日本一早いマラソンレポート「彩湖リレーマラソン2025」

3月の日曜日に突然やってきた寒気。もう春がやってきたのではないかと勘違いするほど暖かい日が続いた後だけに、彩湖リレーマラソン2025に限らず、関東で開催されたマラソン大会はいずれも厳しいコンディションで開催されました。

しかも彩湖リレーマラソンは、荒川の河川敷の公園を走るので風も強め(その下流で開催された板橋CIityマラソンはもっと大変だったようですが)。そんな環境で開催された彩湖リレーマラソン2025がどのような大会だったのかをレポートします。

目次

冷たい雨に包まれた彩湖リレーマラソン2025

ゆっくりとファンを増やしてきた彩湖リレーマラソンに大きなダメージを与えた2020年のパンデミック。コロナ禍により孤立したランナーが、仲間との繋がりを取り戻した今年は、かつての勢いを取り戻すのに大きなチャンスでした。

ところが開催日に設定した2025年3月16日は、すぐ下流で板橋City マラソン、少し離れたさいたま市ではさいたまマラソンが開催されるなど不運としか思えない巡り合わせ。ただ、3月に大会を開くということは、必ずどこかの大会にぶつかります。

今回は偶然にも近場だっただけで、別の週にしたところで、東京マラソンや大阪マラソン、名古屋ウィメンズマラソンなどがあります。だから集客に悩むことになるのですが、そこは運営側の考えや想い、事情があることなので、外野があれこれ口を出すことではありません。

ただ、今回のように冷たい雨も重なって、会場が寂しいことになるなら、もっと多くの人が集まりやすい時期に開催してもらえるとありがたいというのはあります。4月や5月の開催なら雨もそれほど冷たくないので、DNSされる可能性は減ります。

そんなことを書いてしまうくらい、今年の彩湖リレーマラソンは冷たい雨に盛り上がりを削がれてしまいました。リレーマラソンは誰か1人が「こんな雨の中を走りたくない」と言ったことで、人数が足りなくなって不参加を選ぶチームもあったはずです。

天気ばかりは運営側の力ではなんともできません。できることがあるとすれば、雨が少ない時期の開催にすることくらいです。リレーマラソンは参加者数が会場の盛り上がりに直結する競技です。今回、大会が用意したたくさんの仕掛けが面白かっただっただけに、「もっとランナーが集まりやすい時期」が頭をよぎっただけのことです。

アイドルとの親和性という新しい可能性

今回、彩湖リレーマラソンでの新しい試みが、アイドルをフル活用するということでした。これまでも個性的なゲストランナーが招かれていたしたが、現役の若手アイドルというのは私の記憶にはありません。しかもグループメンバーのうち2人が5kmを走っています。

大活躍だったのは「マリーメトロノーム」というアイドルグループで、ライブやレポート、レースにと休む暇もないくらい、常に会場のどこかで大会を盛り上げるために動き回っていました。しかも彼女たちにはファンがいて、大会に参加したり、応援に来たりして大会を盛り上げてくれました。

私は今回、ランレコードとしてブースの出展もしていましたが、マリーメトロノームのメンバーがアイテムのレポートをしてくれたことで、ブースに立ち寄ってくれる人もいました。雨の中の開催なので、閑古鳥を覚悟してきただけに、本当に助かりました。

開会式や閉会式の前にはライブをして、人を集める前座のような役割も果たしていました。マラソン大会の開会式や閉会式はどうしても人が集まりにくいものの、彼女たちは、インパクトのあるパフォーマンスで参加者を引き寄せました。

彩湖リレーマラソンは開会式と閉会式でスポンサーを紹介するなど、とてもその2つを大切にしているのですが(式が間延びした感じにもなりますが)、人が集まらないことにはどうにもなりません。マリーメトロノームはその問題を解決してみせたわけです。

