かりません。
でも、できないことに文句を言っても仕方ありません。走れないなら、とにかくフィット感を重視してください。自分の足型にきちんと合っているシューズを選んでください。
ランナーの足には親指が長いエジプト型、人差し指が長いギリシャ型、すべての指が揃っているスクエア型の3種類があります。ランニングシューズはそのいずれかの足型に合わせて木型を作ります。
自分の足型と木型の足型がどこまで近いかが、フィット感に影響を与えます。まずは自分の足を調べて、上記のどの型なのか判断しましょう。そして、その型に近いシューズ形状のものを選びましょう。
この考え方はまだあまり一般的ではありませんが、自分の足に合っていないシューズを選んでしまうリスクを下げることができます。できるだけ、この型を意識してみてシューズを選んでください。
そのうえで、自分の足を違和感なく包み込むようなシューズを選びましょう。どこかが擦れたりすることなく、爪先に窮屈さのないことが重要です。どこか無理しているようなら足型が合っていないので、やめておきましょう。
トップモデルはサブ2.5以上のランナーのもの
シリアスランナーによくあるミスで、とにかくハイスペックなシューズを選ぼうとします。例えばナイキのヴェイパーフライがそれに該当します。いいタイムを出すために、トップアスリートが結果を出しているシューズを選ぶ。
一見するとそれは正しいように思えますが、トップアスリートが履いているシューズは、鍛えているからこそ履きこなすことができます。彼らと同等の筋力がないのに、同じシューズで結果を出せるわけがありません。
また、アディダスの匠や、ニューバランスのHANZO Sなどは、トップアスリートでもフルマラソンで履くことを躊躇します。確かにスピードは出ますが、そのスピードを維持してフルマラソンを走ることが難しいシューズです。
最高スペックのランニングシューズが、必ずしもレースタイムにいい結果をもたらすわけではないということを頭に入れておいてください。ランニングシューズがすべてフルマラソン用ではありません。
駅伝やハーフマラソンに適したシューズもラインナップされており、それをフルマラソン用として売られていることもあります。サブ3やサブ3.5くらいを目指すなら、キロ4〜5分程度ですのでトップモデルは必要ありません。
シリアスランナーでもサブ3やサブ3.5を狙うレベルなら、スピードよりも、最後まで走り抜けるだけのクッション性と安定感を持ったシューズを選びましょう。
クリールのシューズトライアルなら走って試せる
走らずにシューズを選ぶというのは、とてもリスクの高いことです。1万円以上の無駄遣いになることもありますので、やはりシューズは実際に履いて選ぶことをおすすめします。
でも、なかなかシューズを試すということができないで困っている人もいるかと思います。そういう人におすすめなのが、毎年秋にランニングマガジン・クリールが開催しているシューズトライアルです。
シューズトライアル情報
https://ja-jp.facebook.com/shoestrial/
シューズトライアル申込み
https://www.sportsentry.ne.jp/event/t/79769
今年は9月28日に東京臨海広域防災公園で開催されます。現時点で決まっているメーカーは下記になります。いつもは参加しないアディダスやミズノが入っているのが今年の特長です。
アディダス
アルトラ
On
カルフ
サッカニー
ブルックス
HOKA ONE ONE
ミズノ
メディフォーム
レイドライト
繰り返しになりますが、シューズトライアルでは下記の3点を意識して選ぶようにしましょう。
● 靴ずれができない
● 重たく感じない
● 推進力を感じられる
靴ずれまでは分からないかと思いますので、足がシューズの内部で擦れていないか、どこかが変な当たり方をしていないかチェックしてください。これだけのメーカーが揃っているので、必ずこの3点を満たすシューズが見つかります。
約4時間の間に試し放題で、イベント終了時にはシューズの当たる抽選会も開催されます。メーカーの担当者からアドバイスももらえますので、この機会にぜひ自分の足に合ったランニングシューズを見つけてみてください。