自分で参加して記事にしたマラソン大会が、1年経って多くのランナーに注目される華やかな大会になっている。マラソン大会を紹介する立場にある者としては、この上なく嬉しいことです。
そして、この1年で驚くべき成長を感じたのは、東京マラソンでもなく大阪マラソンでもなく、まぎれもなく彩湖リレーマラソンでした。
彩湖リレーマラソンは1周5kmのコースを1人1周で5人1組で走るリレーマラソンです。埼玉の荒川河川敷沿いにある彩湖で開催されるこの大会。関東のランナーを中心に多くの参加者がありました。
昨年は見えない部分でのサポートをRUNNING STREET 365でも行っていましたが、今年は大会が開催されるという紹介程度しか行っていません。それだけに、1回目の経験がどうやって活かされるのかについて注目していました。
その中で改めて感じたのは、リレーマラソンでの1人5kmというのは、なんとも絶妙な距離だということでした。
5kmという距離は、速いランナーもそうでないランナーも、それぞれが全力を出し切って頑張れる距離です。20分以内に走るランナーでも、キロ6分で走るランナーでも等しく頑張っています。
頭では分かっていても、普段のマラソン大会でそれを実感するのはなかなか難しいことです。やっぱり1分1秒でも早いほうが頑張っているという印象も持ちがちですが、本当に大事なことは、それぞれが、全力を尽くすということ。
もちろん表彰されるようなタイムで走ることは素晴らしいことです。勝つための練習を繰り返し、キロ3分のようなタイムで、5人のチームメイトが駆け抜ける。それはそれで難易度の高いことです。
でも、5kmを30分で走るランナーが決して、劣るというわけではありません。仲間に襷を繋げるために、仲間が繋いだ襷をゴールに導くために全力で走る。それはとても素敵なことであり、リレーマラソンだからできることでもあります。
マラソンシーズン中にリレーマラソンが開催されるというのは、とても珍しいケースですが、人によってはすでにマラソンシーズンは終わっていますし、気温的にもコンディション的にもいい状態で迎えることができる大会です。
今年は三寒四温の寒い側にあたり、最高気温は14℃とランナーにとっては走りやすい気温になりました。天気は快晴でしたので寒さはほとんど感じません。天気は、マラソン大会の力によるものではなく、大会の運・不運が影響します。
運が悪い大会は雨や台風などに祟られているかのように、開催が中止になりますが、彩湖リレーマラソンは2年連続でいい天気でした。来年以降はどうなるかは分かりませんが、運に恵まれている大会です。
ただ、この大会が成功したのに「運が良かった」と片付けることはできません。運営事務局が計画をしっかりと練って、多くのスポンサーがサポートしています。それだけ魅力がある大会であり、助けたくなるような人たちが運営しています。
今年は昨年と違い、大きな会場を借りることができ、会場は賑やかな雰囲気が作られていましたし、普段の大会ではなかなか見られない笑顔が溢れている大会でもありました。
ただ、広すぎる会場ゆえに放送内容が参加者に伝わらないなどの問題もあり、最後まで閉会式に残っているのは20人にも満たない人数でした。みんなで楽しむリレーマラソンだから、最後までみんなで楽しんでもらいたいところです。
ただ、そのようなうまくできていない部分があったとしても、大会そのものに問題があったわけではありませんし、むしろうまくまとまっているように感じました。走る上でのストレスはまったくありません。
彩湖リレーマラソンを楽しむためのベースにあるのは、やはりそれぞれが5kmを自分なりに全力を駆け抜けることにあります。大会はまずそのサポートをし、そのうえでより楽しんでもらうために知恵を絞っているのが伝わってきます。
昨年の第1回大会から、リレーで使われる襷は大会事務局で染めて作ったものです。今年は参加チームも増えましたので、追加でまた染める作業から行っています。そんな襷を参加者のみんなが繋ぐ。
すべてのランナーがその襷の重みを感じたわけではないかもしれませんが、そういう見えない部分でのおもてなしが、大会運営のあちこちに見られるわけです。小さな気配りが心地よさを与えてくれます。
ちなみに彩湖を1周するコースそのものは、決して楽なものではありません。2度ほど大きなアップダウンもあります。走りごたえのあるコースですので、現在の自分の走りが問われるようなコース設定になっています。
そういうコースでも、リレーマラソンだから頑張れる自分がいます。人によってはシーズンベストのタイムで走っているかもしれません。
ここで結果が出るのも、これまでにきちんと練習を積んできた結果です。今シーズンにいい結果を出すためにトレーニングを積み重ねた人は、いい結果につながっていますし、満足できる練習ができなければ、それをバネに来シーズンにつなげる。
この時期に開催されるリレーマラソンは、そういう魅力があります。
ただ、5人というメンバーを集めるのが難しく、参加したくてもできなかったという人もいるのでしょう。彩湖リレーマラソンは個人参加で即席チームを組める大会ですが、それがうまく伝わりきれていません。
このように「うまく伝える」という点で、もったいないなと感じるところがいくつもありました。
この点はやはり残念ではありますが、まだ2回目の開催となった大会にあれこれ望むというのは無理があります。最初からすべてが完璧な大会なんてどこにもありません。どんな大会も試行錯誤を繰り返し、魅力的な大会へと成長していきます。
レース後のじゃんけん大会や抽選会で手間取ったというのは、来年以降の課題ではありますが、それもきちんと改善されていくはずです。
アクセスがよくない会場ですが、それを超えるだけの魅力があるのが彩湖リレーマラソンです。ぜひ来年は仲間を募って参加してみませんか?来年は3月15日開催がすで決まっているそうですので、スケジュールも立てやすいですよね。
ぜひ、今のうちに仲間と相談して、来シーズンの締めに彩湖リレーマラソンを活用してください。