5月に入り、平均気温が徐々に上がってきました。25℃以上になる日も増えてきて、こうなってくると気をつけないといけないのが脱水症です。まだ5月じゃないかと思うかもしれませんが、日中にランニングをしている人はすでに汗ダクですよね。
軽いジョギングであっても25℃以上の気温になると、大量の汗をかいてしまいます。さらに新型コロナウイルス対策のエチケットとして、マスクやBUFFを使っている場合には口もとが湿っているため脱水していることに気づきにくいという問題があります。
そこで、今回は5月から6月にかけての脱水症にを防ぐためのポイントについてお話していきます。
かくれ脱水の段階で対策が必要
脱水症というのはとても認識するのが難しい症状で、自覚したときにはかなり深刻な状態になっています。ただ、実際には認識できていなくてもすでに軽い脱水症になっていて、この自覚のない脱水症の状態をかくれ脱水と呼びます。
深刻化するのを防ぐためには、かくれ脱水の段階で対策をしなくてはいけません。でも自覚がないので防ぎようがないと思うかもしれませんが、自分の体について理解しておけば予防することは可能です。
脱水症を防ぐためにランナーがすべきこと
ランナーがこの時期の脱水症を防ぐために、やるべきことはとてもシンプルです。
- ランニング前に体重を計測する
- ランニング後に体重を計測する
- 体重の減少分×0.7〜0.8の水分補給を行う
ランニング前後に体重を計測し、失われた水分の70〜80%を補給するだけです。夏場と違って、まだ1回のランニングで数kg体重が落ちるということはないはずです。現在は追い込むような練習もしていないかと思いますので、基本的には練習後の給水で十分間に合います。
もし追い込むような練習をしていたり、1時間を超えるランニングをしているというのであれば、ランニング途中でも給水しておきましょう。そのケースでも、まずは1時間ほど走ってみて、どれだけ水分が失われているのか計算しておきましょう。
基本は失われただけの水分を摂るのでOKです。ただし、水を飲むのではなくスポーツドリンクや経口補水液で水分補給してください。大事なのは水分と電解質です。電解質も補給しないと今度は水中毒の危険性があります。
好き嫌いはあるかと思いますが、これは必要なことですので、必ず電解質も一緒に補給してください。
水分補給は小分けにして行う
もしランニング前後で500gの体重降下があったとすると、その70〜80%にあたる350〜400mlの水分補給を行う必要がありますが、走り終わってすぐにそれだけ飲み干すと胃がタプタプになります。一気に流し込むのではなく、数回に分けて飲むようにしましょう。
これはランニング中に給水する場合でも同じです。マラソン大会で脱水症を防ぎたいときには、5kmごとに1〜2口分ずつ飲み続けましょう。おそらくすべてのエイドで給水することになります。最初はのどが渇いてないかもしれませんが、汗をかいている自覚があるなら少しだけでも口に含んでおいてください。
また、練習の前にこまめに給水をしておくことも有効です。まずは自分の水分がどれくらい失われるのかを算出しておく必要がありますが、500g減るのがわかっているなら、走る前に200〜300ml程度飲んでおくことで、脱水症リスクを減らすことができます。
食事でしっかりと水分を摂っておく
脱水症を回避するために心掛けたいのは、食事でしっかりと水分を補給することです。例えばお味噌汁やスープなどの水分と塩分を多く含んだ料理は、それだけで水分補給になります。ごはんも60%は水分ですし、うどんも80%が水分です。
ダイエットのために炭水化物を避けているランナーさんもいるかと思いますが、体に水分を留めておくためには糖も必要です。糖質制限をNGとするつもりはありませんがある程度の糖がないと脱水症になりやすいということを覚えておきましょう。
気温が高い日の昼間にランニングをする予定を入れている人は、走る前にうどんやごはん、そして味噌汁などで、水分・塩分・糖の摂取をしっかりと行ってください。
ちなみにビールは利尿作用があるからNGと言われていますが、ビールはアルコール度数が低く、脱水症を誘発することはまずありません。ただし飲んだ分は、ほぼすべて排出される(個人差あり)ので水分補給にもなりません。きちんとスポーツドリンクや経口補水液で給水してください。
まとめ
熱中症というと7〜8月をイメージする人が多いかと思いますが、日本では5月から8月にかけて脱水症になる人が増えていきます。5月はまだ涼しいと思っているかもしれませんが、脱水症で運ばれる人は少なくありません。
まずは食事やランニング前の意識的な水分補給で、ランニング中の脱水症を防ぎ、そしてランニング後には失われただけの水分を補給しましょう。このとき水だけではなく塩分や糖も必要になりますので、スポーツドリンクや経口補水液を使いましょう。
そして何よりも走っているときに異変を感じたらすぐに止まって、自動販売機などでスポーツドリンクを購入しましょう。かくれ脱水はとても気づきにくく、症状が出たときにはかなり危険な状態です。体のちょっとした変化を見逃さないようにしてください。
脱水症にならないようにすることで、疲労が溜まるのを防ぐこともでき、質の高い練習を重ねられるようになります。水分を摂らずにガマンするという根性論が通じたのは昭和の時代までです。自分の体のためにも、十分な水分補給を心がけてください。