日本一早いマラソンレポート「第22回丹後100kmウルトラマラソン」

42.195kmでは満足できないランナーたちが集うウルトラマラソンの世界。その情熱の炎は世界的な中断期を経ても消えることなく、ただかつての賑わいを取り戻すには、私たちが思っている以上に長い時間がかからのだろう。2024年9月15日に開催された第22回丹後100㎞ウルトラマラソン(以下、丹後ウルトラマラソン)で友人を応援しながら、そんなことを思っていました。

フルマラソンですら定員割れしてしまうような状況。それ以上のトレーニングが必要になってくるがウルトラマラソンの世界。まだ60kmや100kmを走ることに対して自信を持てないでいる人は少なくありません。ただ、そういう中でも走り続けてきた人がいて、暑さの残る京丹後を駆け抜けました。

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9月としてはベストコンディションでの開催

丹後ウルトラマラソンの前日は青空が広がり、道路沿いの電光掲示板には37℃の表示。昨年も暑さで多くのランナーが制限時間の壁に引っ掛かってしまいましたが、「まさか今年も」という雰囲気が漂います。かつては9月になればそこそこ涼しいどころか、ここ数年の酷暑の影響を強く受けつつあります。

ただし、大会当日の7時の時点では27℃で曇り。時々小雨がパラつく絶好のコンディション。もちろん、酷暑だと考えればという前置きはあるのですが、スタート前からゲンナリするようなことはありません。ただ、気温は右肩上がり。徐々に暑さとの戦いへと引き込まれていきます。

ウルトラマラソンというのは、そのような気温や気候との変化とも向き合うことになるのが難しいところであり、面白いところでもあります。こればかりは神様が決めることで、ランナーも運営もどうすることもできません。とはいえ9月が暑くなるのは、もう既定路線となりつつあります。

だから丹後ウルトラマラソンに参加するには、夏場でもしっかり走り込むしかないのですが、もちろんそれが簡単でないことはランナーのみなさんがよくわかっていると思います。むしろ、夏に走り込めたかどうかの答え合わせが丹後ウルトラマラソンなのかもしれません。

交通規制がほんとんどないウルトラマラソン

丹後ウルトラマラソンにはこれまで何度か応援に来ましたが、スタートとゴールくらいしか知りませんでした。今年は何ヶ所か車で回れたので、その難易度の高さをより強く感じています。終わることのないアップダウンの連続。そして交通規制がない道路。

交通規制がほとんどないとは聞いていたのですが、それでも安全は確保されているのかと思っていたのですが、配慮はされていますが確保するというほどではありません。むしろ歩道のないむき出しの道を車がすれすれで通っていく。こういうスタイルを20回以上続けてきたわけです。

過去に参加したことのある人に聞いてみると、事故がなかったわけではないとのこと。100kmや60kmを走って、残り15kmくらいにそういう危険なシチュエーションで走るのはなかなか大変ですし、そして信号を守らなくてはいけないというのも大変です。

ウルトラマラソンの場合、独占での道路の使用許可走るのは難しいのはわかります。ただ、シンプルに自分が参加するとなると「怖い」と思ったといい話です。きっと常連の方は「それを含めても丹後ウルトラマラソンだ」と言うのかと思いますが、危険な場所もあるというのは、初めて参加する人は知っておいたほうがいいことのひとつです。

マイカップ・マイボトルへの挑戦

丹後ウルトラマラソンは湘南国際マラソンと同じウェルネスの運営ということもあり、マイカップ・マイボトルの定着を目指して、大会ではマイカップ・マイボトルを必須としています。湘南国際マラソンを含めて、そのスタンスに反対する人はそうは多くないはずです(批判できない雰囲気というのもありますが)。

私もウルトラマラソンとマイカップ・マイボトルはかなり相性がいいと感じています。実際に台湾のウルトラマラソンで、同じようにマイカップ・マイボトルを体験しましたが、そういうものだと思っておけば、まったく不満はありません。あえて不満を挙げるなら、スポーツドリンクの飲み残しが垂れてくるくらい。

ただ、今回応援した友人が海外のランナーで、スタート直前までマイカップ・マイボトルを知りませんでした。それは大会HPをきちんと目を通していればわかるので、大会側が悪いわけではありません。ただ、マイカップ・マイボトルについての注意書きがある参加案内ページの英文には、日本語で注意書きの画像が貼られていました。

Google翻訳なので画像は変えられないので仕方ありませんが、少し不親切だとは感じました。もしくは当日の会場での販売でも構いません。繰り返しますが「知らなかった」は参加者の責任がほとんど。でもマイカップやマイボトルがないと給水しないと明言しており、それは命のかかわる問題ですので、何らかの救済措置は欲しいところ。

ニッチになっていくウルトラマラソンを走る意味

22回目の開催にもなれば、大会の運営はしっかりしているのは当然で、基本的にはホスピタリティのある大会です。だからこそ、歩道のない道路での安全性の確保やマイカップを忘れた人の救済など、もう一歩踏み込んだサービスがあってもよかったように感じます。

ゴール直後にドリンクエリアがないのも、会場のレイアウト上は仕方ないのかもしれませんが、走り終えて歩くのも大変という状況でも給水したければ、少し歩いて移動しなくてはいけません。しかもそれに対する会場でのアナウンスもなかったように感じます。

ウルトラマラソンはこれからしばらく、低迷期に入る可能性があります。そうなったときに参加者を少しでも増やすのに必要なのは細やかな気配りです。ウルトラマラソンはかつての「ニッチなスポーツ」へと戻りつつあるなか、やれることは何でもやらなければ、大会そのものが消えてなくなる可能性があります。

ニッチだろうが「丹後ウルトラマラソンを走るんだ」そう言ってもらえる魅力があるなら、いまのままの開催でいいんだと思います。でも暑さを考えて開催のタイミングを変えたり、あらゆる案内をもっと伝わりやすくしたり、信号を守らなくてはいけないという部分を改善したり。まだまだできることがある。

そんなことを感じた第22回丹後100㎞ウルトラマラソンでした。でも、繰り返しになりますが、参加者の多くがいまのやり方で満足していて、これから参加者が増えていくというのであれば、現状維持でいいと思います。でも、危機感があるなら、何かを変えていく必要があります。

それを来年以降に見せてくれるのか、とても楽しみにしています。

丹後100㎞ウルトラマラソン:https://www.r-wellness.com/tango/

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