日本一早いマラソンレポート「鹿児島マラソン2018」

昨年に引き続き、今年も鹿児島マラソンにやってきました。理由はただ一つ、前夜祭で11の酒蔵から提供される焼酎が無料で振る舞われるためです。それもビニールコップになみなみと注がれます。

他のマラソン大会で、会場となる施設で前夜祭というのはときどきありますが、鹿児島マラソンはなんと会場とは別、天文館の繁華街のど真ん中で開催します。振る舞い酒は繁華街のあちこちで行われますので、飲み終えた人たちがそのまま美味しいものを食べに行けます。

鹿児島マラソンの素晴らしいところは、その振る舞い酒もそうなのですが、動線を徹底して考えられていることです。それも、ランナー側の立場に立って、動線を考えていますので、まったく無駄がありません。

例えば、荷物預けの会場は、地下の駐車場を利用します。そこを更衣室兼荷物預けに使っているのですが、まるでエスカレーターに乗っているかのように、着替えから荷物預けまでができます。

それどころか、荷物預けからスタート会場までの流れも無駄がありません。スタート会場までは700mくらいあるのですが、他の大会なら「こんなにも歩かせて」となりますが、そこも工夫が凝らされています。

移動区間ではボランティアさんが「頑張ってください」と声をかけたり、ゆるキャラなどが背揃いしていたりしますので、ゆるキャラとハイタッチをしながらスタートに向かえます。これからのレースに向けてワクワク感が高まります。

着替えから整列までに迷いなく行える、1万人以上参加する大会というのはなかなかありません。「引き返す」という行動がまったく必要ありませんので、スタート前のストレスを感じることなく整列できます。

ちなみに、ゴールした後も、この地下の駐車場までの動線が作られています。鹿児島マラソンしか知らない人は、これが当たり前だと思うかもしれませんが、スタート前の着替えから、ゴール後の着替えまでがこんなにも流れるように出来ている大会は他にありません。

今年のゲストは千葉真子さんと南海キャンディーズのしずちゃんです。ゲストランナーに鹿児島に縁のある人を呼んでいますが、スタートはやはり華やかになります。そしてほとんどの人が気づいていなのですが、高橋尚子さんがスタート地点にいました。

ゲストとしての発表はなかったので、なぜそこにいるのか、気づいたランナーはかなりびっくりしたかと思いますが、高橋尚子さんは自分がゲストでないことに気を使ってか、目立たないように気づいたランナーを送り出してくれました。

千葉ちゃんとQちゃんという、2大ゲストランナーが揃うなんて、そうそう見れるものではありません。どういう経緯でそうなったのかは分かりませんが、やる気をもらってスタートしたランナーもいたはずです。

ただし、この日の天候は22℃オーバーです。このやる気がランナーを苦しめることになります。ここまで気温が高いと1kmで20〜30秒くらい遅くする必要があります。そうしなければ汗で水分を失い、脱水状態になってしまいます。

実際に10kmを過ぎたくらいから、歩き始めるランナーが目立ち始めます。

本当は1kmを7〜8分で入らなくてはいけないのに、6分台で走って潰れている人があまりにも多すぎました。この日はメディカルランナーが大忙しで、それどころかメディカルランナーでも歩いている人が大勢いました。

救急車も何台出動したのか分かりません。

昨年は低体温症で救急車が出動したこの大会は、1年経って熱中症で救急車が出動します。鹿児島は全国に先駆けて春が来ますので、三寒四温の状態となり、気温が目まぐるしくかわります。実際に前日は昨年を思い出させるような寒い雨の日でした。

そんな熱中症の人を多く出し、歩き出すランナーを多く出した鹿児島マラソンですが、今年の景色はさすがに素晴らしいものがあります。桜島山頂は見えませんが、10km以上も海沿いを駆け抜けることができます。

ただし、この区間の声援はボランティアさんが中心です。それでも手が痛くなるほど続くハイタッチエリアや、腹の底から声を出して応援してくれる学生たち。つらいなぁと思っていた気持ちをやる気に変えてくれます。

マラソンというのは東京マラソンのような途切れない応援もいいのですが、本質を考えれば自分と向き合える時間が実は重要です。湘南国際マラソンが同じように声援の少ない海岸線を走りますが、今でも人気の大会のひとつとして定着しています。

ランナーは声援をもらうことは嬉しいものの、それと同じくらい、いやそれ以上に自分と向き合える時間を大切にします。自分の弱さを感じたり、上手に自分をコントロールできていることに気づいたりすることで、マラソンを楽しみます。

そのためには、声援のない区間というのはとても大切です。鹿児島マラソンは意図的にそういうコース作りにしたわけではないのかもしれませんが、ダメな自分を発見するから「来年こそは」と思えるわけです。

もっともランナーの多くは、前夜祭の振る舞い酒を飲みながら「来年も」と思っているかもしれませんが。

はっきり言って、とてもタイムが出せるコースではありません。小さなアップダウンがたくさんありますし、毎年この時期には20℃近い気温になります。では魅力がないかというと、そんなことは絶対にありません。

むしろ、数々のマラソン大会を見てきましたが、ここまで運営がしっかりしてストレスのない大会はそうありません。ここまでボランティアさんが声を出してくれる大会もなかなかありません。

参加賞Tシャツのデザインに関しては賛否が別れるようですが、それはご愛嬌。

大会に順位をつけるべきではありませんが、少なくとも日本で5本の指に入るくらいの素晴らしい大会だと、私は感じています。レース用ではなく、北海道マラソンのような旅ランとして仲間や家族と一緒に来てもらいたい大会です。

鹿児島は東京や大阪などの大都市の人が気づいてない隠れたグルメタウンです。さらにLCCも飛んでいますので、かなり安く旅ランを楽しめます。楽しく走って、お腹いっぱい食べて呑んで。太って帰るのは間違いありません。

でもほとんどの人が、ここでシーズン終了でしょうから好きなだけ太ってもいいと思います。美味しいものを仲間と楽しむために、マラソンを走っている人も多いでしょうから。

ランナーなら1度は走っておくべき大会のひとつです。来年の予定はまだ立っていないと思いますが、東京マラソンに外れることを想定して、ぜひ鹿児島マラソンにエントリーしてください。

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