マラソン大会が終わると、その瞬間はもう走りたくないと思うものですが、喉元過ぎれば熱さを忘れるどころか、まだ熱さが残っている当日のうちに「もっと上手く走れた」と思ってしまうのがランナーです。眠りにつく頃には、次のトレーニングについて考えはじめてしまいますよね。
もし2〜3日休んだとしても、1週間もしないうちにポイント練習を始めてしまうというのが、よくあるパターンです。でもランナーとして長く走り続けたいなら、それはマイナスにしかなりません。ランナーがすべきことはリカバリー。それも本当にしなくてはいけないことたった1つだけです。
「回復に効果がある」の多くがプラセボ効果
リカバリーと聞くと冷水に浸かったり、マッサージを受けたりといろいろと思い浮かべるかもしれませんが、それらはほとんど効果はありません。「いや、効果は実感している」という人もいるかもしれませんが、それらはほとんどがプラセボ効果によるものです。
プラセボ効果というのは、偽薬を「かなり効果の高い薬」と言って飲ませると、実際に効果が出てくるというもので、効き目があると信じ込むと、実際に体がそう反応してしまいます。
ようするにレース後にマッサージを受けると、体が軽くなっような気持ちになりますが、実際に体が回復しているかというと、そうではありません。プラセボ効果が悪いというのではなく、リカバリーの本質を見えなくさせてしまうということをまずは知っておいてください。
エナジードリンクなどがその最たるもので、飲むと回復したような気分になりますが、実際にはカフェインによって覚醒状態になっているだけで、疲労回復しているわけではありません。
リカバリー効果があるとされているもが、回復を阻害するケースもあります。例えば、走ったあとに体を冷やすために水風呂に浸かる人がいますが、体は回復のために必要があって熱を持っているのに、それを強制的に下げるわけですから、当然回復が遅れてしまいます。
風邪を引いたときに解熱しすぎてはいけないのと同じことです。体は自然と回復に向けて体内の調整を行います。それを邪魔するようなことは回復を遅らせるだけです。
もちろん、世の中には上手に回復を促せるマッサージ師や整体師の方もいます。そういう人たちを否定するわけではありませんが、マラソン直後のマッサージは、家に帰るのも無理なくらい疲れてしまったときくらいにしておきましょう。
リカバリーのためにすべきは「寝る」ことだけ
では私たちはマラソン大会のあとに、何をすべきなのでしょう。答えは簡単です。とにかく寝ることです。睡眠時間をいつも以上に確保してください。2〜3週間は、1.5〜3時間いつもよりも長く寝るように心がけましょう。
そんなに寝る時間がないと思うかもしれませんが、練習をしなければいいだけのことです。練習しなければそれだけで1時間は確保できます。練習しなかったら走力が落ちるじゃないかと不安になるかもしれませんが、フルマラソンの疲労を甘く見てはいけません。
疲労が溜まった状態でいくらトレーニングを積み重ねても、期待したほど効果を得られません。走ったほうがリカバリーできると聞いたことがあるかもしれませんが、物事には順番というものがあります。
少なくとも数日はノーランで構いません。フルマラソンで本格的に追い込んでいたら、疲労を抜ききるのに1ヶ月はかかります。それなのに多くのランナーは、走らずにいられないから無理をして、オーバートレーニングで故障してしまうわけです。
日本人は頑張るのが美徳と思いがちですが、マラソンでは休むことがトレーニングです。休まないランナーに未来も栄光もありません。42.195kmを全力で走りきったら、まずはたくさん寝て、体に回復を促しましょう。
睡眠と食事でランナーは回復する
「睡眠と食事でランナーは回復する」これはランナーは覚えておくべき基本中の基本です。そんなことで回復するわけがないと思いますか?でも人間の体はとてもシンプルにできています。食べたもので体は作られていますし、寝ている間に様々な箇所が修復されていきます。
きちんと食事から栄養を摂り、十分な睡眠時間を確保できれば体が回復しない理由はどこにもありません。世の中には様々なリカバリーアイテムや、リカバリーサービスがありますが、睡眠にまさるリカバリー方法はありません。
ただ、そこで大事なのは「きちんとした栄養を摂る」ということです。睡眠は体を修復する大工仕事のようなもの。腕のいい大工さんも材料がないと仕事にならないのは容易に想像できますよね。マラソンで筋肉を追い込んだなら、たんぱく質を多めに摂るようにすること。
血液を作って、体に酸素を送り届けるようにレバーなどの鉄分を摂ること。そういうことを積極的に行うことで、2〜3週間でまた走れる体に戻ります。もちろん、多少は走力が落ちてしまいますが、2〜3週間あればモチベーションも高く、取り戻すのにそれほど時間はかかりません。
そもそもマラソンは1年に2回、半年かけて体を作ってレースに挑むべきスポーツです。その中でレース後の2〜3週間の休養くらいで大幅に衰えることはありませんし、むしろ気持ちを緩めるべき期間としてとても重要です。
その期間はできるだけ走らないようにして、時間を持て余すなら温泉にでも行ってください。精神的にも肉体的にも温泉は休めるにはいいところです。日本を代表するトレイルランナーの石川弘樹選手も、温泉が好きだと言っていました。
根を詰めて走り続けたら、どこかで折れてしまいます。そうならないためにも、とにかく寝て休むことを心がけてください。もちろんファイテンの「健康浴®シャワー」などのアイテムを使って積極的回復をするのもありです。
まとめ
マラソンの疲労を抜くには、かなりの時間がかかります。魔法の薬はどこにもなく、ただひたすらに時間が過ぎていくのを待つだけです。でも、そうすると不安になってくて走ってしまう。それだけは避けてください。絶対に走るなとは言いませんが、走ってもジョグ程度が限界です。
することがなくて困るなら昼寝でもしてください。疲れないと寝れないならプールで泳いだり、自転車を漕ぐなどしてください。もちろん追い込まない範囲内でです。そして、とにかく睡眠時間を長くしてください。遠回りのようですが、それが一番の近道です。ぜひ今シーズンのメインレースが終わったら試してみてください。