初心者がケガ予防のために知っておくべきランニングの距離と時間について

健康のためにランニングを始めようと決意したものの、いざ走ろうとしたときに「どれくらい走るべき?」と悩んでしまう方もいるかと思います。学生時代からほとんど運動していない場合、そもそも1kmも走れるかどうか不安ですよね。実はランニングの距離は一律に決まっているわけではなく、目的や体力によって適切な目安があります。

たとえばランニングを始めたばかりは、体がまだできていないので、長い距離や長い時間走るのに適していません。最初の数ヶ月に無理をして、膝や筋肉を痛めてしまい走れなくなる人がたくさんいます。そこで、ここでは初心者が知っておくべき、ランニングの距離と時間についてお伝えします。

目次

最初の3ヶ月は短めの距離と時間がちょうどいい

結論からお伝えしますが、最初の3ヶ月は「もうちょっと走りたいな」と思うくらいで走るのをやめてください。それがどれくらいの距離や時間になるのかは人によって違いますが、目安としては30分で十分です。もちろん、それよりも短い分にはかまいません。

それなりに運動してきた人なら5kmくらい走れますし、あまり運動していない人なら3kmくらいになります。たったそれだけ?と思うかもしれませんが、これまで100mも走ってこなかった人が、いきなり3〜5kmも走るのはかなり高負荷です。

焦る必要はありません。半年もすれば10kmくらいは走れるようになりますし、いずれフルマラソンだって必ず走れるようになります。でも、時間がかかるのだということは頭に入れておきましょう。知り合いが数ヶ月のランニングでフルマラソンを完走したとしても、他人は他人だと言い聞かせてください。

ちなみに走力は走り始めてから10年間は伸び続けると言われています。それくらい長い時間をかけて成長していくのがランニングです。1回頑張って走っただけで目に見えて走力が上がるわけではないので、ケガを回避するためにもじっくりマイペースで走り出しましょう。

3日に1回のペースでOK

1回のランニングを30分にするにして、毎日走っていいかというと、そこも注意が必要です。部活経験者はどうしても毎日トレーニングをしたがりますが、ランニングは筋トレだと思ってください。筋トレは毎日やっても意味がありません。筋肉を傷つけて回復させるということを繰り返して、筋肉は強くなります。

ランニングもまったく同じです。特に初心者の時期は足の筋肉をつけなくてはいけないので、1日走って2日休むというのが理想です。でも、正直それでは物足りないですよね。1週間が7日あるので、生活リズムを考えても3日に1回というのは習慣化が難しくなります。

ですので、理想は3日に1回のペースですが、1週間に3回くらいのペースで走り始めましょう。例えば次のようにスケジュールを組みます。

月曜日:休み
火曜日:ランニング
水曜日:休み
木曜日:ランニング
金曜日:休み
土曜日:休み
日曜日:ランニング

ポイントは、走った翌日はかならず休みにするということです。きちんと回復の時間を与えてあげましょう。ランニングはトレーニングと休養の繰り返しで成長します。これはサボりではなく「休むも練習」ですので、必ず休んでください。

▼ランニング回数についてもっと詳しく知りたい人はこちらもチェック

3ヶ月間はダイエット効果は期待しないこと

ダイエット目的、健康促進目的で走り始めた場合、すぐに成果が出ないと不安になるかもしれませんが、1日30分のランニングを3日に1回行っても、目に見える体の変化はほとんどありません。体重だけに関していえば、増えてしまう可能性もあります。

ランニングは体脂肪を燃やせるのでは?と思うかもしれませんが、これくらいの走行距離で燃える体脂肪は限られています。むしろ、運動して食事が美味しく感じるようになって太る。さらに筋肉がついてくるので太ります。

でも、それって悪いことではありません。脂肪が増えて太るのは健康によくありませんが、筋肉と食欲が増えて太るのってとても健康的ですよね。3ヶ月経過して本格的にランニングを開始すれば、脂肪はゆっくりと確実に減っていきます。最初は体重計の存在を無視してもかまいません。

どうしても体を動かしたいならピラティスがおすすめ

3日に1回の運動では満足できないという人は、他の運動を組み合わせましょう。足は休ませなくてはいけないので、スイミングやヨガなどが取り組みやすいかと思います。ただ、きれいに走れるようになりたいなら、ピラティスがおすすめです。

ピラティスはインナーマッスルを鍛えることができ、美しい姿勢で走れるようになります。体がブレなくなるので、余計な筋肉をつけないで済みます。ただし、ピラティスはきちんと習わないとできません。適当に動きだけ真似ても、インナーマッスルではなくアウターマッスルを鍛えてしまいます。

なので10人程度の少人数制のスタジオで受講しましょう。

近くにそういうスタジオがない場合には、ピラティスではなく器具を使った体幹トレーニングがおすすめです。たとえばヨーロッパで大ヒットしたホームトレーニングアイテム「Plankpad PRO(プランクパッド プロ)」を利用すると効果的に体幹を整えられます。

税抜きで1.5万円なので安くはありませんが、ピラティスのレッスンが1回3000円なら8回分程度です。自分のペースでトレーニングできると思えば、それほどの出費ではありませんよね。でも、こちらも筋トレなので3日に1回のペースを忘れないでください。

