日本一早いマラソンレポート「激坂最速王決定戦2020@箱根ターンパイク」

3連休の初日。本来であればたくさんの観光客の通行が見込めるであろう箱根ターンパイクをか貸し切りにして、激坂最速王決定戦が開催されました。コロナ禍において、なかなか自治体の認可が下りにくいタイミングではありますが、完全クローズな環境ということもあり無事開催となりました。

早川をスタートして13.5kmで981mを駆け上がる。平均傾斜は7°で最も傾斜がきついエリアは10°にもなります。そんな激坂を走る大会は、これまではアネスト岩田スカイラウンジで終わりでしたが、今年はなんと折り返しができるピストンの部が作られました。

そのピストンの部にし出場してきましたので、どんな大会だったのかどレポートしようとします。

目次

新型コロナウイルス対策を意識はしているが

まずこのタイミングでの開催ですので、新型コロナウイルス対策がしっかりしているか気になっている人もいると思いますが、対策はしているが徹底はしていないという状況でした。これはおそらくどの大会でも同じようなものでしょう。スタッフの数が足りないので、例えばトイレの列でソーシャルディスタンスを維持するようの指示できません。

ランナーは高揚感があるので、知り合い同士で固まりますし、全員がマスクをするわけではありません。大会側だけに問題があるのではなく、ランナーも対策を意識する人とそうでない人がいるので、これはどこかで妥協するしかありません。それがマラソン大会を開催するということ。

完璧な新型コロナウイルス対策を大会側に求めるのは無理です。ランナーと一体になって取り組んでも限界があります。それをどう判断するかは個々が考えることで、対策が完璧であることを望むのであれば、しばらくはマラソン大会に出ないほうがいいかもしれません。

このタイミングでの開催についてもいろいろと思うところもあるかと思いますが、実際に走ってみて感じたのは、私たちランナーにはマラソン大会が必要だということです。オンラインマラソンを否定するつもりはありませんが、私たちはみんなで走りたい。だからマラソンなのだということを強く感じた1日でした。

コースは難コースだが極度な変化が小さく走りやすい

激坂最速王決定戦2020@箱根ターンパイクはその名前からもわかりますように、箱根ターンパイクを走ります。早川にある小田原料金所から箱根大観山口にあるアネスト岩田スカイラウンジが片道。今年新設されたピストンの部はそれを往復します。

高低差は981mで距離は片道13.5kmです。坂がきついと言われている青梅マラソンでも高低差は85.8mですので、その10倍以上も駆け上がることになります。平均傾斜は7%で、コース上の表記での最大傾斜は10%もあります。ただ、走りにくいかというとそうでもありません。

自動車専用道路ですので、急激な変化がなく淡々と走り続けられます。心拍数を上げすぎてしまい、オーバーペースにならない限り13.5kmを思った以上に快適に走れます。景色の変化も多く、コース上からは何度か富士山が見えますし、相模湾もきれいに広がっています。

紅葉をしているエリアもあり、さらにはこの日は天候もよく、さすがにアネスト岩田スカイラウンジ付近では気温が低くなっていましたが、早川ではポカポカ陽気で最高のマラソン日和でした。これが雨や曇りで遠くの景色が見えないとなると大会の印象がかなり変わります。

マラソン大会というのは雨だと評価が大きく下がりますが、激坂最速王決定戦2020@箱根ターンパイクは特にその傾向が強くなるかもしれません。雨中の坂道を登るのはただの苦行ですし、下りにいたっては危険です。ただ、今年は晴天に恵まれベストコンディションでした。

折返し&ウェーブスタートで選手同士が声をかけやすい

かつての大会がどのようなスタートなのかはわかりませんが、今年はウェーブスタートで100人ずつくらいに区切ってスタートしています。このため、1組目とあ最終組では50分のタイムラグがあります。さらにピストンの部が終わったら、登りの部、ウォーキングの部が次々にスタートし、ちょうどいい間隔にバラけます。

さらにランナーの多くは久しぶりのマラソン大会ということで、高揚感があります。ピストンの部は往復になっていますが、折り返してくる選手に対して声をかけたり、拍手をするわけですが、人がバラけたことによって、沿道に声援がなくてもランナー同士で盛り上ります。

