日本一早いマラソンレポート「金沢マラソン2017」

台風の影響で横浜マラソンが中止になりましたが、金沢ではまったく影響がありませんでした。雨だということに変わりはありませんが、スタート時にはなんと雨がほとんど上がった状態で、ランナーが冷たい雨に降られるということはありませんでした。

2年前の第1回にランナーが低体温症にならないようにと、急遽ポンチョを配った金沢マラソン。もしマラソンの神様がいるのだとしたら、スタート前に雨が降らなかった理由は、そのときの対応へのご褒美のようなものでしょうか。

ただし、レース中はかなりの雨が降っています。気温が15℃あったことだけが救いでしょうか。雨の予報でしたので、事前にポンチョを用意していた人も多かったように感じます。いずれにしても低体温症になった人はかなり少なかったかと思います。

金沢マラソンの魅力は沿道からの声にあります。大都市マラソンでも沿道に人がいても、声はあまり出ていない大会がいくつもあります。金沢マラソンは地元の少年野球チームが動員されているのか、いつもコース上が賑やかです。

それだけではありません。コース設定も住宅地を上手に利用しているので、地元の人が応援に出やすい大会になっています。

その結果として、1年目よりも2年目、2年目よりも3年目のほうが石川県からの参加が多いとのこと。スタート時におそらく知事だと思いますが、「地元に根づいてナンボ」というようなニュアンスのことを言っていました。

これはすごく重要な事です。

都市マラソンはともすると観光客を集めることばかり考えてしまいますが、県外からの人が魅力を感じて参加するには、地元の人たちの熱狂が必要です。地元の人たちが誰も注目していないマラソン大会に、わざわざやってくるランナーはいません。

遠征するランナーは、その地元の人たちの楽しみをおすそ分けしてもらっている。それくらいがちょうどいいのかもしれません。マラソン大会はお祭りのようなものです。ねぶた祭りもだんじり祭りも地元の人たちのものであって、観光客はその熱狂に少し触れるだけで十分です。

実際に金沢マラソンの参加者と話をしてみると、石川県か富山県のランナーがかなり多く感じます。今回は富山マラソンと同日開催でしたので、この2つの県のランナーは相当悩んだことと思います。

願わくば、この2つはどちらかが時期をずらしてもらいたいとことですが、この地域の特性上、11月末には寒すぎますし、どうしても10月開催を狙うと、同日もしくは、続けての開催になってしまうのかもしれません。

もっとも、こうやって2つの大会が競い合うという形も悪くはありません。参加者は常に2つの大会を意識しますし、主催者は相手に負けないようにと試行錯誤します。現状維持で満足しない大会にするために競争は必要です。

号砲から最終ランナーがスタートを通過するまで17分。7時間制限の大会なら十分許容範囲内です。1万3千人という参加者を考えても十分スムーズです。ちなみに倍率は2.45倍だったとか。

スタートからはしばらくアップダウンが続きます。前半の20kmは北側の丘陵地帯を走りますが、それほど厳しい坂道ではありません。住宅地でもあるため、声援が途切れませんし、ボランティアさんが常に声を出しています。

ボランティアさんは6000人。雨の中かなり冷えたと思いますが、それでもみんなそんな雰囲気を一切見せません。高校生くらいのボランティアさんが、本当に元気が良くて、ランナーもかっこ悪いところを見えせられません。

さらに、沿道では常にハイタッチを求められる状態で、走り終えてからどこが痛いって、腕が一番痛いというおかしなことが起こります。

もう1つの金沢マラソンの魅力が、食べきれないほどのエイドです。ドリンクは、水とアクエリアス、そして爽健美茶が並んでいます。香港から来たランナーさんは「お茶が苦すぎてタイヘンだった」と笑ってましたが、お茶というのは面白いアイデアです。

なぜなら、金沢マラソンにはびっくりするくらいのお菓子が出てくるからです。和菓子のエイドと洋菓子のエイドがあり、何種類ものお菓子がズラッと並んでいます。そういうお菓子にはやはりお茶が合います。

ドリンクとしては、後半の数ヶ所にコーラが置いてあったりと、本当に至れり尽くせりです。金沢に来るとわかりますが、金沢は驚くほどホスピタリティのレベルが高い街です。普通の飲食店で、おばちゃんが流暢な英語を話すのを何度も見かけました。

外国人にもかなり人気の高い街で、日本をよく知っている人ほど金沢に行きたいと言います。そういう本当のおもてなしが根付いている。それが金沢なのかもしれません。

30km地点のエイドでは、なんと金沢カレーが出てきます。1年目は普通の金沢カレーで、昨年はカツ入りの金沢カレーでした。おそらくカツがきつかったという声があったのでしょう。今年はカツありとカツなしの2種類が用意されています。

こういう聞く耳を持った大会というのは、あっという間に魅力的な大会に変わっていきます。もちろん、なんでも意見を取り入れるというのではなく、声を聞いて最適解を見つけ出す。金沢マラソンはそういうことを得意としているように感じます。

いや、金沢マラソンではなく金沢の街そのものが、当たり前のようにそれをやっているのかもしれません。加賀百万石にあぐらをかかずに、変化することを恐れない姿勢。それこそが金沢マラソンが多くのランナーに愛される理由です。

おそらく、これからも金沢マラソンは抽選に当たりにくい大会となります。でもハズレてもいいからエントリーしてもらいたい大会のひとつです。これ以上倍率が増えるのは個人的にはいろいろ困りますが。

自己ベストを狙うのはやや厳しいコースですが、旅ランとしては、観光やグルメも含めてここまで楽しめる都市マラソンはそうありません。来年の秋マラソンとして、ぜひ予定に入れてみてはいかがでしょう。

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