初心者がランニングで気をつけるべき5つのポイント

ここまでの説明で、初心者の走行距離や時間について把握できたかと思いますので、次はケガを回避するために気をつけるべき5つのポイントをご紹介していきます。

ポイント1.急に距離を伸ばさない

ランニングを始めたばかりは、走れば走るほど体力が付いていくのを実感できるため、ついつい長い距離を走ってしまいがちです。「もっと走れるかも」と欲張って距離を一気に伸ばすと、膝や足首を痛めやすくなります。ケガを回避するためにも、前週の走行距離より10%以内の増加(10%ルール)を目安に距離を伸ばすようにしてください。

ポイント2.距離より「継続」を重視する

短期間で結果を求めて長い距離を走るのではなく、1回の距離は短くてもいいので週2〜3回走って、ランニングのあるライフスタイルを定着させましょう。分割させて走ることで、体への負担が小さくなりケガを回避できるようになるだけでなく、「もっと走りたい」気持ちが高まりやすく、モチベーションアップにもなります。

ポイント3.疲労や痛みがあるときは無理をしない

初心者は特に筋肉や関節が走る動作に慣れていないため、痛みを感じやすい傾向があります。ランニング中に違和感を感じたら、まずは立ち止まり、そのあと歩行に切り替えましょう。ある程度歩いて体を落ち着かせてランニングを再開しましょう。

それでも痛みや違和感が消えない場合は、ランニングを中止して2〜3日ほどお休みにしましょう。

ポイント4.ペースにこだわりすぎない

「遅いと効果がないのでは?」と思う必要はありません。会話できるくらいのペースで走るのが理想です。スピードはあとからいくらでもついてきますし、ランニングを始めて3年間はスピードよりもどれくらい走ったかがとても重要になります。周りのペースは気にせずに、楽に走れるペースで走りましょう。

ポイント5.シューズ選びにも注意

距離だけでなく、足に合ったランニングシューズを履くことも大切です。フィット感が不足すると、短い距離でもケガの原因になります。また、必要以上にクッション性が高かったり、過保護だったりすると走力アップの妨げになることもあります。

おすすめは、軽くてソールが薄いシューズです。初心者向けに、長い距離を走れるようにクッション性が高い厚底シューズを勧めている方もいますが、すでにお伝えしましたように、そもそも長い距離を走る必要がありません。むしろクッション性が少ないシューズで、無理なく走れる距離を積み重ねることが上達に繋がります。

ランニングシューズの選び方については別記事がありますので、そちらをご参照ください。

よくある質問 Q&A

ランニングは毎日走った方がいいですか?

毎日走る必要はありません。初心者は週2〜3回で十分です。むしろ毎日走ると疲労やケガのリスクが高くなります。休養日もトレーニングの一部と考えましょう。

ただし、毎日走ることで習慣化しやすいというメリットもあります。習慣化を優先させたい場合は、翌日に疲労が溜まらないくらいの距離を目安に走ってください。

短い距離(1〜2km)でも効果はありますか?

もちろん効果はあります。最初は「走る習慣をつけること」が大切です。短い距離から始めて徐々に伸ばしていけば、自然と体力がついていきます。

距離が短いとダイエット効果はないですか?

短い距離でもカロリー消費はあり、継続すれば体脂肪減少につながります。脂肪燃焼効果を狙うなら20分以上のランニングを目標にすると効果的とされていますが、それも気にする必要はありません。走力がついてくれば、運動時間は何もしなくても伸びてきます。

むしろ気をつけるべきは走った後の食事です。ランニングをすると食事が美味しく感じるので、ついつい食べすぎてしまいます。ダイエット効果を狙うなら、食事管理もしっかりと行いましょう。

走るよりウォーキングの方がいいですか?

ウォーキングも健康に効果的です。体力に自信がない人や標準体重よりも重たい人はウォーキング+短いランニングの組み合わせから始めるのもおすすめです。徐々にランニングの割合を増やせば無理なく続けられます。

まとめ:3ヶ月で体を作ったらゆっくり距離を伸ばしていこう

3ヶ月は本当に長く感じるかもしれません。でも、この基礎固めがとても重要です。距離を伸ばせないことにもどかしく感じるかもしれませんが、徹底して「休む」という感覚を染み込ませてください。その感覚が、もっと走れるようになったときに活きてきます。

休む習慣が身に付いていれば、体が疲れていると感じたときに、すぐに「今日は走らない」という選択ができます。習慣が身に付いていない人は、走ってないと不安になり、不調を感じても走ってしまってケガをします。これはほとんどのランナーが通る道ですが、わかっているのにその道を通る必要はありません。

もちろん3ヶ月経過したら、もっと距離も回数も伸ばしてもかまいません。1週間に3回だったランニングを4回、5回と増やしてもいいですし、1回の時間を40分50分と増やすのもOKです。ただし、いきなり増やさないことです。10%くらい増やして1ヶ月継続し、また10%増やしましょう。

繰り返しになりますが、慌てずゆっくりとです。このあとのランニング人生は何十年も控えています。こうやって体を作れる時間は今だけだと思ってください。とても貴重な時間ですので、ゆっくりと味わうように楽しみましょう。

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