日本一早いマラソンレポート「第31回ぐんまマラソン」

新型コロナウイルスの感染が収まっているタイミングで無事開催された第31回ぐんまマラソン。通常とは違い運営側も不安を抱えての開催だったかと思いますが、私に見えている範囲では大きなトラブルもなく、無事終えられたように感じています。ただ、コロナ禍でのマラソン大会はランナーにとっても主催者側にとっても難しさがあることが明確になった大会でもあります。

先に書いておきますが、ここで書いているのは運営を批判するつもりの内容ではなく、客観的に考えてどのような難しさがあるのかを共有するためのものです。マラソン大会が再開したからといって、諸手を挙げて浮かれていてはいけないという警笛のような話で、逆に言えば備え有れば憂なしですので、これからマラソン大会に出る予定の人は、ぜひ参考にしてください。

目次

コロナへの感染対策は柔軟に着地

まず前置きとして、ぐんまマラソンがどのような感染対策をしていたのかを書いておきます。ぐんまマラソンがランナーに要求したのは次の3つのうちいずれかです。

  • 10月20日までに2回目のワクチン接種済み
  • 11月2日もしくは群馬県への移動前に実施した抗原検査で陰性
  • 10月31日以降に実施したPCR検査で陰性

ワクチンを受けていない人には、無料で自宅に抗原検査のキットが送られてきました。さらに健康チェックシステムを導入し、1週間ほど健康チェックと体温測定をしています。ただし、これらすべては自主申告です。ここの判断が難しいところで、嘘をつこうとすればいくらでも可能です。ただ、さすがに陽性になって参加する人はいないでしょう。絶対と言えないのが難しいところ。

本当はきちんとチェックする必要があるのでしょうが、そんなことをすると会場入口で大混雑が起こります。何よりも多くのボランティアスタッフが必要になります。だったらランナーを信用して、無理のないところに着地させたいという思いが伝わってきます。ランナー側にしてみれば、こんなに緩くて大丈夫?と感じなくもないのですが、厳格化しないというのが、ぐんまマラソンの判断です。

ここでクラスターが出た場合には、言わんこっちゃないとなりますが、やるだけのことはやっています。この感染対策をどこまで厳格化するかは、これから大会の事務局を悩ますことになります。開催される大会が増えれば増えるほどクラスターリスクは上がります。これは確率だけの話ですので、それに対してどこまでコストをかけるのか。当然コストはランナーが負担することになります。

久しぶりのマラソンで活気のある大会会場

コロナ禍のマラソン大会はソーシャルディスタンスを重視し、ランナー同士の会話もなく、黙々と進められるのだと思っていましたが、緊急事態宣言が解除されているのもあり、いつものマラソン大会とそれほど変わりません。グループでの参加が少し少ない感じと、久しぶりのマラソン大会に少し浮かれた感じ。浮かれるのは仕方ないことです。待ちに待ったマラソン大会なのですから。

ただ、会場ではみんなマスクをして、ブロックの整列も余裕を持って行われています。整列は日本人らしさが良い方向に出ています。整列しているから割り込むこともなく、なんだったらこれからも継続したほうがいいかもしれません。ウェーブスタートを採用したのもあって、流れるようなスタートでした。私はスタート直後にマスクを外すのに手間取って、1度コースアウトしてマスクを外していたら、Bブロックのランナーすべてが私を追い越していきました。

ただ、ウェーブスタートにしたことで煽りを受けたのは後方のランナー。ぐんまマラソンはそもそも6時間制限の大会。元から後方のランナーはスタートロスで苦しかったのですが、Eブロックのスタートは9時20分で終了時間は変わらず15時。そう、最後尾ブロックは5時間40分制限になったわけです。6時間で走れるかどうか分からないからEブロックなのですが、それが20分も短くなる。これにより関門に引っかかった人もいるはずです。

※当初4時間制限との誤記がありました。実際には6時間制限でしたので修正しています。

これも感染対策でウェーブスタートを採用する大会の悩みの種のひとつでしょう。ウェーブスタートはコロナ禍前から採用すべきと言われてきましたが、それが難しいのは道路の占有時間が限られているから。ウェーブスタートで後方のスタートが20分遅れるから、占有時間も20分遅らしてというわけにはいきません。ただこれは主催者と警察のパワーバランスも影響したりするので、大会によっては遅らせることもできます。

とはいえ、実質的な制限タイムが短くなるわけですから、完走がギリギリのランナーというのは注意が必要です。まずウェーブスタートなら何時にスタートして、ゴールまでに何時間あるのかをちゃんと調べておき、少なくとも関門にかからないペースで走るためのトレーニングを積んでおきましょう。今までよりも完走が難しくなっていますので、「なんとかなるさ」なんて考えずに、ちゃんと備えておきましょう。

アップダウンが続き曲がり角も多い難コース

ぐんまマラソンそのもののレポートもしておきましょう。まずコースですが、これがなかなかの曲者です。42.195kmの中でフラットな場所はほぼありません。上っているか下っているかのどちらか。足腰に負担がかかるだけでなく、ペースが安定しないという難しさがあります。こういうコースが増えると、市民ランナーも鍛えられそうです。ただ、ここで自己ベスト更新をするのはかなり大変。

また市街地部分は大きな道路を止めないように工夫しているのもあり、高架下などを縫うように走るため、小さなコーナーを繰り返すエリアがあります。ここも体力を奪っていきます。このコースを作り出すのに、かなり苦労したことが伝わってきますが、走りやすいかと聞かれると、首を横に振るしかありません。もしテクニカルなコースが好きなら楽しめるかもしれませんが。

