毎年、夢の島陸上競技場で開催されていた24時間グリーンチャリティリレーマラソンは、オリンピックに向けた競技場の改修により、今年は豊洲での開催となりました。
種目は変わらず、24時間、12時間、6時間、4時間でいずれもチームの部と個人の部があります。コースは豊洲市場の外周にある豊洲ぐるり公園内を利用しての折り返し1周1.5キロで、高低差のない完全フラットに設定されています。
コース上からはレインボーブリッジや東京タワー、スカイツリーなどを眺めることができ、東京の夜景を楽しめるのが魅力のひとつです。
ただし、この時期の24時間マラソンは雨のリスクがあり、一方で雨が降らないと気温が上がり過ぎて、熱中症のリスクが高まります。ずっと曇っていればいいのですが、それはそれで憂鬱な気分になります。
今年は初日が晴れて、太陽と路面の照り返しがランナーの体力を削っていきます。レース観戦に行った2日目は曇り空でしたが、すでに消耗しきっているランナーも多く、厳しいコンディションの中での開催になりました。
さらにランナーを苦しめたのが硬い路面です。豊洲ぐるり公園のランニングコースの路面は、一見すると走りやすく、数キロを全力で走るならスピードも出せます。ところが、ロング走をするには適していません。
クッション性の高いシューズをチョイスした人と、薄底のシューズをチョイスした人とでは、腰や関節にかかる負担がまったく違います。これは個人の部でも、チームの部でも同じことで、長時間走れば走るほど、疲労が積み重なっていきます。
いつもと同じ感覚で用意をしたランナーは、路面の硬さに苦しめられていたようです。初会場での開催の場合には、下見をすることがとても重要だという教訓になったかもしれません。
気温が高く、路面が硬い。そういう悪条件のほうがやる気が湧いてくるランナーさんもいますし、どんな環境でも走るのがマラソンです。でも、走る楽しさよりも、苦しみが勝ってしまうと、参加者が離れていってしまいます。
今回のグリーンチャリティマラソンも、会場が変わったのもあって参加者数はかなり少なく、24時間チームの部にいたっては45チーム(定員100チーム)しかありません。個人の部でも、男女合わせて73人(定員100人)です。
他の部門での参加者もあり、コース幅が狭いということもあって、閑散とした感じにはなっていません(むしろ混雑)。ただ、今後は規模がどんどん縮小していくのだろうというのは、容易に想像できます。
参加するためにチームをまとめるにしても、かなりの労力が必要で、正直なところ報われない役回りでもあります。徐々に人が集まらなくなり「今年はもういいかな」となって、大会に参加しなくなるチームは増える一方です。
これは豊洲24時間マラソンの問題ではなく、すべての24時間マラソンにとっての問題です。普通に参加者を募集しただけでは人が集まらなくなりなっています。だからこそ、参加したくなるための仕掛けが求められます。
すでにどの大会もこれまでにないイベントを開催するなど、よりよい大会づくりを目指していますが、参加者に響いているとはいえない状況です。
とはいえ24時間の参加者は減っているものの、リレーマラソンが下火になったわけではありません。みんなと襷を繋ぐことで、いつも以上に自分を追い込むことができますし、喜びも1人で走るマラソンよりも大きなものになります。
でも「24時間じゃなくてもいいよね」というランナーが増えています。もっと短い時間で襷を繋いで、走り終えたら打ち上げに行く。10人以上を集めるのは難しいですし、6時間くらいががちょうどいいサイズなのでしょう。
24時間グリーンチャリティリレーマラソンは、都内で走ることができる24時間マラソンとして親しまれてきましたが、そんな大会でも以前のように人を集めるのが難しいという厳しい現実。
苦しい時期を乗り切れば、また以前のような活気のある24時間マラソンに戻るのかもしれません。でも、大会としてまだまだ出来ることはあるはずです。少なくとも、会場にいる人たちはみんな充実したいい顔をしていました。
仲間と走る楽しさを、個人でコツコツと積み重ねていく魅力を、大会独自の方法で伝えることができるのかどうか。参加した人に「また参加したい」と感じてもらい、リピーターを増やしていけるのかどうか。
今回は会場の変更もあって、運営側も思うように準備ができなかったり、想定外のことが多々起きたかと思います。そういう状況で今回だけを見ればしっかりとした運営がされており、安心して参加できる大会です。
ただ、次を見据えての1手という意味では、これまでの延長ではない何かを強く感じることはありませんでした。
とはいえ、それとランナーとして参加するかどうかはまた別の話です。24時間マラソンやナイトランの出来る12時間マラソンというのは、この時期だからこそできる種目です。
手軽に参加できるという意味では、24時間グリーンチャリティリレーマラソン in TOYOSUは魅力的な大会です。来年の開催がまた豊洲になるのであれば、参加するランナーは硬い路面に適したシューズを用意して参加しましょう。
できれば下見ランを1時間程度しておくことをおすすめします。