最高のコンディションでランニングしよう!睡眠がマラソンの結果を左右する理由と実践法

マラソンで自己ベストを更新したい。そう考えて、練習メニューや栄養管理に力を入れる人はたくさんいますが、実は「睡眠」もパフォーマンスを大きく左右する重要な要素になります。十分な睡眠がとれていないと、どれだけトレーニングを積んでも本番で力を出し切ることはできません。

筋肉の回復、心身のリフレッシュ、集中力の維持。これらはすべて質の高い睡眠によって支えられています。この記事では、マラソンで最高の結果を出すために知っておきたい睡眠の重要性と、すぐに取り入れられる実践法をわかりやすく解説します。

目次

マラソンのパフォーマンスと睡眠の深い関係

マラソンは体力だけでなく、集中力や判断力、メンタルの安定が求められる競技です。これらすべてを支えるのが、質の高い睡眠です。その中でも最も高い効果を期待できるのが「睡眠による身体づくり」です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、筋肉や関節が修復されるだけでなく、トレーニングで傷んだ組織の回復が進みます。

また、睡眠不足の状態が続くと、疲労が抜けにくくなるだけでなく、心拍数や血圧が高くなる傾向があります。結果として、普段の練習でも同じペースが維持するのが難しくなり、集中力の低下と合わせてフォームが乱れてしまうことも珍しくありません。

さらに、脳も休息を必要としています。睡眠が十分でないと判断力が低下し、レース中にペース配分を誤ったり、水分補給のタイミングを逃したりといった小さなミスが増えがちです。

つまり、睡眠は単なる休養ではなく、効果的なトレーニングを継続するために欠かせない要素であり、そのトレーニングで得られた走力を最大限に発揮するための「最後のピース」とも言えます。記録を伸ばしたいなら、日々の睡眠を大切にすることが欠かせません。

睡眠不足が引き起こす具体的な4つのデメリット

マラソンのトレーニングを積んでいても、睡眠不足になるとパフォーマンスは大きく低下します。睡眠不足が続くと、以下のような4つのデメリットが現れやすくなります。

  • 疲労回復が遅れる
  • ケガのリスクが高まる
  • 免疫力の低下
  • メンタル面への悪影響

それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

疲労回復が遅れる

睡眠中には成長ホルモンが分泌され、筋肉の修復やエネルギー補給が行われます。このため、十分に眠れていないと回復が追いつかず、慢性的な疲労感が蓄積してしまいます。その結果として走力の向上が妨げられるため、トレーニングしているのに走力が上がりにくくなるといったデメリットもあります。

ケガのリスクが高まる

体が十分に回復しきらないままトレーニングを重ねると、筋肉や腱、関節への負荷が積み重なってしまいます。1回のトレーニングによる疲労が小さくても、それが蓄積してオーバーユース(使いすぎ)による故障につながる可能性があります。

免疫力の低下

睡眠不足は免疫力を下げ、風邪や体調不良のリスクを高めます。体調不良では十分なトレーニングができませんし、レースにて自分のポテンシャルを発揮することができません。たとえば体温が平温より2℃高いと、ランニングによる体温上昇の許容範囲がそれだけ狭まってしまい、スピードを出せなくなります。

参考:適切な睡眠時間と免疫|大塚製薬

メンタル面への悪影響

睡眠が不足すると気分が落ち込みやすく、やる気が低下します。集中力も続かず、練習でも本来の力を出しにくくなるため、走ることそのものが楽しくなくなり、練習を中断することになりかねません。


こうしたリスクを防ぐためには、練習と同じくらい睡眠を優先する意識が大切です。睡眠の質を高める習慣を身につけることが、結果的にケガの予防や記録更新にもつながります。