新型コロナウイルスのことを考えれば、声を出しての応援はNGなのでしょうが、つい声を出したくなるのも分かってもらえるかと思います。選手同士の声援に関しては、これから共通のルールができかもしれませんが、やはりみんなで声を出すというのはマラソンの醍醐味です。

久しぶりの大会過ぎて、みんなボリュームのつまみが壊れたのではないかと思うくらい声を出していました。楽しくて仕方がないのでしょう。実際に私自身も舞い上がっていましたし、「ここが自分の居場所」だと再確認しました。やはり私たちランナーに必要なのは大会です。

今回のコースが折返しでウェーブスタートだったということが、そのことをあらわにしてくれました。これが一斉スタートだったのでは、ランナー同士の交流時間も限られており、ここまでの楽しさの共有はできなかったかもしれません。

開催そのものは良かったが課題も残る

参加した多くのランナーが、激坂最速王決定戦2020@箱根ターンパイクの開催を喜び、もしかしたら今年1番の楽しい想い出を作れたかもしれません。ただ、これから参加する人のために、ネガティブな部分にも少し触れておきましょう。

すでに少し触れましたが、晴れたからいいものの雨だった場合には、とても厳しい評価に変わっていた可能性があります。下りコースの難易度が一気にあがり、滑ってケガをする可能性が大いにあります。ピストンの部に出るという人は、その点を頭に入れておくといいでしょう。

また大会会場も雨ですと更衣スペースも足りず、屋根のある場所に人が集まりますが、密を避けるなんてことを言っている場合ではない状態になることが予想されます。もし今後の大会で雨の予報になっているなら、早めに会場入りして、着替えをすぐに済ませてスペースを譲り合うといいでしょう。

今年はスタート位置にキッチンカーが3台出店していましたが、大会会場とスタート位置に少し距離があり、キッチンカーが出ているアナウンスがなかったので、誰もお金を持たずにスタート位置に移動したので、せっかくの出店なのに利用できないというミスマッチが起こっていました。

これに関して大会側はアナウンスをしていたのかもしれませんが、もっと伝わりやすくしないと、出店する側に旨味がありません。来年以降どうなるのかはわかりませんが、出店がある前提で500円玉2枚くらい持って走ると、ゴールしてすぐにごちそうにありつけます。

そしてやはり気になるのはピストンの部の参加費が9,900円ということ。これは決して安い金額ではありません。箱根ターンパイクを借り切っていますし、コロナ対策にもお金がかかるので仕方ないですが、完走タオルの品質は近年まれに見る低さ(デザインはいい)です。

コース上のエイドは水だけです。大会を盛り上げるために、かなりの数のゲストランナーがいますが、それだってお金がかかっているわけです。9,900円の中にそれらの費用が含まれているとして、平時でこの金額を出したい人がいるかというと、判断が別れるとことです。

開催されたことに大きな意味がある

課題は感じましたが、課題のない大会などどこにもなく、そのような課題を大会側が来年に向けて修正を行って、どんどん良い大会になっていくのがマラソン大会というものです。そこに面白さがありますし、改善がされていると「また出てみよう」につながります。

あまりにも褒めすぎて、来年以降に参加した人の期待値が上がりすぎないよう、課題にも触れましたが、箱根ターンパイクを走れるという唯一無二の大会で、晴れればこの大会でしか見られない景色の中を走ることができます。参加費がもう少し下がれば毎年でも走りたいくらいです。

ただ、今年に関しては首都圏でこの規模の大会が開催できたという点が、とても重要になります。小規模な大会は徐々に開催の方向で進められ、実際に開催している大会もあります。その状況で、これだけ多くのゲストランナーを呼び、宣伝にも力を入れていた大会が開催されたことは、次の一歩につながります。

そして、この大会に出たランナーはマラソン大会の楽しさを思い出したことで、「やっぱりマラソンを走りたい」という気持ちになったはずです。そうなると必要なのは受け皿だけです。ランナーがマラソンをしたいという気持ちを受け止めて開催に舵を切る大会がどれだけ出てくるか。

もちろん新型コロナウイルスの感染拡大状況も見つつになりますが、徐々に走れる大会が増えていくことを期待しています。そして、来年以降の激坂最速王決定戦がさらに面白いものになることを楽しみにしています。

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