日本一早いマラソンレポート「第20回新宿シティハーフマラソン・区民健康マラソン」

国立競技場を拠点に都心を駆け抜ける新宿シティハーフマラソン。東京マラソンのコースと重なるところもありますが、東京マラソンのようなお祭り感覚ではなく、普段からランニングをコツコツ積み重ねている人たちが集い、やや競技性の強い大会というのがこれまでの印象でした。

ところが久しぶりの開催となる2023年大会は、コースに神楽坂を組み込むなど、タイムよりも走る楽しさを追求するマラソン大会にシフトした感じがありました。ただスタート前にトラブルもあったようなので、それも含めて今年の大会がどうだったのかレポートします。

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いきなりトラブル発生で入場が遅れる

今回はコロナ禍の大会ということで、新型コロナウイルスの感染症対策が行われました。3日前までのPCR検査もしくは1日前までの抗原定性検査が必須で、その結果を専用アプリで表示しなくてはいけないという仕組みを採用していました。

これが原因かはわかりませんが、会場は準備が間に合わなかったらしく、入口では長蛇の列。なかなか会場に入れないという問題が発生しました(開場は約30分の遅れ)。列に並んでいる人の中には8時半のスタートまでに入場できないかもと心配している人もいて、出鼻を挫かれた感じ。

スタート直前に会場入りとなった人もいたようで、ほとんどアップもしないままスタートラインへ。競技としてはスタート時間を遅らせるのが理想ですが、マラソンは道路の使用許可の関係でそういうわけにはいきません。スタートラインに立つ前に心身ともに疲れたという人もいたかもしれません。

ただ、これに関しては来年以降はアプリのチェックなどもなくなるでしょうし、ゼッケンを見せれば会場入りできるような仕組みになるはずです。ですので、2024年以降の参加を検討している人は気にしなくても構いません。とはいえ早朝スタートはなかなか高いハードルです。

8:30スタートなら7:30に会場入りしておきたいところですが、そのためには最寄駅に7時過ぎに着いていなくてはいけません。アクセスはしやすいの新宿シティハーフマラソンとはいえ、都内のランナー以外は始発に近い時間に出発することになるので大変です。

とはいえハーフマラソンは午前中に終わりますから、日曜日を有意義に使えるといったメリットもあります。ラン仲間と打ち上げするのにもちょうどいい時間ですし、少し移動すれば飲食店も多く、スタート時間が早いことは悪いことばかりではありません。

新宿は思った以上にアップダウンがある

新宿シティハーフマラソンのコースはかなり起伏があります。東京は道がフラットというイメージが、あるかもしれませんか実際には「谷」が付く地名も多く、坂もたくさんあります。その中でも目玉となったのが今回から追加された神楽坂。

タイム重視の人は「神楽坂いらない」と否定的な意見を述べているようですが、マラソンの本質は、自己ベストを更新することだけでにあるわけではありません。与えられた環境でベストを尽くすことこそマラソンの本質。アップダウンがあっても、それを楽しむ精神が大切です。

しかも、そもそも新宿の道は完全なフラットのエリアが限らられており、タイムを狙うのが難しいコース。だったらもっと面白くしようと考えたかどうかはわかりません。タイムが出ないことを逆手にとって、記憶に残るコース、また走りたいコースにする。そんな思いで神楽坂が追加されたのかもしれません。

ただ、神楽坂の手前は人を通すという名目で、こまめにランナーが止められており、これに関しては流れを切られる感じがあるため、不満に感じている人もいるかもしれません。坂の手前で呼吸を整えられるといったメリットもあるのですが、そういうところがないに越したことはありません。

他にも歩行者を通すためにランナーを止める場所が何ヶ所かあり、そういうところからも「この大会はタイム重視ではない」というメッセージが感じられます。タイムばかり追いかけてしまいがちなランナーに「それでいいの?」と問いかけているようでもあります。

タイムを出しにくくても、ベストを尽くすことで充実感は得られるわけで、むしろ腕時計のペース表示に振り回されることもないから、純粋に走ることを楽しめる。それが新宿シティハーフマラソンの魅力かもしれません。深読みのしすぎかもしれませんが。

