ランニングクラブのコーチに「肩甲骨を連動させて走りなさい」と言われるけど、肩甲骨の連動の意味が全然わからない。そんな人いませんか?
実はこの肩甲骨の連動、連動させようとしてすぐに連動するわけではありません。ここではまず肩甲骨の連動とはどういうことなのかについて紹介します。
肩甲骨を連動させるということ
まず普通に歩いてみましょう。上体の力を抜いて、背筋をまっすぐにして歩くと、右足が前に出るときに右の肩が後ろに引っ張られます。このとき左足は後ろにありますので、左の肩が前に出ます。
「あたり前じゃないか」と思うかもしれませんが、これが肩甲骨の連動です。
あたり前なのことなのに、これはいざ走ろうと思うと、それぞれの動きがバラバラに成っている人が大勢います。
右足が前に出るから、右の肩が後ろに下がるはずなのに、腕振りを意識しすぎて、本来肩が後ろに下がるタイミングよりも早く肩が後ろに引かれたり、遅れて後ろに引かれたりしている人は多くなります。
腕は巻くように斜め後ろに引く
「肩甲骨を連動させるにはしっかり腕を降ること」そう教わった人もいるかもしれませんが、半分は正解ですが半分は不正解です。
体の筋肉はすべて連動するようにできているのですが、腕の動きが必ずしも、走りに必要な肩甲骨の動きに一致しているとは限りません。
右の腕を引くときにまっすぐに引くと、この動きは少ししか肩甲骨と連動しません。肘を引くときに真っ直ぐではなく、体に添わせて斜め後ろに引けば、肩甲骨がきれいに引っ張られます。
ほとんどの人が「腕を振れ」と言われてまっすぐに振ってしまいますが、それでは腕の振りが肩甲骨をあまり動かさない、ただ腕を降っているだけの動きになっています。
腕は巻くようにして斜め後ろに引くようにしてみましょう。
そもそも腕は振らなくてもいい
腕は斜め後ろに引くと言いましたが、そもそもランニングで腕を振る必要はほとんどありません。1kmを4分台で走るような人は別ですが、1km6分前後では、腕の振りは体力の消耗のほうが大きくなります。
腕を振るのではなく、体の軸を中心に肩甲骨を動かすことができれば、肩甲骨を連動させて走りことは可能です。いえ、むしろそのほうが肩甲骨と骨盤の動きは連動しやすくなります。
腕を振って肩甲骨を動かそうとするのではなく、肩甲骨そのものを動かせば、無駄な動作が一つ減ります。
肩甲骨を振るイメージがわからない人は、体の後ろで両手を組んで、走って見ましょう。最初は両腕がバタバタしますが、1km程度走れば腕の力が抜けて、肩(肩甲骨)だけが動きます。
この感覚を掴んだら、手をほどいて走ってみましょう。腕を振る必要はありません。腕は勝手に肩甲骨と連動して動いています。
連動させるには体幹を整える必要がある
本当はこれを最初にお伝えしなくてはいけなかったのですが、足の動きと肩甲骨の動きを連動させるには、体幹がしっかりしていないとできません。体幹は体の深いところにある筋肉を鍛えることで整えることができます。
腹筋の奥側の筋肉と背筋の奥側の筋肉。これがしっかりしていないと、走りながら肩甲骨を足の動きの連動をさせることができません。
本来は体を捻る動きの反発力が推進力になりますが、体幹が整っていないと、バネのストッパが効かずに、捻る動きのエネルギーを溜めることができずに、そのまま流れて逃げてしまいます。
どんなに上手に肩甲骨を動かしても、体幹が整っていないと、足にまで力が伝わりません。
ですので、肩甲骨を連動させるには体幹トレーニングやピラティスなどが必須になります。「肩甲骨が連動できていない」と言われたら腕振りや肩甲骨の動きだけを改善させるのではなく、体幹を整えるトレーニングも平行して行いましょう。
まとめ
- 体幹トレーニングやピラティスで体幹を整える
- 腕を振るのではなく肩甲骨を振る
- どうしても腕を振ってしまう場合は、両手を後ろで組んで走ってみる
- 腕を振りたい場合は真後ろではなく体を巻くように斜め後ろに引く
基本的には1km5〜6分程度であれば、腕振りは走りのロスに繋がることが多くなりますので、腕を振って肩甲骨を動かそうとするのではなく、ダイレクトに肩甲骨を動かすようにしてください。腕は肩甲骨につられて動く程度でかまいません。
また、体幹が整っていないと、肩甲骨の動きを足の動きに連動させるのが難しくなります。肩甲骨を連動させるには、体幹がしっかりしている必要がありますので、体幹トレーニングやピラティスなどのトレーニングにも取り組みましょう。