ただ走りながら見る景色は最高です。赤城山や榛名山が何度も見えますし、美しい利根川も気分をリフレッシュしてくれます。コースは1車線になるところもありましたが、少なくともBブロックでは絶望的な渋滞はほとんどありません。風が強かったのが悩ましいところでしたが、上州空っ風や赤木おろしで有名な群馬県。きっとこれくらいはいつも通りなのでしょう。

沿道の観客は、おそらくこれまでよりも少なかったのでしょう。初参加ですのでいつもがどのような感じなのかわかりませんが、応援を自粛している人もいるはずなので、途切れない声援というわけにはいきません。でも、家族連れだったり、自宅前で日向ぼっこしながらだったり、声援を送ってくれる人もいました。沿道での声援を自粛するように大会側が事前に促していましたが、マラソン大会というのはランナーのためだけにあるわけではありません。

走る人と応援する人がいて成立する競技であり、応援するなというのは無理な話です。応援できないなら、道を封鎖してマラソンをするなとなります。走る側だけ許されて応援する側は自粛というのはマラソン大会というイベントの本質を欠いているのだと、走りながら強く感じました。マラソン大会はランナーのためだけのものではありません。

もちろんそんなことは大会側も承知で、声を出しての応援を咎めるスタッフはいませんでした。ただスタッフが足りていないだけかもしれませんが。コロナ禍でボランティアスタッフを集めにくいのでしょう。最小限の人数でやりくりしている感じがありました。審判もボランティアスタッフも運営も、限界まで切り詰めていて、その状況で最後までやり切ったのは驚きです。

コップに蓋をつけるというアイデアと足りない給食

給水で気を配っていたのがドリンクの安全性。これは素晴らしい発想でした。ドリンクは本来紙コップやプラコップに入れて、そのままテーブルに置いているのですが、それだと他のランナーの汗や唾などが入る可能性があります。入らないようにするにはどうすればいいか。「コップに蓋をする」。簡単そうなことこそ思いつかないもの。この対応は感動ものでした。

蓋が付いているから、無造作に取ってもこぼれません。だから溢れて、手がベタつくこともありません。このために参加費が値上げされても、誰もが「これからもこれが良い」と言うでしょう。蓋を外すのが面倒だから、マクドナルドのコーヒーの蓋みたいに、そのまま飲めると最高ですが、それはもうVIP待遇。そもそも蓋を付けるのもボランティアさんも大変なんだと思います。でも安全に給水するための最適解ではあります。

給水ポイントが多かったようにも感じました。気温が20℃を超えていて、すぐに喉が乾く状態でしたが、本当に欲しいところに給水所があって何度も助けられました。反対に困ったのが給食です。ぐんまマラソンは地元の名産を食べれると評判の大会ですが、今回は塩飴、黒糖飴、チョコレート、梅しばの4つだけ。気温が高いのでチョコレートは半分溶けています。これでは3時間以上かけて走るランナーはエネルギー不足になります。

事前にわかっていたことなので対策をしている人もいましたが、マラソン大会に慣れていない人はエイドに期待して、結果的に30キロで体内のタンクが空になってリタイアした人もいるはずです。大会によっては給食は出さないとしているケースもありますが、給食に関しては元の状態に戻るまでは、自前で用意するように心掛けたほうがよさそうです。エナジージェルを持って走りましょう。

いつもと違うことを受け入れ適応すること

コロナ禍のマラソン大会を走ってみて感じたのは、運営側がかなり工夫をしており、それでいてやりたいようにできないという難しさを抱えているということでした。「こうすればいい」と私たちランナーは安易に言いたくなりますが、大会側はそんなことは分かっていて、やりたいけどできないことがあるということです。給食だって充実させたかったはずです。終了時間だって伸ばしたいはずです。

でも今回は優先すべきことが他にあり、予算に限りがあるので、ランナーに不便さを受け入れてもらうしかなかった。そうしないとコロナ禍での開催ができなかったわけです。苦渋の選択だったと思います。その中で、絶妙なバランスをとって運営されていたと思います。ただ、もう少しランナーに頼っても良かったかなとは思います。

給食については事前に出るものが発表されましたが、それだけでなく「足りないので自分で持って走ってください」とアナウンスしても良かったのかもしれません。ウェーブスタートにしたけど、その煽りを後方のランナーが受けてしまうこともアナウンスしても良かった。それをすると反感を買うと判断したのかもしれませんが、みんなコロナ禍であることは理解しています。

ランナー側はコロナ禍のマラソン大会がこうであることを身をもって体感したのではないでしょうか。かつてのマラソン大会よりも様々なところで制約があり、参加費も高いわけで不満もあるでしょう。でも、これが現状で出来ることであり、ランナーは受け入れるしかありません。少なくともマラソン大会を走りたいなら。納得できない人もいるかと思いますが、それなら元の状態に戻るまで待つことをお勧めします。

いまランナーに求められていないのは、現状に適応すること。与えられた不自由さや制約の中でマラソン大会を楽しむことです。元々42.195kmを走るという困難に向き合ってきたわけですから、これくらいの不便さはすぐに慣れることができるはず。マラソン大会は与えられるものではなく、ランナーも一緒になって作るもの。私たちならきっとできるはず。アフターコロナは、コロナ禍前よりも素敵なマラソン大会になっているように力を合わせて大会を盛り上げていきましょう。

追伸

今回、ぐんまマラソンの開催を決断してくれた運営スタッフ、ずっと笑顔で対応してくれたボランティアスタッフ、開催を裏で支えてくれたスポンサー、そして大会に関わっていたすべての人に感謝しています。ありがとうございました。

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