日本一早いマラソンレポート「第11回東京・赤羽ハーフマラソン」

東京でハーフマラソンといえば、ハイテクマラソンですが、その1週後にほぼ同じ会場で開催された東京・赤羽ハーフマラソンは、全国区ではないものの関東圏のシリアスランナーが楽しみにしている大会のひとつです。

そんな東京・赤羽ハーフマラソンを走ってきましたので、そこで感じたことなどをレポートしていきます。

目次

東京・赤羽ハーフマラソンは戦略性が求められる大会

ハーフマラソンのエントリー数は7500人とやや多めですが、4回のウェーブスタートだったのもあり、スタート渋滞は1〜2kmまで。そのあとはうまくバラけて自分ペースで走ることができます。ただし、今年は前日に雨が降った影響もあり、水たまりを避けるために、少し詰まる場面もありました。

こればっかりは仕方ないことです。ただ、天気が1日ずれていたらと思うと、ちょっと不安にはなります。会場にテントのある更衣室はありますが、全員が入れるわけじゃありません。雨が降った場合は、簡易テントを持ってくるのが正解かもしれません。

これは河川敷で開催されるすべての大会で言えることですが、悪天候になると大会の評価がかなり悪くなります。雨風をしのぐ場所を確保できないというのが、河川敷の大会の大きなリスクのひとつになります。

東京・赤羽ハーフマラソンのコースはほぼフラットですが、折り返し手前で上り下りがあります。それほど長い坂道ではありませんが、10キロ過ぎということもあって、ちょうど疲れが出始めるところで、多くのランナーがここでペースを乱します。

ただし、前半抑え気味に入っていれば、ここから軽い追い風と下り気味の傾斜でペースを上げることができるため、東京・赤羽ハーフマラソンは戦略的な走りが求められるハーフマラソンでもあります。特に今年はヴェイパーフライを履いたランナーが、後半に大きく失速しているシーンが目立ちました。

キロ4分台前後で、ナイキのランニングシューズを履いている率がかなり高く、ただ、後半はシューズの効果を活かせるような走りになっていません。ヴェイパーフライはスピードを出せるシューズですが、自分の分相応のスピードを超えて走れば、さすがに失速します。

それはともかく、この往復コースは風の影響も受けますし、路面も必ずしもいい状態ではありません。ただ、急な曲がり角などがあるわけではないので。しっかりと自分をコントロールしてペースを刻むことが得意なランナーには、適しているかもしれません。

2020年大会は過去最高のコンディション?

2020年の今年は気温も湿度もベストコンディションでした。気温8℃の湿度40%で、止まっていればほぼ無風です。1月のハーフマラソンでスタート時に手袋を着用していなかった大会は初めてかもしれません。

こういうところにも暖冬の影響が出ています。ただ参加者にしてみれば、かなり条件のいい日で、それゆえに前半に飛ばしすぎたという人も多かったのかもしれません。コンディションが良くても自分をコントロールできないと、思ったようなタイムにならない。これがマラソンの面白さです。

路面が水たまりになっていた場所もありましたが、そこでのロスは数秒程度ですので、完走タイムにはそれほど影響を与えていないはずです。精神的にストレスになってしまった人もいるかもしれませんが、こういうことにいちいち苛立っていたのでは、いいランナーにはなれません。

少なくとも気温と湿度はベストコンディションだったわけです。こういう日にクレバーにレースを作ること。簡単なようで難しいことですが、力量が結果として現れやすい大会となりました。

距離表示が何の意味もなしていないという問題

私は東京・赤羽ハーフマラソンに出場するのが初めてだったので、これがあたりまえのことなのか、今年がたまたまそうなったのかはわかりませんが、1kmごとにある距離表示があまりにも不正確で、何のためにあるのか意味がわからないという問題がありました。

スタートとゴールが同じ場所なのに、折り返し地点に11kmの看板があったり、看板と看板の間が1kmごとになっているのに、600mくらいしかない場所もあったりで、あれでは看板を立てる意味がありません。なぜそんなことになったのかもわかりません。

ただ、あれほど不正確な距離表示をするのであれば、最初から立てないほうが潔い。多くのランナーは手元のGPSランニングウォッチを頼っているので、距離表示が間違っていると頭が混乱します。GPSランニングウォッチを使っていない人は、ペースの確認ができません。

この部分に関しては2020年大会の大きな失敗のひとつです。

難しいことをしろと言っているわけではありません。自転車で計測すれば済むだけのことで、印をつければ問題ないのにそれすらできていない。こういう部分からランナーが離れていくので、来年以降に距離表示の改善だけは期待したいところです。

飲食ブースは充実してるけどゴミ箱が少ない

実際に会場に行くまで、こんなにも大きな規模の大会になっているとは思いもしませんでした。会場にはお店などもないのだろうなと思って、自販機で水を買っていきましたが、そんな心配する必要もないほど大会会場は飲食ブースや小さな店舗で盛り上がっていました。

会場では生ビールも買えましたので、そういう意味ではかなり充実した時間を過ごすことができます。ただ、ゴミ箱の数があまりにも少なくて、飲食ブース近くで食べなかった場合には、ゴミはそのエリアまで持っていかないといけません。

むやみにゴミ箱を増やす必要はありませんが、人の動線をもう少し考えた上で会場のレイアウトをしたほうがいいのかなとは思います。もっとも、大会に関わっている人たちは「これでいい」と思っているのでしょう。

ランナーファーストというよりは、地域の陸協のルール優先というような面が目立ち、ローカル大会から抜け出すことはないし、抜け出したいという想いもないのでしょう。程々に参加者が集まればそれでいい。集客のためにあれこれ動くことはない。そんな感じを受けました。

もっともそれも東京・赤羽ハーフマラソンの色なのでしょう。

まとめ:自己ベスト更新やフルマラソンの調整レースにはおすすめ

ネガティブな部分をいくつか挙げてしまいましたが、総評としてはうまくまとまっている大会で、個人的には来年以降も参加したいなと感じる大会でした。もちろん、例年になく天気が良かったというのもありますが。

コースはアップダウンが少しありますが、ほぼフラットな状態ですので走りやすさはあります。ですので、ハーフマラソンの自己ベスト更新を狙う人や、フルマラソンに向けて追い込みたいという人には、かなりおすすめの大会です。

程よいサイズで、距離表示があやふやな部分以外ではそれほど大きな問題はありません。運営が少し四角四面な部分はありますが、きちんとした陸上競技として運営されている証拠でもあります。

走るということに集中したいなら、とても恵まれた環境にありますので、1月に都内で走りやすいハーフマラソンを探しているのであれば、東京・赤羽ハーフマラソンも候補のひとつとして検討してみてください。

ちなみに私は12年ぶりにハーフマラソンの自己ベスト更新を果たしました。それについては連載している「ハダシスト重松・サブ3への挑戦」で話をいたしますので、楽しみに待っていてください。

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