また、表に立っていたのはマリーメトロノームでしたが、目立たないところでは元アイドルの才木玲佳さんが、SNSでライブ配信を行なっていました。雨に濡れることを厭わず、自撮りで配信している姿は多くのランナーに力を与えてくれました。この2組の存在は、彩湖リレーマラソンに新しい可能性を感じさせてくれるものでした。

強い向かい風に耐え淡々と積み重ねるレース展開

さて肝心のレースはというと、私はランレコードの第5走者、アンカーとして出場しました。彩湖リレーマラソンには、毎年コモディイイダの選手が出場しており、トップレベルの走りで参加者を引っ張ってくれます。

圧倒的な速さでついていくことはできないわけですが、コモディイイダの選手が走ることで、全体が底上げされる感があります。北風が強く吹き、ランナーの心を簡単にへし折っていこうとするのですが、コモディイイダの選手が大きな柱になってランナーを支えています。

本人たちにその気持ちがあるかどうかはわかりませんが、トップレベルのランナーがいることでスピード自慢のランナーも慢心することなくさらに上を向くから、大会全体が引き締まります。参加者は知らないうちにベストを引き出してもらっているわけです。

私自身もアンカーということもあり、周りに他の選手がいない状況で走り出しましたが、それでもしっかり集中して前半の向かい風に挑むことができました。「ここを耐えれば楽になる」そう自分に言い聞かせてとにかく耐える。終わらない苦難はどこにもありません。

彩湖リレーマラソンのコースは、彩湖の北側半分をぐるっと1周するのですが、土手や橋などのアップダウンがあり、そこに強い北風が合わさってペースがなかなか安定しません。ただ、コースが変化するから集中力も維持しやすく、5kmが短く感じます。

もう少し声援があると気持ちも上がるのですが、雨に音を消された彩湖を走るというのもなかなかできない経験。世界中に自分しかいないような感覚でこれはこれでいいものでした。1kmごとの表示もあるのできちんとペース配分できたのも助かりました。

雨対策をどうするかが今後の大きな課題

7回目の開催となった今大会ではっきりしたのは、彩湖リレーマラソンは雨に弱いという点です。彩湖リレーマラソンに限ったことではなく、河川敷で開催されるマラソン大会に共通する課題が雨です。同日に開催された板橋Cityマラソンも低体温症になった方が多かったとか。

同じ日に開催されたさいたまマラソンは屋内施設を拠点にしていることもあり、寒さはあっても「よくある雨のマラソン大会」という評価が目立ちました。会場に雨をしのげる場所がほとんどない河川敷の大会は、雨で評価が下がるのは仕方ないというスタンスを取るしかありません。

ただ、雨対策をまったくしなくていいというわけではありません。ステージを使って開会式や閉会式、アイドルのパフォーマンスをするなら屋根のあるステージがあったほうがいいですし、雨でもDNSのせずに会場に来てくれるような魅力を用意する必要もあります。

それがなければ、「あの大会は雨が降ったら大変だから」という理由で敬遠されてしまいます。実際に今回は雨が降ったわけで、参加者の頭の中では彩湖リレーマラソンと雨が結びついてしまいました。それでも参加したい魅力を今大会で感じてもらえているかどうかは、次回の募集時に答えが出ます。

もっとも「これくらいの雨なら開催できる」というノウハウができたというポジティブな一面もあります。大会運営の経験が豊富であればあるほどマラソン大会は魅力的なものになります。今回は雨の開催というノウハウを手にしたわけで、次回以降はそのノウハウを元に大会を再構築することになります。

そういう意味では来年の運営にはかなり期待しています。今年の大会が晴れていたら、かつてない盛り上がりだったことは間違いなく、そこに今回の経験が加われば素敵な大会にならないわけがありません。大会に元気を与えてくれた今回のゲストのように、いい意味で期待を裏切る取り組みも楽しみにしている自分がいます。

彩湖リレーマラソン:https://running-ss.sakura.ne.jp/saiko/

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