社会人ランナーなら「PDCA」という単語を聞いたことがあると思います。大手企業に勤めているという方は、新入社員研修で徹底して指導されたかもしれませんが、実践できている人というのは意外と少数派です。
でも、社会において成功者になる人は、意識的か無意識かにかかわらず、必ずこのPDCAを行っています。そして、これがマラソンやランニングにおいて、短期間で成長をするための基本となっています。
ここではランニングにおけるPDCAの考え方について、詳しく解説していきます。
PDCAの基本となる考え方
PDCAについて、改めて解説する必要はないかと思いますが、「なんだっけ?」と調べ直す人もいるかもしれませんので、ここではまず基本的な考え方をお伝えします。理解している人は飛ばしてもらってもかまいません。
P:PLAN(計画)
D:DO(実行)
C:CHECK(評価)
A:ACTION(改善)
計画を立てて実行し、その結果を評価して良くない部分を改善する。そのためにまた計画を立ててというサイクルを繰り返していきます。基本的な考え方としては、自分の弱点や問題点を強化していくこと目的としています。
このPDCAがきちんとできていないと、マラソンにおいて毎回同じような失敗を繰り返します。例えば前半に飛ばしすぎて後半に失速するという走りを何度も繰り返している人は、計画通りにトレーニングができていないか、自分を冷静に評価できていません。
速いランナーになりたいなら、過去の自分を超えていきたいなら、きちんと問題点を正しく洗い出して、それを改善していくことが求められます。いつもいきあたりばったりというランナーが多いかと思いますが、これではいつまで経っても成長は期待できません。
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ランニングやマラソンにおけるPDCAの考え方
PDCAがどういうものか思い出してもらったところで、次に具体的にランニングやマラソンにおいてPDCAをどう活用するのかについて、その考え方を詳しく解説していきます。
P:PLAN(計画)
まずは計画を建てる必要がありますが、その前にしておくことがあります。それが目標を明確にしておくことです。「速くなりたい」という抽象的な目標では、自分の目指すゴール地点が見えなくなります。
- いつ
- どんな状態になりたいか
少なくともこれだけは決めておいてください。例えば「東京マラソンでサブ4を達成する」や「半年後に10km走れるようになる」といった目標を立てて、それに対してどのような練習をするかを計画してください。
計画といっても、難しく考える必要はありません。ランニングの基本はジョグとポイント練習しかありません(トップレベルは筋トレなどありますが)。ポイント練習は1週間に2回。その他の日はすべてジョグです。
最初は何もわからないでしょうから、まずはインターバルとペース走だけでかまいません。1週間のなかでインターバルをする日とペース走をする日を決めて、積み重ねていくだけです。オーバートレーニングにならないようにだけ注意してください。
D:DO(実行)
DOは決めたトレーニングを実行するだけです。とにかく走らないことにはどうにもなりません。小学生の夏休みに宿題の計画を立てたのに、計画通りにやらなくて8月末に泣きながら宿題を終わらせた経験のある人もいると思いますが、ランニングではそれはNGです。
走らないのは個人の自由です。でも走らないと速くはなれません。いろいろ言い訳を考えるくらいなら、成長することは潔く諦めてください。この部分に関しては、どんな名コーチがいてもどうしようもありません。自主的に計画通りに走れるかどうかがすべてです。
C:CHECK(評価)
きちんと計画通りに走れているランナーでも、このチェックができていない人が大勢います。目標を立てたら、きちんと途中経過を確認するようにしてください。自分でタイムトライアルをしてもいいのですが、ほとんどの人はマラソン大会を使うほうがいいかと思います。
目標がフルマラソンなら、10kmやハーフマラソンの大会に出場してみましょう。そして、自分の弱点を見つけ出してください。世界のトップクラスであっても、必ず弱点があります。それに気づくのがレースです。
大事なのは客観的に自分の走りを評価するということです。例えば後半に失速した場合に、持久力が足りていないのか、前半に飛ばしすぎたのかによって、次にとるべき行動が変わってきます。
もちろん悪い部分だけを洗い出す必要はありません。余裕で目標を達成できそうなら、そもそも目標設定が甘い可能性がありますので、自分の目線を高くしましょう。サブ4が目標で無理なく達成できそうなら、3時間50分切りを目指すなどしてみてください。
とにかく現状把握をすることです。そのうえで「ここが良くなかった」「ここを変えればもっと良くなる」に気づくことです。最初は足りないことばかりなので、落ち込みそうになりますが、成長する過程で失敗はつきものです。
チェックの段階では失敗を恐れずに、いや意識して失敗を経験して次への糧にしましょう。
A:ACTION(改善)
問題点がわかれば次にするのは簡単です。スピードが足りないと感じたらインターバルの質を高めて、距離慣れしていないと感じたらジョグでの距離を伸ばすといったトレーニング内容の改善を検討しましょう。
自分のメンタルに問題があると思うなら、下記のようなメンタルトレーニング関係の書籍を手にしてみるのもいいでしょう。
大事なのは改善点を放置しないということです。誰もが自分の弱点とは向き合いたくないものです。うまく走れないことに対して、いろいろと言い訳を口にしたくなります。原因を自分以外に求めたくなります。でも、それでは成長することはできません。ありのままの自分を受け入れてください。
そして、問題点を改善するための計画を立てましょう。計画を立てたら実行するというサイクルの繰り返しです。
まとめ
PDCAを意識できるかどうか。これだけでランニングにおける成長曲線が大きく変わります。とても面倒なことで、しかも時間がかかるのでPDCAをやり抜けるランナーはかなり限られるかと思いますが、だからこそ人よりも半歩抜け出すことができます。
ランニングにおけるPDCAは「やるかやらないか」です。速くなりたいならやるという選択肢しかありません。
初心者ランナーはもちろんのこと、記録が伸び悩んでいるというランナーも自分のトレーニングサイクルを1度見直してください。きちんとPDCAのサイクルを意識して自分の弱いところを徹底的に鍛えてみましょう。