ランナーの熱中症対策!真夏のマラソンやトレーニングを安全に走る方法

海とランニングシューズ

6月に入るとマラソン大会はウルトラマラソンやトレランが主流ですが、ハーフマラソンのようなそれほど長くない距離のマラソン大会も増えてきます。8月末には北海道マラソンも開催されます。そういうときに気をつけなくてはいけないのが熱中症。

しっかりと暑さ対策をしておかなければ、大きな事故につながりかねません。そこでここでは真夏のマラソン、ランニングトレーニングで熱中症にならないための対策を紹介していきます。冬マラソンに向けてしっかり走り込みしたい人は参考にしてください。

目次

熱中症対策は「気温が30℃以上なら走らない」が基本

縄跳びとランニングシューズ

まず基本的な考え方を伝えておきます。「気温が30度を超えたら走らない」を基本としてください。

気温が30℃を超える中を走り続けのは命の危険がありますし、そもそも30℃以上の気温の中を走るメリットはひとつもありません。人間の体はタンパク質で作られているので、45〜50℃以上の温度で変性します。45℃にならなくても、42℃以上になるとゆっくりと壊れていきます。

体温は36℃前後だから、気温が30℃ならまだ冷却されるのでは?と思うかもしれませんが、これ以上の気温になると身体の冷却効率が著しく低下します。どういうことかというと、私たちは汗をかくことで体の表面を冷やして体温を維持しているわけですが、ランニング中に外気が30℃になると体内の発熱に対して冷却が間に合わなくなるわけです。

マラソンにおいては外気が10℃前後になるとちょうどいいとされているのは、体内の発熱と外気に夜冷却速度のバランスがとれているためで、そこから20℃も上がったら、体温を下げにくくなるのは容易に想像できますよね。そして身体が冷えないから、どんどん汗を流していき、脱水状態になっていきます。

熱中症対策として、まず25℃を超えた時点で「真剣に走る」のをやめてください。ジョギングレベルが限界です。そして30℃を超えたら走るのをやめる。スイミングや縄跳び、筋トレ、ピラティスなどできるトレーニングはいくつもあります。練習をしていないと不安なら、そのような運動を実施してください。

夏場は朝の涼しい時間に走るのが理想

トレイルを走る人

気温をひとつの目安にすると、夏場は走れるタイミングが朝晩しかないことがわかります。近年は朝晩でも25℃を超える日がありますが、そういう日はまぁ休養日にするか、プールや筋トレなど室内の練習に切り替えましょう。

毎日走っていないと落ち着かない人は、夏場だけでも5時前後に起きて朝ランニングするのがオススメです。東京でもその時間になれば夏でも涼しさを感じられて気持ちが良く走れます。ただし、決して気温が低いわけではありません。デサントの「コアクーラー」などを使って、手のひらを冷やしながら走りましょう。

朝起きるのが苦手という人は夕方のランニングでも構いませんが、夏本番にもなると夕方以降、日が沈んでからも気温がまったく下がらないこともあります。そのような環境で走ると交感神経優位となりやすく、夜眠りにつきにくくなってしまいます。

その結果、眠りの質が落ちてリカバリーが遅れてしまいますので。仕事を終えてのランよりも、早寝早寝で朝ランの生活習慣をつけてください。

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どうしても走りたい人は高地か山を走る

トレイルコース

夏でもしっかりと走りたいなら、涼しい場所に行くしかありません。その場合は1000m以上の高地に行ってください。100mの上昇で気温は0.6℃下がると言われていますので、1000mであればマイナス6℃。平地に比べてかなり涼しく感じられるはずです。

関東なら箱根の芦ノ湖が標高723m、三国峠で1030mですので夏のランニングに最適です。箱根には温泉もあり、芦ノ湖の周りはわりとフラットなトレイルとロードの組み合わせで約21kmあり、走りこみをするのにぴったりです。

箱根は遠いという人は近所のトレイルを走りましょう。大きな山である必要はありません。土の道であればOKです。気温30℃の時のアスファルトの路面温度は50℃近くあると言われています。熱中症の最大の原因はこのアスファルトにあります。だったらアスファルトのない山を走ればいいというわけです。

気分転換にもなりますので、真夏のトレランはおすすめです。ただ水分補給はしづらいので、常に水は多めに持っておくようにしてください。

水分補給と塩分補給で熱中症を防ごう

紙コップにスポーツドリンクを注いでいる

熱中症対策の手法はいろいろありますが、基本的に考えるべきことは「体内から失われたものを補う」これがすべてです。体内から失われる汗は99%が水で0.6%がナトリウムです。そのほかにもいくつかのミネラルを失っています。これらを補給することが重要になります。

逆を言えばこれらを正しく摂取することができれば脱水症にはなりません。

とはいえ人間が走って失う汗の量とナトリウムなどのミネラルの量はちょっとやそっとでは補えません。走るスピードによりますが、夏場ですと10kmで1リットル以上の汗をかきます。この時点で6gのナトリウムが不足しています。

塩熱サプリ1錠あたりのナトリウム量は165mgですので36個の塩熱サプリが必要です。2分に1錠のペースで摂取……というのは現実的ではないですよね。でも走っているうちにそれくらいのナトリウムが不足していて、熱中症対策としてそれを補う必要があります。

ただ、それは水分補給をしっかりと行えば問題なく解消できます。1リットルの汗をかくなら、スポーツドリンクを1リットル補給すれば、ナトリウムなどのミネラルが不足することはなくなります。ランニング中に失った水分をすべて補給する必要はありませんが、走り終えて体重が1kg以上落ちているようなことのないようにしてください。

また、スポーツドリンクが苦手という人もいるかもしれませんが、水ではミネラルの補給はできません。どうしてもスポーツドリンクを飲みたくないなら、水で水分補給をしながら、塩を舐めるなどしつつ走ってください。

夏場の日中は絶対に速く走らないこと

エイドでの給水

1時間にペットボトル2本分のスポーツドリンク補給。ちょっと現実的ではないというなら、汗をかかないように走るしかありません。汗をまったくかかないというのも現実的ではありませんが、滝汗になるほど追い込まないというのは重要です。

そのような状況は確実にオーバースピードですのでスピードを落としてください。そんなこと無理と思うかもしれませんが、そもそも真夏の昼間に追い込んで走ることが無理なわけです。そんなことをしても身体が壊れていくだけですので、真夏の昼間にポイント練習をしないように心がけてください。

走りながら補給できないほどの消耗をしないこと。これが真夏のランニング・マラソンの極意です。そして失ったものは素早く補給する。それに加えてきちんと睡眠時間を確保して、毎日コンディションを整えることも大切です。消耗を避けながら積み重ねていく。ランナー人生を少しでも長く続けたいなら、それを徹底してください。

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