睡眠の質を高めるために意識したいこと

マラソンで高いパフォーマンスを発揮するには、単に「長く寝る」だけではなく、睡眠の質を高めることが重要です。以下のポイントを意識して、深い眠りを習慣にしましょう。

就寝・起床時間を一定にする

毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで体内時計が整います。反対に不規則な生活で眠りのリズムを乱すと、寝つきの悪さや夜中の目覚めにつながります。睡眠の質を高めるために、まずは休日も含めて同じ時間に寝て、同じ時間に起きるように心がけましょう。

ちなみに、勝負レースが決まっているなら、そのレース時の起床時間に合わせて毎日の就寝時間、起床時間を決めるのもおすすめです。

寝る前のブルーライトを避ける

スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、脳を覚醒させて眠気を遠ざけます。なかなか寝付けないタイプの方は、就寝の1時間前からは画面を見ないか、ナイトモードを活用しましょう。

カフェイン・アルコールに注意する

夕方17時以降のコーヒーや緑茶などのカフェイン飲料は、眠りを浅くする原因になります。また、アルコールは一時的に眠気を感じさせますが、深い眠りを妨げるため飲みすぎには注意が必要です。

寝室の環境を整える

寝室は暗く、静かで、適度な温度(夏は26~28℃、冬は18~20℃)を保つことが理想です。耳栓やアイマスクを活用すると、外部刺激を減らして入眠しやすくなります。また、湿度も重要になりますので、40~60%くらいの快適な湿度を保てるように加湿器や除湿機を活用しましょう。

寝る前にリラックスする習慣を持つ

ストレッチや深呼吸、軽い読書など、心身を落ち着かせる行動を取り入れましょう。緊張や不安を和らげることで、スムーズに眠りにつけます。

マラソン大会前に理想的な睡眠の取り方

マラソン大会で力を出し切るには、大会直前の睡眠がとても重要です。しかし、緊張や不安で眠れないことも少なくありません。以下のポイントを押さえて、大会前に十分な休養を確保しましょう。

Point1.1〜2週間前から睡眠リズムを整える

大会の数日前から急に睡眠時間を増やすのではなく、1〜2週間前から同じ時間に寝て同じ時間に起きる習慣を作ることが大切です。体内時計を整えることで、当日の朝もスッキリ目覚めやすくなります。

Point2.前夜に眠れなくても焦らない

大会前夜は緊張で浅い眠りになる可能性があります。ただ実際には、それまで十分に睡眠できれいれば前夜の睡眠が多少短くても、体力やパフォーマンスにそれほど大きな影響は出ません。焦らず、「横になって休むだけでも大丈夫」と気持ちを落ち着けましょう。

Point3.スリープバンクを活用する

「スリープバンク」とは、数日前から意識的に睡眠時間を多めに確保し、睡眠の貯金をしておく方法です。大会2〜3日前にいつもより1時間多く眠るようにするだけで、前夜に寝不足でも影響を最小限に抑えられます。

Point4.寝る直前のルーティンを決める

リラックスできる習慣を持つと、入眠がスムーズになります。ストレッチ、軽い読書、温かいシャワーなど、自分が落ち着ける行動を毎晩同じ順番で行うのがおすすめです。ルーティンが決まっていれば、遠征先であってもすみやかに眠りにつくことができます。

Point5.朝の起床時間も大会本番と合わせる

大会当日に早起きする場合は、数日前から同じ時間に起きるようにしましょう(すでにお伝えしましたように、できれば日常生活からマラソン大会を意識した時間に起床するのがおすすめです)。急に睡眠時間をずらすと、眠気や体調不良を感じやすくなります。

トレーニングと睡眠のバランスを取るコツ

マラソンで結果を出すには、ハードなトレーニングだけでなく、質の高い睡眠でしっかり回復することが欠かせません。練習と休養のバランスをうまく取ることで、走力を伸ばしながらケガや疲労を防げます。以下のポイントを意識しましょう。

高強度練習の後は十分な睡眠を確保する

インターバル走やロング走など負荷の大きいトレーニングの後は、筋肉や神経のダメージが大きくなります。この時期に睡眠時間が短いと回復が遅れ、次の練習でパフォーマンスが下がりやすくなります。ポイント練習を行った日と翌日は7〜9時間の睡眠時間を確保しましょう。