ちなみにハーフマラソンのスタートロスは約10分。制限時間は2時間30分なので最後尾スタートは実質2時間20分で走ることになるので、ハーフマラソンを完走するにはそれなりの走力が求められます。

国立競技場を使ったローカルな大会

新宿シティハーフマラソンは都心を走る大会ですので、東京マラソンのような途切れない沿道の声援を期待している人もいたかもしれませんが、そんな人にとっては驚くほど静かに感じたかもしれません。沿道の人は少なく、声を出して応援する人はわずか。

コロナ禍ということもあるかもしれませんが、とにかく静かで、しかもビルの間を走る区間も多く、気温の低さもあって冷たい印象を感じながら走った人もいるかと思います。実際に気温はかなり低い時間帯にスタートしたので、淡々と走る時間帯が発生します。

もっとも東京マラソンが特別なだけで、声援が少ない大会はいくらでもあります。新宿シティハーフマラソンも区民の健康促進のためのイベントですので、都心を走るローカルな大会です。ローカルな大会なのに国立競技場を使っているので、あれこれ期待したくなりますが。

そう考えると受付のドタバタもローカル大会ではよくあること。私たちはいつの間にか、マラソン大会に完璧さを求めるようになっているのかもしれません。でも、マラソン大会だって人が運営しているわけで、多少のトラブルは起きるもの。それも含めてマラソン大会なわけです。

もちろんコースもそうです。走りやすいフラットなコースを求めてしまいがち。でも、私たちランナーが本当に手にしたいのは、自分自身の走力や体力が向上。タイムは試験の結果であり、現在地を知るためのものでしかありません。他の大会で出した記録と新宿シティハーフマラソンで出した記録を比べる必要はありません。

それは沿道の声援や大会の運営、サポートに対しても同じ。足りないものは個性であって、それを受け入れるというスタンスをランナー側は持ちたいところです。もちろん改善できるものは改善してもらえるのが理想ですが、「それも個性」と笑えるくらいの余裕を1人でも多くのランナーに持ってもらいたいところです。

新宿シティハーフマラソンは遠征してでも走りたい大会

新宿シティハーフマラソンは新宿区民もしくはその周辺で暮らす人のためのマラソン大会です。繰り返しますが東京マラソンのように大イベントというのではなく、ローカルな大会で、アップダウンも多くて記録を狙うのは難しい。久しぶりの開催ということもあってか運営のミスもありました。

もしかしたらRUNNETの評価も低いものになるかもしれません。でも、評価の詳細を見ればきっと「また来年も走りたい」という声が大半になるはずです(評価される前にレポートをアップしているので想像でしかありませんが)。少なくともゴールをした人の表情からは満足感が伝わってきました。

しかも国立競技場を発着できるわけですから、遠征してでも走る価値のある大会です。ただし、今年は晴天に恵まれましたが、いずれ大雪や冷たい雨の中の開催になることも考えられます。そうなるとエントリーしたことを後悔するかもしれませんが、それも含めてマラソンです。

シリアスランナーも健康志向のランナーも、普段からコツコツ走っている人にはとても魅力的な大会です。ハーフマラソンですので、終わってからラン仲間と打ち上げする余裕もありますし、10kmの部門もあるので自分の走力に合わせて選べるのもおすすめのポイント。

ただし国立競技場周辺には飲食店も少ないので、打ち上げをする場合には事前予約しておくか、代々木や新宿、青山などに移動するのがおすすめです。1人で参加という人も安心してください。会場にはキッチンカーがいくつも出ているので、ちゃんと1人反省会もできます。

また申し込みは先着順ですので、来年以降はクリック合戦になる可能性も高く、油断しているとエントリー終了となっている可能性もあります。そうならないためにも、新宿シティハーフマラソンのサイトをこまめにちぇっくしておきましょう。

新宿シティハーフマラソン:https://www.shinjukucity-halfmarathon.jp

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