マラソン大会が再開!久しぶりのフルマラソン出場で気をつけること

金沢マラソンが開催され、約1年半ぶりにフルマラソンの大会が市民ランナーの元に戻ってきました。まだまだ正常化には遠いものの、やっと一筋の光が射したことで、多くのランナーがモチベーションを取り戻すきっかけにはなったかとおもいます。

ただSNSなどをチェックしていると、久しぶりのフルマラソンということで思い通りに走れなかった人も少なくなかったようです。そこで今回はブランク明けのフルマラソンで注意すべきポイントについてお伝えしていきます。これからフルマラソンの予定があるという人は、ぜひ参考にしてください。

目次

久しぶりの大会という状況が失速を生む

コロナ禍でもコツコツとトレーニングを継続していた人でも、1年以上のブランクがあるということが、レースをとても難しくします。スタート前にはいつも以上に高揚感があって、いわゆる「かかっている」状態になりやすく、自分をコントロールできない状態で走り始めます。

そして、走り出してからも周りのペースに流されてしまいがちですが、久しぶりのレースなので後半が不安になって、前半のうちに貯金を作りたくなって速いペースを維持してしまう。もしくは「今日は調子がいい」という初心者ランナーにありがちな罠にベテランランナーでも引っかかってしまいます。

マラソンの失敗の多くがレース序盤のオーバーペースによって起きます。でも1年以上のブランクがあると、自分がオーバーペースになっているという感覚もなく、そのうえ軽い興奮状態にあるので、心拍数が上がっていても苦しさよりも気持ち良さが勝り、序盤のうちにエネルギーを失います。

ベテランランナーも初心者ランナーも等しくこの状況になってしまうのが、ブランク明けのフルマラソンの難しさです。その結果、後半になって足を攣ってしまうこともありますし、エネルギー切れで走れなくなってしまうという人もいます。

2週間前に20km走を行って走力を確認しておこう

フルマラソンを走る上で大事なのは「自分の現在地を知る」ことです。失速するランナーの多くが、過去の自分を基準にしてペースを決めており、自分の現状にそぐわないオーバーペースになっています。なので、まずは自分がどれくらいで走れるのかチェックしておきましょう。

これまでならハーフマラソンなどを入れて確認していたかと思いますが、そのハーフマラソンが開催されていませんので、2〜3週間前くらいに20km(21kmでもOK)を自分が想定するレースペースで走ってみましょう。

余裕で走りきれる:そのままレースに挑んでOK
ギリギリ走りきれる・後半に失速:レースペースを変更する

問題なく走りきれれば、フルマラソンも予定通りのペースで走ってOKですが、失速はしなくても走り終えたときに足がパンパンになっていたり、そもそも失速してしまった場合にはペース設定が間違っていることになります。現状を受け止めてレースペースを落としましょう。

無理に自己ベスト更新を狙わない

ブランク明けのレースで自己ベスト更新できるほど、マラソンは甘いものではありません。もし自己ベスト更新できるとしたら、この1年半で質の高いトレーニングを継続してきたか、それともコロナ禍の練習が不足していたかのどちらかです。

もちろん自己ベスト更新を狙ってスタートラインに立つのは自由です。挑戦しないと手に入らないものもありますから。ただ、やるべきことは「自己ベスト更新」ではなく「ベストを尽くす」ことです。いまの自分が出せるベストを尽くしましょう。

それは無理なペースで走り続けるということではなく、その日のコンディションを見極めて体の声を聞きながら走ることです。自分のコンディションは走り出さないとわからないところもあるので、スタートの5kmで無理なく走れるペースを見つけましょう。

ポイントは自分で決めた設定ペースで走ろうとするのではなく、最後まで走りきれると感じたペースを探すことです。そこが自分のコンディションを反映させた「今日のペース」。ランニングウォッチがあると、無理してペースを守りたくなるので、今回だけは時計を外すというのもおすすめです。

また、気温が20℃を上回る環境で自己ベスト更新をするのは難しいので、気温が高いと感じたら設定ペースよりも落としましょう。気温が高かったなら、それは自己ベスト更新を狙うのがその日ではなかったというだけのこと。チャンスはまたありますので、無理のないペースで走りましょう。

エイドではしっかりと塩分補給を行う

今回の金沢マラソンで多かったのが「後半に足が攣った」という声です。気温が高かったのと、金沢マラソンとしては珍しく快晴だったことが影響していますが、久しぶりのマラソンで水分補給の重要性が頭から抜け落ちている可能性も考えられます。

エイドでは水ではなくスポーツドリンクを摂りましょう。好き嫌いはあるかとは思いますが、水を摂れば摂るほど足が攣るリスクは高くなります。スポーツドリンクが苦手という人は、塩やマグネシウムなどをサプリメントなどで用意して、こまめに補給しましょう。

3時間以上かけて走るという人は給食も重要です。湘南国際マラソンのように給食がないという大会もありますし、他の大会でもコロナ対策で十分な給食がない可能性も考えられます。エナジージェルなどを用意しておき、エネルギー補給することも忘れないでください。

特に重要なのが序盤での給水。気持ちが昂ぶっているので、水分なんて摂らなくてもいけそうな気がしますが、そこは冷静に判断して、ひと口だけでもスポーツドリンクを飲んでおきましょう。特に秋マラソンは思った以上に汗をかくので要注意です。

失敗こそが次へのモチベーションになる

久しぶりのフルマラソンで失敗しないためのポイントをご紹介してきましたが、失敗を恐れるあまり、余力を残しすぎるのももったいないですよね。余力がある状態で終わるよりも、失速してもいいからオールアウトしたいという人もいるはずです。

もちろん、失速する覚悟があるなら勝負をかけてもOKです。思い通りに走れずに悔しい思いをしてこそ、ランニングに対してのモチベーションがアップします。そういう意味ではあえて失敗レースにするというのも選択肢としては悪くありません。

ただしトップアスリートとは違って、市民ランナーは無事に自宅に帰るまでがマラソンです。オールアウトするにしても、周りに迷惑かけることなく帰宅することがゴールであることを意識して走りましょう。追い込みすぎて歩くことさえ困難になってしまうのではいけません。

走っているときに膝などが痛みだした場合も、リタイアする勇気を持ってください。無理して走り続けて、取り返しのつかないケガになってしまっては、ここまでのがんばりがすべて無駄になります。久しぶりのフルマラソンだから完走したい気持ちはわかりますが、無理は絶対に禁物です。

痛みが出たらペースを落として様子を見て、それでも痛いようなら思い切って復帰戦を終わらせましょう。まだフルマラソンを走れるほど体ができていなかっただけのこと。またトレーニングを積み重ねてリベンジすればいいんです。それこそDNFの悔しさをモチベーションに換えてください。

フルマラソンへの挑戦はリスタートしたばかり。無理をするのではなく、まずは走れる喜びを感じながら42.195kmの旅をする。そんな気持ちで大会に挑むくらいがちょうどかもしれません。自分の走力を過信しすぎずに、自己ベスト更新ではなく、今の自分のベストを出す走りを目指しましょう。

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