疲労を感じたら早めに休む

疲労感があるのに「いつも通り走れるはず」と無理を重ねると、慢性的な疲労や故障の原因になります。睡眠時間が不足した翌日は思い切って軽めのジョグや休養に切り替えることも大切です。

休養日をスケジュールに組み込む

睡眠時間を確保するのが難しいなら、計画的に「完全休養日」を取り入れて、心身をリフレッシュさせましょう。特に仕事や家庭と両立しているランナーは、週1日はしっかり休むスケジュールを作るのがおすすめです。

昼寝を活用する

どうしても夜に睡眠時間を確保できない場合は、20〜30分程度の昼寝(パワーナップ)で疲労回復を助けましょう。短時間の昼寝でも集中力や反応速度が改善します。ただし、練習時間を確保するために昼寝で睡眠時間を代用するのはNGです。睡眠時間を確保できないなら走力アップを停滞させてでも練習は休みましょう。

睡眠を「練習の一部」と捉える

「もっと走らなきゃ」と睡眠を削ってしまうのは逆効果です。睡眠はトレーニングで得た刺激を体に定着させる時間です。練習と同じくらい重要な準備期間と考える、もしくは「睡眠も練習」という意識が、長期的な成長につながります。

よくある質問Q&A

理想的な睡眠時間は何時間ですか?

一般的には7〜9時間が目安とされています。ただし、トレーニング量や体調により必要な睡眠時間は異なります。高強度の練習をした日はいつもより1時間多めに寝る意識を持つと、回復がスムーズです。

また、トップアスリートによっては10〜12時間寝ることもあるほど睡眠時間は重要です。「◯時間ネタから大丈夫」と考えるのではなく、可能な限り睡眠時間を確保するように心がけてください。

昼寝はした方がいいですか?

昼寝(パワーナップ)はおすすめです。特に夜の睡眠時間が短い場合や、強い疲労を感じるときに効果的です。ただし、夜の眠りに影響を与えないためにも20〜30分程度の短い昼寝に留めてください。

睡眠不足が続くとどんな影響が出ますか?

慢性的な睡眠不足は、疲労回復の遅れや免疫力の低下、メンタルの不安定化を引き起こします。また、集中力が落ちてフォームが乱れたり、怪我のリスクも増加します。コンディション維持のために、睡眠は最優先事項だと考えてください。

トレーニングと睡眠、どちらを優先すべきですか?

睡眠を優先しましょう。睡眠が不足している状態でトレーニングをしても、効果は限定的ですし、逆に疲労や怪我の原因になります。体調が整っていないときは無理をせず、休むことも重要なトレーニングの一環です。

また、睡眠不足は仕事や日常生活にも悪い影響を与えます。マラソンだけが人生ではありませんので、トレーニングよりも睡眠を優先してください。

大会前夜に全然眠れません。どうすればいいですか?

緊張や不安で眠れないのはよくあることです。前夜に眠れなくても、数日前までにしっかり睡眠を確保できていれば、当日のパフォーマンスに大きな影響は出ません。横になって目を閉じるだけでも体は休まりますので、あまり気にしすぎずリラックスを心がけましょう。

まとめ|睡眠を制する者がマラソンを制する

マラソンで最高のパフォーマンスを発揮するためには、練習だけでなく質の高い睡眠が欠かせません。睡眠は体を修復し、脳を休め、次のトレーニングに向けてコンディションを整える大切な時間です。

睡眠をおろそかにすると、疲労が蓄積しやすく、ケガやモチベーション低下の原因にもなります。一方で、しっかり休養を確保することで、走力の向上やメンタルの安定にもつながります。

ぜひ、睡眠を「トレーニングの一部」と考え、毎日の習慣を見直してみてください。質の高い睡眠が、あなたの走りをより力強く、楽しいものに変えてくれるはずです。

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